Days@Haas - UCバークレーMBA留学記

2013年夏から2年間の米国留学生活をつづります


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おかげさまで、5月22日に無事卒業することができました。このブログの締めくくりに、留学を通じて何を得たのかという総括を書こうと思いながら、帰国やら新生活のセットアップやらでバタバタしていてついに7月になってしまいました。非常に濃密な2年間だったこともあって、そこで得たものをブログで一度に振り返るのが難しいのだけれど、週明けから新しい仕事がスタートするので、このあたりでいったん現時点で感じているところを書き記しておこうと思う。



【人生観/キャリア観】

「やらずに後悔よりやって後悔」をモットーに思い切って私費留学という選択をしたが、留学中はとにかくこれまでやったことのないこと、少しでも興味のあることを、時間とチャンスのある限りなんでもかんでも手を広げてやってみた。その結果、当初自分には無理ではないかと思われたことも、失敗を恐れずとにかく飛び込んで食らいつけばどうにかなるという、自信とも開き直りともとれる何かを得ることができた。

とりわけキャリアについては、(これはアメリカ国内の場合は特に)タイミングと巡り合わせが非常に重要な要素となるので、よくある「10年後の長期ビジョンを描いたうえでそれに向けたキャリアステップを踏んでいく」という考え方を、良い意味で捨てることにした。そもそも前の会社を30歳そこそこで辞めることになるなんて、入社時にはまったく思っていなかったし。新たな道を踏み出せば、それまで見えていなかったことが見えて新しいことを考え出すのは当然だし、それでこそ成長の証だと思うので、自分のキャリアはとにかく直感でいまやりたいことを追及していくのがいいという結論に至った。かのSteve Jobsがスピーチで語ったConnecting the Dotsストーリーも、そのようにその時その時に選んできた道もあとから振り返れば何かしらの筋が通っていまの自分を形作っているものであるという内容であり、まあそんなもんだよねと開き直ることができた。

そして自分は結局、投資銀行業界でM&Aの仕事をすることに決めたわけだが、いまこの決断に全く迷いはない。いま目の前にあるオプションの中で、あらゆる分野に飛び込み、Pros/Consを自分なりに整理し人生のプライオリティをしっかり考えた上で選択をしたからだ。キャリアアップという観点では、MBA留学はブランクを作ってしまう時間でもあるのだが、一方でこれくらいの年齢になった今、一度ゆっくり自分のプライオリティや興味分野をゆっくり整理して残りの人生を考えるというのは素晴らしい機会だと思うし、一時的にキャリアを中断するというConsを補って余りあるProsだと思う。自分の場合、留学当初は、卒業後アメリカに残ってClean Technology/Sustainable Energyをやろうかなどと考えていたが、最終的にこの道は進まないという結論に至った。この変化も、成長の証だと思っている。実際に授業やコンサルティングプロジェクトを通じて業界を学び、またネットワーキングや就活をしながら業界人から様々な話を聞いた上での結論だからだ。


【スキルなど】

・知識/フレームワーク
これまでブログでもいろいろ書いてきた通り、1年目の必修科目から2年目の選択科目まで、さまざまなことを学んだ。知識なら留学しなくても本屋で本を買って読めば勉強できると思っていたが、やはりMBAという場で集中的・効率的にエッセンスを学び、またグループディスカッションや試験勉強などもありながらそれを骨肉化していくことで、より深い学びになったと思う。知識は時間がたつと忘れてしまうものだが、こうしたプロセスで学ぶことでより忘れにくくなるし、忘れたとしても将来関連トピックに直面したときに「ん?前なんかこんなのやったな?」と思い出して振り返ることで実務に活かすことができるはずだ。さらに、アメリカMBA式に常に自分の意見が求められる中で様々なトピックをカバーすることで、日常のニュースについても自分なりの意見を持ちながら聞く癖が自然とできたし、そういったことをするだけの自分の引出しもできたと感じている。

・英語コミュニケーション力
留学の動機のひとつに、ネイティブスピーカーと遜色なくディスカッションができるようになりたいというものがあった。社会人になってから商社で英語を使いながら仕事をしてきたし、海外駐在もさせてもらったが、それでもネイティブに高速英語でまくしたてられると思考が完全停止してしまっていた。そしてそれは自分だけでなく、10年、20年上の会社の先輩を見ても同様の症状だったので、このままこの会社にいてもネイティブと渡り合えるようにはならないと危機感を抱いた。そして留学先を選ぶ際も、多様性を売りにする欧州スクールではなくあえてネイティブが多数派である米国にした。やはりグロービッシュとネイティブイングリッシュの壁は厚く、留学当初は自分の英語も理解してもらえなかったし、教授やクラスメートが何を話しているのかさっぱりわからなかった。ハリウッド映画の英語が目の前で常に繰り広げられていると思って頂ければわかりやすいと思う。これについてはとにかく日々自分の発音を矯正しつつ、グループワークや発表の機会に積極的に飛び込みとにかくコミュニケーションを増やしつつ、自宅でもYouTubeやポッドキャストなどをとにかく聞いて耳を慣らしていく地道な努力によってなんとかついていけるようにはなった。リスニングについてはまだ聞き取れないこともけっこうあり、なんとか文脈などで推測しながらついていく場面も多いが、発音についてはネイティブ相手にもある程度自然に伝わるようなリズム・スピード・口の動きができるようになったと思う。英語なんて内容が相手に伝わればブロークンでも何でもいいんだと語る日本人がいるが、自分はそれは必ずしも正しいとは思わない。日本人どうしが会話するのだって、タイミングや言葉選びを慎重に考えながら話しているのであって、英語もしかりで、コミュニケーションにもマナーがあり、相手としっかりした信頼関係を築くためには英語らしい間の取り方や言い回しが重要だと思う。また聞く・話すスキルだけでなく、英語の長文アレルギーも解消できたと思う。毎日数十ページのリーディングアサインメントが出される中で、当初は要領をなかなか得られず3-4時間睡眠でついていった日々だったが、だんだん緩急のつけかたもわかったし、読むスピードも速くなったので数十ページの英文にも全く抵抗がなくなった。

・ネットワーク
これもよく言われることだが、留学で得られたネットワークは今後の人生において素晴らしい財産になると思う。まず同級生とは意識的に共同作業の機会を追及する中で、人間関係の構築に努めた。彼らは卒業後あらゆる業界、国に散って活躍することになるので、今後の仕事を通じて何か困った時には彼らを頼ることになるだろうし、プライベートでもこの関係は維持していきたい。まだ卒業して2か月たっていないが、同級生が既に3人もアメリカから来て自宅に泊まっていった。英語力の維持にも良い機会であるが、それ以上に、彼らと一緒に歩きながら改めて東京について学ぶ点も多く、自分の人生を豊かにしてくれている。そして留学を通じて得た日本人とのネットワークも大きい。UC Berkeleyの大学院にはMBAだけでなく様々な日本人留学生が来ており、官僚、弁護士・裁判官、エンジニアなど多くの方々と接することができた。
そして何気に最大の無形資産ではないかと思っているのが、日本人MBAのネットワークだ。Haas
2015卒の○○ですと名乗れば、他校のMBA卒業生ともコンタクトをとることができるのでこの会員制クラブのような場に入ることができたのはものすごく大きい。インターン中も他校のMBA生とかなり仲良くなれたし、Independent Studyの課題でも他校生に教えてもらったり、卒業後もいくつかのMBA関連イベントに参加しながら改めて感じている。やはり自分ひとりでできることには限界があるので、何かのときに聞ける・頼れる人が増えるのは重要なことだ。


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とまあ最後のポストまで思いつくままにだらだら書いてしまいましたが、個人的にはとにかく自費でも留学して120%よかったと思っています。ブログを読んでくださっている方々も、MBAでやりたいことが明確なのであれば是非チャレンジして下さい

そして卒業した今、これから実務を通じてその成果を一生懸命アウトプットし形にしていくことが自分にとって本当の勝負だと感じています。前職とMBAを通じて、自分の仕事観として「天下国家にどう貢献するのか、目の前の仕事はその為にどのような意義があるのか」と考える習慣がついていて、もちろん自分ひとりが社会・国家に与える影響など微小であることはよくわかっているものの、そういう意識をもちながら少しでもインパクトの大きな仕事にステップアップしていこうという心構えは大切だと思うし、そういった個人個人のモチベーションの積み重ねで社会は変わっていくのだと思います。

最後に、ここまでブログを読んでくださった皆様、誠に有難うございました。皆様のご健勝・ご多幸をお祈りしつつ、締めくくりとさせて頂きます。
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さて今回はIndependent Studyについて。もともとの動機は、今学期に平日VCでお手伝い をしていたので折角だしその内容をレポートにして単位を取ろうかな、という軽いものだったが、やり始めてみると結果的にあれもこれもといろいろ気になることがあって手を広げていってしまった形だ。


当初の入口は漠然と、シリコンバレーをシリコンバレーたらしめている(他がコピーできない)要素は何なのか、それに基づいて日本は完コピまでできないまでも何をどう改善したら良いのか、という関心だった。それらについて色々な書籍や論文を読み進めるうちに、数年前からずっと問題意識をもってきた外国人労働者・移民受入れ関連のトピックにフォーカスしてリサーチした。


性格的に締切がせまらないとエンジンがかからないので、結果的にガッツリやったのは中間レポートと最終レポート前のそれぞれ1, 2週間程度になり、自分の知らないことを調べるのに精一杯、それらに基づく自分なりの洞察的なものは残念ながらほとんど盛り込めておらず尻切れトンボ感は否めない。。


とはいえそれなりに時間をかけていろいろ調べたので、大枠だけでも書き残しておきたい。


まずテーマは"Silicon Valley's Ecosystem - What Japan Should Learn From Them"という壮大なもの。。


第一章では日本の起業環境について概観。アベノミクス三本目の矢の中に含まれる起業支援政策や、過去の関連政策、加えて関連する最新データ(ベンチャー投資やIPO・M&Aの推移、VCの規模感など)を調査。


第二章ではアメリカについて、同様の最新データ調査や直近のスタートアップトレンドとしてのGo Public vs Stay Privateのトピックに触れた。そしてVCでの経験・学びについても触れ、シリコンバレーがいかに多人種・多国籍で構成されているかについての気づきについて展開。


第三章ではシリコンバレーにおける移民の役割についてフォーカス。VC経験を通じた気づきに加え、中東駐在時にも外国人労働者の経済発展に対する役割について意識を持っていたので、今回のスタディをきっかけにこのトピックについて深堀りしてみたいという動機。ちなみに自分の駐在していたカタールは人口の8割が外国人労働者で占められており、もはや彼らなしに国家はまわらない状態にまで依存している。シリコンバレーでの移民の歴史や役割については、AnnaLee Saxenianが膨大な先行研究をしており、さらに偶然にもAnnaLeeが現在UC Berkeley, School of InformationのDeanであることも知り、彼女の先行研究を読み漁った。またこれら研究がやや古い(1970-80年代に渡米した第一世代移民にフォーカスしている)ことからも、身近な第二世代移民にも関連インタビューを行った。


第四章では、これらを受けて日本の移民政策に関するトピックを概観、自分なりにシリコンバレーの移民の役割やカタールでの運用状況を踏まえて日本はこうすべき、という簡単なレコメンデーションをもって締めくくった。日本の状況に関しても、外国生まれで日本で働いている知人数名にインタビューを行った。


結果的にいろいろな方にインタビューをしたり、教えを乞うたりしているうちに、それらの方々から「面白そうなテーマだからレポートできたら見せてね」と言われ。そうなってくると中途半端なものは書けないなーと思いながら、最後は締切ぎりぎりまで書き続けて時間内にできる内容で終了。。本当は時間があればもっと深めたかったのだが。何気に自分はビジネスよりも研究者のほうが向いているのかもしれない。


最後に、本論文を書くにあたり参考にした書籍・論文を以下まとめておく。

- Martin Kenney. Understanding Silicon Valley. Stanford Business Books.2000.

- AnnaLee Saxenian. Regional Advantage. Harvard University Press. 1994.

- AnnaLee Saxenian. The New Argonauts. Harvard University Press. 2006.
- AnnaLee Saxenian. Silicon Valley's New Immigrant Entrepreneurs. Public Policy Institute of California. 1999.
- AnnaLee Saxenian. Local and Global Networks of Immigrant Professionals in Silicon Valley. Public Policy Institute of California. 2002.


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さてこれが最後の授業振り返りシリーズ。MBAはロケーションが一つの重要な要素と常々考えているが、その典型のようなものがこれ。シリコンバレーにすさまじい人脈をもち、MOTのProgram DirectorもつとめるAndrew Isaacs教授によるテクノロジー・アントレプレナーシップ関連のクラス。Isaacs教授は日本でのコンサルティング経歴も長いらしく、国立に数年住んでいたそうだ。自分の出身大学が国立にあったので、地元トークで少々盛り上がったのを覚えている。

【概要】

科目: Opportunity Recognition: Technology and Entrepreneurship in Silicon Valley

期間: 1/20~5/7 (週2日1.5時間x15週、各11:00-12:30)

教授: Andrew Isaacs, Adjunct Professor

教科書: The Innovator's Dilemma by Clayton Christensen

      Regional Advantage by AnnaLee Saxenian

      Understanding Silicon Valley by Martin Kenney

      Crossing the Chasm by Geoffrey Moore

      Inside the Tornado by Geoffrey Moore

      Getting to Plan B by Mullins and Komisar


【学び・気づき】

今学期はVenture Capitalでのお手伝いやIndependent Studyとしてのシリコンバレー研究もしていたので、この授業での学びはそれらともリンクすることになり有意義だったと感じている。

上述の通りIsaacs教授の強みはシリコンバレーのテック業界における人脈。週2日(火・木)のクラスだったが、毎週火曜は教授自らが執筆したケーススタディに関するディスカッションを行う。ケースの主役がほぼ毎回スピーカーとしてクラスに参加するのがすごい。木曜も毎週のテーマにのっとったスピーカーが来て話をしてくれる。ClouderaのFounderとかKPCBのパートナーとかGeoffrey Mooreとか、なかなかすごいメンツ。Mu Chipは日立のケースで、実際にプロダクトマネージャーをしていた日本人の方がゲストスピーカーだった。

各ケースのタイトルと、ケース以外で今学期に来たスピーカーのリストは以下の通り。

[ケーススタディ]

- Materials Technology

- Biopure

- Ecton

- Mark Logic

- Beta Golf

- Mu Chip

- Nest

- GE

- Twitter

- Bitcoin and RealtyShares

- RAPT


[その他スピーカー]

- Mike Olson, Founder of Cloudera

- Frans Nauta, Cleantech Entrepreneur

- Randy Komisar, Partner of KPCB

- Pedram Mokrian, ex-Principal of Mayfield Fund

- John Rendon, President of Rendon Group

- Paul Saffo, Technology Forecaster in Silicon Valley


もともとテック業界には疎かったのだが、このクラスやVCでの経験を経てかなりの知識やフレームワークは身につけられた気がする。


各ケースではディスカッションのベースとなる設問が事前に与えられるが、基本的にはCleantech to Market でやったのと同じようなアプローチでGo-to-Market Strategyを考えるというもの。この技術のアプリケーションはどうするのが良いか、Value Propositionは何か、どういったマーケットセグメントを狙うべきか(Chasmを乗り越えるためのBeachhead Market含む)、マネタイズの方法(ライセンスvs自社製造vsアウトソースvsPartnership/JV)、資金調達の方法(エンジェル、VC、政府補助金等)などが主な課題。

授業と並行してグループワークもあり、各グループで関心のあるスタートアップを1社選択し、授業で学んだフレームワークをはめて分析するというもの。自分のグループはFinTechに関心の高い人間が多かったこともあり、P2P Lending Platformの"Lending Club"を選択。授業で不動産にフォーカスしたRealtyShareを扱ったことや同級生が起業した学生ローンフォーカスのWeFinanceの存在もあり、P2P Lendingを多面的に見れたと思う。


これで授業の振り返りは終了。卒業前に、今学期取り組んだIndependent StudyとVCインターンについても振り返りたい。

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