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『資本主義を取り戻せ①』三橋貴明 AJER2016.3.8(16)

https://youtu.be/eoJ-c9Juk7o
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2016年4月10日(日)12時から
日台親善シンポジウム「台湾の対中経済政策を考える」

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 無事に(元気いっぱいで)ベトナムから戻って参りました。


 情けない話ではありますが、スティグリッツ教授の来日と提言で、何となく「財政政策やむなし」の醸成されつつあります

 と言いますか、
「え!? 消費税凍結や財政政策が正しいの!?(正しいです)」
 と、マスコミが混乱しているように思えるのです。 

 最も混乱しているのは、この新聞。


経済分析会合 いいとこ取りはやめよ
http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2016031702000122.html
 政府が内外有識者の意見を聴く国際金融経済分析会合は、消費税増税延期や補正予算編成のお墨付きを得るためではないか。そんな臆測が強い。都合のいい部分だけを取り出してもらっては困る。(後略)』
 
 中日新聞(東京新聞)は長年、反消費税の論陣を張っていたはずなのですが、なぜか社説で怒っています


 しかも、

「教授はやみくもに財政出動を促したわけではない。むしろ法人税減税は投資に寄与しないから反対し、炭素税や相続税、株などの譲渡益課税については増税すべきだと主張した。」
 と、スティグリッツ教授の持論(法人税減税反対はわたくしの持論でもありますが)を持ち出し、財政出動に反対する「印象」の書き方をしており、わけが分かりません


 現在の日本にとって正しい政策は、


●消費税増税は凍結・延期(もしくは消費税減税)
●需要創出のための財政出動
●特に必要な財政出動はインフラへの投資
●法人税の無条件減税は投資拡大効果が薄いのでやらない

 であり、少なくとも「消費税増税凍結・延期」は中日新聞のお気に召すはずなのですが、社説で猛烈に批判しています。

 ついでに、
「具体的には賃金上昇と労働者保護を強める政策、財政出動なら教育や若者の健康への政府支出を求めた。」
 と、中日新聞は書いています。実際には、スティグリッツ教授はインフラ投資に(も)支出するべきと語ったのですが、そこはスルー。と言いますか、インフラ投資について書いた記事は、ほとんどありませんでした。


 今回のスティグリッツ教授の提言は、各メディアが公正とは言い難い「報道しない権利」を駆使しています。(今さらですが)

 そして、最も「報道しない権利」が多用されたのが、TPPに関するスティグリッツ教授の発言です。 


TPPは悪い協定 米議会で批准されぬ ノーベル経済学賞・スティグリッツ教授
http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=36639
 5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に向け、政府は16日、安倍晋三首相らが有識者と意見交換する「国際金融経済分析会合」を初めて開いた。講師に招いたノーベル経済学賞受賞者で米コロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授は、環太平洋連携協定(TPP)について、米国での効果はほとんどなく、米国議会で批准されないとの見方を示した。
 日本政府は、TPPの早期発効に向けて、今国会に協定承認案と関連法案を提出し、成立を急ぐ。だが、TPP発効には、米国議会の批准が不可欠。世界的に著名な経済学者がTPPの効果や批准の見通しについて否定的な見解を示したことで、日本国内でも一層、慎重な対応を求める声が強まりそうだ。
 スティグリッツ氏は会合で、世界経済についての自身の見解をまとめた資料を配布。その中で、TPPについて「TPPは悪い貿易協定だというコンセンサスが広がりつつあり、米国議会で批准されないだろう」との見方を示した。

 また、貿易政策の効果は「常に過大評価される」と指摘。その上で「米国にとってTPPの効果はほぼゼロと推計される」とした。
 さらに、投資分野の条項を問題視し「新しい差別をもたらし、より強い成長や環境保護などのための経済規制手段を制限する」と懸念を示した。
 この会合をめぐっては、来年4月に予定される消費税率10%への引き上げを再延期する布石との憶測も出ていた。スティグリッツ氏は「消費税を引き上げるのは今のタイミングは適切ではない」と、引き上げを見送るよう提言した。』


 TPPに関するスティグリッツ教授の発言「TPPは悪い協定 米議会で批准されぬ」を報じたのは、農業新聞ただ一つでした


 スティグリッツ教授も、わたくし同様に「投資」の分野について特に問題視しており、
「新しい差別をもたらし、より強い成長や環境保護などのための経済規制手段を制限する」(その通りです)
 と語ってくれたにも関わらず、農業新聞以外は全スルー。率直に書きますが、狂っています。

 というわけで、大手紙が「報道しない権利」を最も駆使したスティグリッツ教授の「TPPは悪い協定 米議会で批准されぬ」について、拡散にご協力くださいませ。


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