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『ギリシャと地方創生①』三橋貴明 AJER2015.6.16

https://youtu.be/kDM_C2YUqHU

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 さて、ギリシャ情勢は7月5日の国民投票まで大きな動きはないと思いますが、同じ頃に「超・技術革命で世界最強となる日本 」で取り上げた、消費電力辺り計算速度を競う「Green500」が発表になります。


 先日、わたくしがチャンネル桜さんと取材に行ったKEK(高エネルギー加速器研究機構)に設置されている睡蓮(厳密にはSuiren(睡蓮)とSuiren Blue(青睡蓮)の二台)も、もちろんGreen500にトライするのですが、ExaScaler社とPEZY Computing社がさらに一台、理化学研究所(和光地区にある情報基盤センター)にも2ペタクラスのスパコンを設置。「菖蒲(Shobu)」としてGreen500に挑むとのことです。

 まさにShobu(勝負)のとき、でございますね。


ExaScalerとPEZY、2ペタ級スパコンを理研に設置
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO88507710V20C15A6000000/
 国内スパコン開発ベンチャーのExaScalerとPEZY Computing、理化学研究所(理研)は2015年6月25日、2ペタFLOPS級の液浸冷却スパコン「Shobu(菖蒲)」を理研情報基盤センターに設置すると発表した。2015年6月末から一部稼働を始める。
 これに合わせ、ExaScalerとPEZY Computingは理研と共同研究契約を締結、アプリケーション性能とデータセンター設備の評価について共同研究を行う。
 設置するのはExaScalerの最新機種「ExaScaler-1.4」で、5
台の液浸槽からなる。1台当たりXeon E5プロセッサー64基と、メニーコアのPEZY-SCプロセッサー256基、4096GバイトのDDR4 DRAMを備える。
 1台当たりの理論演算性能は約430テラFLOPSで、全体の理論演算性能は2ペタFLOPS超となる。これは、理研が運用するスパコン「京」の約5分の1、現在のTOP500ランキングでは26位に相当する。』


 現実問題として、エクサスケール級のスーパーコンピューターを実現するためには、「省エネ性能」がカギになります。アメリカ政府は「エクサスケール・スーパーコンピュータ」開発の条件として、システムの消費電力に20メガワットという上限を設定しています。中国の天河2号が17.8Mワット(本当かどうかは分かりません。公称)でございます。天河2号より「少し多い」程度の消費電力で、30倍超の計算速度を実現しろという話で、なかなか厳しい条件です。



 日本のSuiren(睡蓮)、Suiren Blue(青睡蓮)、そして菖蒲(Shobu)の三台が、今回のGreen500で上位を占める(できれば、トップ3まで独占を)と、エクサスケール開発において一気にリードしたことになります
 
 さて、話はいきなり変わりますが、中曽根政権の国鉄民営化以降、我が国で行われた様々な「構造改革」は、基本的には、
地方を衰退させ、人口を都市部(特に東京圏)に集中させる
 政策コンセプトになっていました。現在、安倍政権が推進している農協改革(事実上の「農協解体」です)や発送電分離、軽自動車の税率引き上げなども、もちろん「地方衰退策」でございます。

 我が国は、世界屈指の自然災害大国です。特に、「大震災」がいつ、どこで起きるか誰も分かりません。というか、日本列島のどこでも起きます。


 だからこそ、我が国は国民がある程度分散し、「互いに助け合う」ことが可能な経済力(モノやサービスを生産する力)を蓄えておかなければ、国民が生き延びられないのです。


 という「安全保障の現実」を理解した上で、一票の格差問題について考えてみてください。


一票の格差さらに拡大 衆院18区・参院31区で2倍超
http://www.asahi.com/articles/ASH715DGCH71UTFK016.html
 「一票の格差」が2倍を超す衆院小選挙区が18に上ることが、総務省が1日発表した住民基本台帳(今年1月1日時点)に基づく人口調査からわかった。参院選挙区でも、最大格差は4・7倍を超え、2倍超が31選挙区に上る状態が続いている。一票の格差をめぐる訴訟では厳しい司法判断が相次いで示されているが、与野党の制度改革論議は難航している。(後略)』


 一票の格差問題とは、地方の国民の票の価値が、都市部の国民の票の価値よりも大きいという「問題」です。

 というわけで、アメリカ式に人口比例選挙(人口に応じて議員数を決める)を実施したとします。その場合、人口が少ない地方の国会議員が激減し、現実問題として地方経済再生のための政策は実施されなくなっていくでしょう。人口はさらに都市部に集中し、日本全体の安全保障が危うくなっていきます。


 無論、
「安全保障のためなら、一票の格差がどこまでも拡大してもいいのか!」
 といった、極論的な反論は受け付けません。(↑こういうことを言う人を、当ブログでは「おバカさん」と呼んでおります。)


 話は「1? 0?」ではないのです。

 安全保障と政治的権利の平等を何とか両立させる「バランス」を模索しなければならない、という話です。


 曖昧でしょ?


 そう、曖昧なのです、現実の世界とは。とはいえ、「安定した社会」とは、この種の曖昧性を常に内包していかざるを得ないのです。


 この手の曖昧な「バランス」の追求が面倒臭い人が、
「面倒くさいから、人口で議員数を割り振れ!」
 などと、ナイーブ(幼稚)なことを言い出すわけです。もちろん、人口比例選挙にして、同時に「日本国全体の安全保障」が成立する巧いやり方があるなら、OKでございます。是非とも、提案して下さいませ。


 本来、一票の格差問題について考えるならば、「政治的平等と安全保障をいかに両立させるのか?」が、議論の始まりでなければならないのです。この種の議論が全く聞こえてこないところに、我が国の「危機」があるのだと思います。


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