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『TPPの真実(後編)①』三橋貴明 AJER2013.3.19(1)

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 本日は下館青年会議所「日本経済の嘘と真実!! 」講演会の開催日です。これから、筑西市に伺います。


 本日は3月31日でございますので、「希臘から来たソフィア 」のAmazonキャンペーン(ポスター・設定集プレゼント)の最終日になります。よろしくお願いいたします。


 さて、昨日のブログで日本について、各都道府県が、
「資本移動の自由」
「共通通貨(対他都道府県で為替レートが一定)」
「金融政策の独立の放棄」
 を実現していると書きました。当たり前と言えば当たり前なのですが、日本国内は「統一市場」なのです。


 ユーロの例からもわかるとおり、統一市場の場合、問題になるのは「生産性の違い」ですが、日本の場合は、
「生産性が高い地域の税収を、生産性が低い地域に移転し、国家として全体的に豊かになることを目指す」
 ことが実現しているわけです。無論、別に「国土の均衡ある発展」が必要だという話ではなく、単に「国家として全体が豊かになることを目指しましょう」という話です。


 理由は、わたくし達日本国民が、同じ共同体を共有する運命共同体だからです。


 例えば、首都直下型地震が起きたとき、「誰」が東京都民を助けてくれるでしょうか。アメリカですか? 中国ですか? もちろん、外国からの救援も来るのでしょうが、メインの「救い手」は同じ日本国民なのです。北海道から、東北から、北陸から、東海道から、近畿から、山陰山陽から、四国から、九州から、沖縄から、多くの日本国民が駆けつけ、救援物資を送り、都民を救援してくれるでしょう。


 日本中から救援の手が都民に差し伸べられるとき、彼らは、
助けてやるから、あとで利子つけて返せ
 などと言うでしょうか。新古典派に染まった変な人たちを除くと、言わないでしょう。なぜなら、次の震災は「自分たちの地域」で起きるかも知れないのです。


「困ったときは、お互い様」


 が成立しなければ、長期的に生きのびることができないのが、この日本という「国家」なのです。

 とはいえ、「困ったとき」に「互いに」助けあう実力が無ければ困るわけです。だからこそ、日本国家全体が多様的に発展し、それぞれがそれぞれなりの「実力」を身に着け、次なる国難の際に助け合うことが可能にすることこそが、正に「国家の強靭化」なのだと思います。


 というわけで、国家全体を均衡的に発展させろとは言いませんが、日本では各地域が個性をもって順調に経済成長し、国土全体が「多様的な発展」を成し遂げなければまずいのです。東京一極集中が行き過ぎると、首都直下型地震が発生したとき、地方が「東京を救う体力がない」ということになりかねないわけでございます。


 別に、現在の選挙制度や地方交付金の仕組みが万全だなどと言いたいわけではありません。とはいえ、「東京都⇒地方」あるいは「中央政府⇒地方」という税収の移転は、日本が全体として生き延びるために不可欠な「おカネの流れ」であり、
「道州制にして、各地方が独立採算性にすればいい! 潰れるべき自治体は、潰せ! 自己責任だ
 などという主張は、いかにも乱暴です。他の国ならいざ知らず、世界屈指の自然災害大国日本で「独立採算的な道州制」など無理です。なぜなら、「潰れるべき自治体」であっても潰れては困るためです。次なる大震災の際に、わたくし達を助けてくれるのは、「潰れるべき自治体」の人たちかも知れないのです。


 そして、この日本において「一票の格差」(都会と地方の格差)を問題視し、人口比例選挙を主張する連中までいるわけですから、愚かとしか言いようがありません。


『一票の格差1.998倍に 衆院選区割り見直し案を勧告
http://www.asahi.com/politics/update/0328/TKY201303280300.html
 政府の衆院選挙区画定審議会(区割り審=会長・村松岐夫〈みちお〉京大名誉教授)は28日、小選挙区定数を「0増5減」する制度改革に伴う区割り見直し案をまとめ、安倍晋三首相に勧告した。「一票の格差」を是正するため、17都県の42選挙区で線引き変更。人口をもとに算出した格差は最大1・998倍となり、現行制度で初めて2倍未満に収まった。安倍内閣は4月前半にも勧告を反映した公職選挙法改正案を国会に提出する方針だ。(後略)』


 各地の高裁が現在の小選挙区制の一票の格差について、次々に「違憲」判決を出し、選挙無効の判断まで下す裁判所が出てきたため、政府は定数是正を急いでいます。さすがに、選挙のたびに一票の格差が拡大する状況はよろしくないので、ゼロ増五減で選挙制度を「メンテナンス」するのは良いと思います。


 問題なのは、上記の「一票の格差問題」の裁判を仕掛けている弁護士たちが、「人口比例選挙」を訴えていることです。今回の訴訟の中心人物は、升永英俊弁護士になります。升永弁護士は、


「これは不条理です。従来は格差が2倍以内であればいいとされていたが、やはり人口比例選挙でなければ話にならない。」
 と語っています。


 日本が小選挙区制で人口比例選挙を実施しようとすると、地方の政治家の数が激減する(その分、都会が増える)ことになります。結果的に、地方の公共インフラの整備などが困難になっていき、地域経済は衰退していくでしょう。そうなると、「次なる震災」が都会で起きたときに、地方側に助ける「実力」が無いという話になってしまうのです。


 何と言うか、人口比例選挙とか「世迷言」を言っている弁護士たちは、
「非常事態を想定せず、日本という国家についても真面目に考えたことが無い」
 としか思えないわけです。



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