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『三橋貴明の台湾報告①』三橋貴明 AJER2015.12.15
https://youtu.be/-sSCuFZnEfU
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 1月17日に「三橋経済塾第五期 第一回」の講義が開催されました。経済塾がどのようなものか分からない、というお問い合わせを多数頂きましたので、冒頭部分をご紹介



https://youtu.be/znh3uJV_Ggs


 講義で使っているパワーポイントは、もちろんダウンロード可能になります。手元にパワーポイントの資料をご用意して頂き、いつでも、どこからでも三橋の講義を受けられるというシステムになっているのでございます。


 一年間に十二回、講義が開催されます。基本、東京ですが、講義にお越し頂けなくても、インターネット経由で受講できます。よろしくご検討下さいませ。


 講義の冒頭でも語っていますが、現在の世界は日経平均の続落を見るまでもなく、波乱含みです。もっとも、日経平均の下落は「円高」が原因です。


【2015年 東証第一部 投資部門別 株式売買シェア(委託、金額)】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_51.html#Kabu


 グラフ作ってみて、自分で吃驚してしまったのですが、2015年の東証第一部の株式売買シェア(委託、金額)において、海外投資家が70%を超えていました。これでは、日本株の値動きが為替レートに変動するようになってしまったのも無理もありません。


 海外投資家は円安になれば買う。円高になれば売る。ただ、それだけの話です。


 ところで、わたくしは昨年の秋ごろから「おはよう寺ちゃん活動中」や経済塾、月刊三橋、講演などで、
今後、新興経済諸国に投じられていたおカネが巻き戻り、アメリカが利上げをしたとしても、ドル安円高になってしまい、日経平均は下がる
 と、語っていたのですが、結構、反発を受けていました。
「アメリカが利上げをするのだから、ドル高円安になるに決まっている!」
 などと、詰め寄られたこともあります。


 そりゃまあ、世界に日本とアメリカの二カ国しか存在しないのであれば、そうなるでしょう。とはいえ、昨年、中国に行き、中国経済の失速を確かめ、さらにブラジル・レアルやトルコ・リラ、南アフリカ・ランド、ロシア・ルーブルなどの動きを見ていると、
「あ、これは中国を含めた新興経済諸国に投じられていた資金が巻き戻り、確かに対新興経済諸国の通貨に対してはドル高になるだろうけれども、それ以上の円高になるな」
 と、確信したのでございます。


 特に象徴的だったのは、中国において資源が七割超を占める「輸入」が継続的に下落していったことです。大本の中国経済が、明白に需要縮小状況に入り、資源国や新興経済諸国も「過剰設備」状態に突入し、日米欧通貨への為替の両替がすでに始まっていた。これが、昨年秋からアメリカの利上げまでの状況でした。


 新興経済諸国からの両替(資金流出、という言い方は少し変だと思います)が増えると、当たり前ですがこれらの国々の為替レートが下落します。当然、ドル高にはなるわけですが、「それ以上の円高」になってしまうというのが毎度のパターンです。ドルを経由して新興経済諸国に投じられたおカネにしても、元をたどると「安い金利」で調達できる日本円というケースが少なくないわけです。(無論、日本円から直接両替されたケースもあります)


焦点:新興国の資金流出は道半ば、ダボス会議に暗い影
http://jp.reuters.com/article/ubs-idJPKCN0UY0CK?sp=true
 新興国はかつての活況が消え去り、成長と投資が共に落ち込んで出血がゆっくりと続く悪循環にはまり込んだようだ。既に過去1年半に1兆ドル以上もの資金が逃げ出したが、流出はまだ道半ばにも達していない可能性がある。

 新興国経済は金融危機を経験し、この10年間にいくつかの通貨や債務の大きな変動が市場全体に波及する事態に何回も見舞われてきた。しかしダボス会議に参加する各界指導者は、今回の危機を払しょくするのは容易ではないと不安を感じている。
 懸念の元になっているのは米国の金融引き締めとドル高で、これに中国経済の減速、コモディティの「スーパーサイクル」の崩壊が重なった。このため新興国の状況がいずれ急激に持ち直し、最悪の事態に立ち向かう胆力を持つ投資家が利益を手にするという展開は見込めないとの不安が広まっている。(後略)』


 IIF(国際金融協会)によると、01年から11年にかけて新興経済諸国に「純流入」した額は計3兆ドル近くに達するとのことです。すでに、資金の流れは逆転しており、IIFによると2015は5400億ドルが新興経済諸国から流出したとのことです。アジア通貨危機の時期(1988年)以来、初めての純流出です。


 勘違いしている人が少なくないのですが、ユーロ圏内を除き、おカネを「移す」ことはできません。日本円は、日本国内でしか使えません。この種の国際的な資金移動で発生するのは「両替」であり、主たる現象として為替レートの変動として現れます。


 新興経済諸国(中国含む)から資金が「純流出」しているとは、要するに外貨への両替が増えているという話です。今の世界が恐れるべきは、新興経済諸国の通貨暴落による債務不履行なのです。(あるいは通貨危機)


 18日、中国人民銀行がオフショア銀行の人民元預金に預金準備率を適用すると発表しました。コメルツ銀行のシニアエコノミストであるZhou Hao氏は、
「人民元が急速に下落することを見込んでいる投機筋に対する人民銀行の警告だ、と市場は受け止めている」
 と、語りました。中国もまた、すでにして「為替暴落」の懸念を抱いているわけです(実際、外貨準備は月に10兆円前後のペースで減っています)。


 そして、現在の新興経済諸国の為替危機を引き起こしたのは、「中国経済が永遠に成長するという幻想」が崩壊したことです。大本の需要(中国)が設備投資過剰による供給能力過剰に苦しむ状況では、しばらくは新興経済諸国の経済が安定することはないでしょう。


 すなわち、ドル高、そしてそれ以上の円高が続く可能性が高く、海外投資家が取引に占めるシェアが七割を超えた日経平均が上昇に転じることは、安倍政権がよほど大規模な経済対策でもやらない限り、しばらくはないという話です。


 もっとも、現在の株安は海外投資家の「利益追求」のために引き起こされているわけです。そんなものを指標にしていた安倍政権が、そもそも間違っていたわけですが、


 もはや、
「株価至上主義」
 を成立させていた円安株高は、終焉したと理解するべきなのです。

 といった話題を、三橋経済塾 では「経済時事」として取り上げていきます。繰り返しますが、別に東京にお越しになられなくても、インターネット経由でどこからでも、いつでも受講できますので、ご検討くださいませ。


 安倍政権に話を戻しますが、もはや表向きの理由は何でも良いので(中国経済失速でも、日経平均の下落でも)、とにもかくにも実体経済を立て直す大規模財政出動と消費税増税の凍結(もしくは減税)を推進するべきです。「外国」に依存して経済政策をやっていけた時代は、もはや終わったと、最後に申し上げておきます。


「安倍政権は外国に依存した経済政策をやめろ!」に、ご賛同下さる方は、

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