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【連載】三橋貴明の第2次所得倍増計画
【第11
回】第五章 中小企業対策の骨格―都市と地方の所得格差を埋める(前編)
~最強の経済リソース保有国日本に、安倍政権は間違えた労働政策をとるのか!~
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39132


 本ブログは人気ブログランキング(エントリー数105万)において総合首位の座を頂戴しておりますが(クリックして下さる皆様、ありがとうございます)、最近、以前は上位の常連だった「芸能ブログ」が下に落ちてきています。理由が分かる方、いらっしゃいますか?(ちなみに、わたくしは分かりません)


 本日からスウェーデンです。
 とはいえ、スウェーデンとは無関係な、日米安全保障第五条の問題。

 日米安保第五条には、先日、わたくしが指摘した「自国の憲法上の規定及び手続に従って」以外にも、一つ、大きな問題(というか「現実との乖離」)があるというご指摘を受けました。実際。本件については報道も出ています。


 改めて、日米安保条約第五条を掲載しておきましょう。


『第五条 各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。』


 今回のポイントは「一方に対する武力攻撃」の部分です。すなわち、日米安全保障条約は「日本(もしくはアメリカ)への武力攻撃」が前提になっているのです。


 それでは、中国が尖閣諸島に対し、「武力攻撃」ではない侵略行為に及んだ場合には? 日米安保条約は適用されるのでしょうか。


 具体的な手法としては、たとえば、中国が、
漁民に扮した軍人(等)を一万人、漁船千隻に乗せ、尖閣諸島に『緊急避難』させる
 といったケースです。この種の「グレーゾーン」な事態は、日米安保条約第五条でいう「武力攻撃」に該当するのでしょうか。恐らく、しないと思います。


 結果、日米安保条約は発動せず、中国は魚釣島に漁民(軍人)一万人を避難させ、そのまま居座る。何しろ、表向きは「避難民」ですので、日本は軍事的な行動がとれないでしょう。

 とはいえ、一万人を海上保安庁の「警察力」で排除するのは、これは絶対に不可能です。強制排除に乗り出し、中国漁民と海保が衝突すると(当たり前ですが、中国「漁民」は火器で武装しているでしょう)、中国側は、
「日本は尖閣諸島に緊急避難した可哀想な漁民を、武力で攻撃した!
 と、国際社会にアピールすでしょう。現実には、海自を出すしかないわけですが、何しろ相手が「漁民」というわけでは、総理大臣は防衛出動の決断ができない可能性があります。そうなると、日米安保条約は発動しません。


 やがて、漁民たちが魚釣島に小屋を建て、建築物はすぐに木造からコンクリート製に変わります。こうなると、尖閣諸島を「実効支配」しているのは中国側という話になり、ますます安保条約第五条が適用されることがなくなります。


 本件は、現在、改訂作業中の新たな日米防衛ガイドラインとも関係しています。(この辺は関岡先生がお詳しいですが)


〔インサイト〕-すれ違う日米同盟 防衛ガイドライン改定、「中国」で温度差
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL3N0M601B20140309
 自衛隊と米軍の役割分担を定めた防衛協力の指針(ガイドライン)の改定をめぐり、日米に温度差が生じている。平時とも有事とも判断がつかない「グレーゾーン」事態への対応が見直しの重要議題という点で両国の意見は一致しているものの、中国に対する抑止、特に尖閣諸島(中国名:釣魚島)を念頭に議論を進めたい日本に対し、米国はもっと幅広いテーマを協議したいと考えている。日本政府の関係者や専門家の間では、中国に誤ったメッセージを送りかねないとの懸念が広がっている。
中国船が大挙して押し寄せたら
 2月中旬、日米は外務・防衛当局の審議官級協議を米国で開き、安全保障問題について幅広く話し合った。議題の1つは、昨年10月に改定作業に入ることで合意した日米ガイドライン。1997年に見直された現在のガイドラインは、武力衝突など有事が発生した場合の日米の役割分担を明確にした。
 今回の見直しの最大の目的は、有事には至っていないが、平時とも言えないグレーゾーンの対応を確立することにある。両国は年内にガイドライン見直し作業の完了を目指しており、10日にハワイで開く実務者級の会合でも重要議題のひとつとして話し合う見通しだ。   「97年のガイドラインは平時か有事か、ゼロか1だった」と、ワシントンの国防総省の関係者は話す。「あまりに柔軟性がなく、日米の動きを硬直化させていた」。
 しかし複数の関係者によると、今回の見直しは、ある部分で日本と米国に意見の隔たりがあるという。日本と中国が領有権を主張している尖閣諸島をめぐる対応だ。97年は朝鮮半島の有事が懸念事項だったが、現在は東シナ海の離島をめぐって日中の緊張が高まっている。
 中国の漁船や監視船が大挙して尖閣諸島に押し寄せたときに日米はどのような協力ができるのか、漁師に扮(ふん)した人民解放軍の兵士が尖閣諸島を占拠したら両国はどう動くのか──。日本側は、武力衝突にまでは発展していないこうした具体的なシナリオをいくつも設定し、机上演習を行って問題点を洗い出し、米国との間で対応策を練りたいと考えている。(後略)』


 自民党の石破幹事長は、オバマ大統領来日に際し、ご自身のブログに、
「オバマ大統領の来日で、尖閣有事に対する米国の関与が明確になり、TPPも前進が確認されました。注意すべきは、米国の関与があくまで有事におけるものであること、きっと米国が何とかしてくれるという思いで、我が国自身の防衛努力を怠ることがあってはならないことです。「急迫不正の武力攻撃」に当たらない主権の侵害、いわゆる「グレーゾーン」に対応する、国連海洋法条約に沿った国内法制が未整備なのは我々国会の責任です。早急な対応をしていかなくてはなりません。」

 と、書いています。


 「急迫不正の武力攻撃」とは、これまた聞きなれない言葉ですが、要するに上記の類の話です。

 そもそも、田母神先生やチャンネル桜の水島社長が頻繁に指摘していますが、我が国には集団的自衛権以前に「個別的自衛権」がありません。厳密には、あるのかないのか、よくわかりません。


 個別的自衛権とは、国連憲章第五十一条で国連加盟国に認められている権利で、自国に対する他国からの武力攻撃に対し、自国防衛のために必要な武力を行使する国際法上の権利です。国際法である以上、日本も個別的自衛権を保有しているように思えますが、何しろ自衛隊は世界で唯一と言っても過言ではない「国際法で動いていない」軍隊です。自衛隊はポジティブリストで動く、警察と軍隊の中間のような変な組織なのです。

 自衛隊が他国のように国際法で動く「軍隊」ならば、日本は個別的自衛権を有していると断言できます。上記のグレーゾーン的な尖閣有事に対しても、淡々と国際法に則り対処することができます。

 とは言え、現実はどうなのでしょうか

 そもそも、日本のマスコミに個別的自衛権という言葉が登場したことすら、わたくしは見たことがありません。(皆さんはありますか?)


 今回のオバマ大統領の来日を受け、マスコミ的に、
「オバマ大統領が尖閣諸島は日米安保第五条の適用範囲と明言してくれた。日本の外交的勝利だ!」
 などとナイーブ(幼稚)な感想を持つのではなく、これを機に「日米安全保障条約第五条」「グレーゾーン」「個別的自衛権」について、日本国民が真剣に考える切っ掛けになればと考え、今後もしばらく、本問題を取り上げていきたいと思います。


「日本の安全保障について国民が真剣に考えよう!」に、ご賛同下さる方は、

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