それは見えない川のように 夢見る人と夢の間を流れる

    

私はキスをされる そのキスは私

     

私は分離の夢から 私自身に目覚める

決して実在しなかった分離の夢から

       

(カヴィータ「分離なきものの愛の歌」)

 

 

以前 mixiが流行ってた頃に

 

40万人近くのコミュニティを運営していたんですが、

 

そのときのミミさんという人の投稿をご紹介します

 

 

 

 

昔 とある町に

1人の男の子と

1人の女の子が住んでいた
 



男の子は

自分のペースで物事を取り組み

“面倒くせぇ”と言っては

途中で 飽きて すぐに

諦めてしまうような子だった




女の子は

何でも一生懸命に取り組み

“頑張れば何でもできる”

と 言っては 頑張りすぎて

疲れ果ててしまうような子だった



そんなある日

2人が 町で偶然 出会った




良い所も悪い所も

お互いにないものを

持っている2人




そんな2人が

互いに 惹かれあうのに

時間はかからなかった




男の子も女の子も

毎日が発見で 毎日が真新しく

そして毎日を笑い合いながら

楽しく日々を過ごしていた




2人で過ごす時間の中で

男の子は最後まで

一生懸命頑張る大切さを知った

女の子は自分のペースで

無理せず頑張る大切さをを知った




そうして幾日過ぎただろうか





2人の会える時間も少なくなり

だんだんと

男の子の心は離れていった




女の子は悲しかった

男の子の心が

遠くへ行ってしまいそうで

自分1人だけ置いていかれそうで

そして この先

1人ぼっちになってしまうような

気持ちで怖かった




そんなある日 男の子は

女の子に別れを告げた




女の子には 理解できなかった

あんなに毎日が楽しかったのに

なぜ 男の子が女の子の隣から

いなくなったのか

女の子には全くわからなかった



それからの女の子は

誰かと出会う事が怖くなった




誰かと出会い また別れるのなら

誰にも会わなければいい

家の中に1人でいれば

そうすれば

こんなに悲しい別れを

もぅ二度としなくてすむ

こんな思いをしなくてすむ




そぅ言って

家の中に閉じこもり

毎日を過ごしていた




それをずっと見ていた恋の神様

見るに見兼ねて

女の子にこんな事を聞いた




「なぜ閉じこもっているのだ?」




この問いに 女の子は


「閉じこもっていれば
 誰にも出会う事はありません」


と 答えた


すると 恋の神様は


「そうか…
 お前はそれで幸せか?」


と 尋ねた




女の子は


「幸せです
 別れる悲しみがありませんから
 あの苦しみがありませんから」


と 答えた


「そうか
 私には幸せに見えなかった
 お前の心が
 泣いてるように見えたが
 お前が幸せならそれでいい」


そう言って 消えようとした時




「どうして別れがあるのですか?
 どうしてこんなに辛い思いを
 しなくてはならないのですか?
 この出会いに
 何の意味があったのですか?
 こんな思いをするくらいなら
 出会わなければよかった」




女の子は今までの思いを全て

恋の神様にぶつけた




すると 恋の神様は


「本当にそう思うのか?
 なら お前に
 いいものを見せてやろう」


そう言って

女の子の手をとり

2人が出会わなかった世界へと

連れていった




そこには

男の子と女の子の姿があった




男の子は

最後まで頑張る事をせず

全ての事を中途半端にし

そしていつしか

誰からも相手にされなくなり

1人で心閉ざしていた




女の子は

頑張りすぎてしまい

誰にも寄り掛かれず 疲れ果て

心が折れてしまい

1人で心閉ざしていた




その姿を見た女の子は

言葉を失った




その様子を見ていた恋の神様は


「今のお前が在るのは
 なぜだと思う?」


呆然と立ちすくむ女の子に尋ねた


「男の子と出会ったからです」


女の子が小さな声で答えた




「これでも
 出会わなければよかった と
 そう 思うかね?」


恋の神様は静かに尋ねた




「出会えてよかったです」
 

と 女の子は声を震わせながら

ポツリと呟いた




「あの時のお前達には
 互いが必要だった
 しかし
 互いの役割が終わった今
 今在るお前達を必要としている
 人達の元へ行かねばならない
 ずっと 閉じこもっていたら
 その人が
 お前を 探せないだろう」




恋の神様は

優しい声で女の子に言った




それを聞いた

女の子の目に涙が溢れだした




そして


「互いの人生に必要な時
 必要な時間だけ
 その人生は交わる
 そして それぞれの役割が
 終わった時
 またそれぞれの道を歩む
 互いの持つメッセージを
 相手に伝える為にな」
 

恋の神様はそう言って

ニコリと微笑んだ




「だから たくさんの
 出会いと別れをしてきなさい
 そして たくさんの自分に
 出会いなさい
 お前を必要としている人の為に
 大きく大きく成長しなさい
 お前を成長させてくれるのは
 人でしかないんだよ」




そう 言い残して消えていった




女の子は 今の自分が在るのは

男の子と出会えたからだ

という事に気がついた




女の子は男の子との

過ごした時間の中に

隠されたメッセージが

何であったのかがわかった




そして なぜ男の子が

隣にいないのかという事も




それからの女の子は

閉じこもる事なく

ひとつひとつの出会いと別れを

大切にしていった




例え 悲しい別れであっても

例え 苦しい別れであっても

その人が教えてくれた

メッセージを胸に

新しい自分との出会いに感謝し

自分を必要としてくれる人の為に

自分を成長させていった




そんなある日 あの男の子が

再び女の子の前に現れた




互いに成長した2人




互いの人生に

互いが必要だと知ったのだろう




男の子は女の子の全てを包み込み

守れる程に 強く大きく成長し

女の子は男の子の全てを支え

何事にも負けない程に

強く大きく成長していた




そうして 2人は

永遠の愛を誓いながら

幸せに暮らしていった

 

 

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