「すべてのアメリカ人のための科学」
2009-08-04 01:46:38 Theme: 科学哲学・科学史 posted by tahara-phys民間団体の全米科学振興協会が、アメリカ人一般の科学リテラシーを向上させるためのプロジェクトを1989年からスタートさせているということを、数日前に知りました。
「すべてのアメリカ人のための科学」(Science for All Americans)というプロジェクトです。
このプロジェクトを知ることになった経緯は、次のとおりです。
科学史を、物理教育の中にどのように取り入れていくのがよいのかを考えていたところ、渡辺正雄さんの本の中に、「ハーバード物理」について書いてあるのを読みました。
ハーバード大では、物理を教えるときに、その歴史的背景や、科学技術と社会の問題やなど、さまざまなことを盛り込んで教え、とにかく興味を持たせることを優先したカリキュラムを行っているとのことで、その試みを「ハーバード物理」と読んでいるとのことでした。
そこで、「ハーバード物理」について調べていたところ、「すべてのアメリカ人のための科学」にたどり着いたということなのです。
「すべてのアメリカ人のための科学」の背景は、こちらを読むと分かります。
http://www.science-for-all.jp/link/download/sub1-028.pdf
このプロジェクトでは、科学の基礎知識として、どのような内容を、どのように教えたらよいのかということを、各分野の専門家が議論を重ねて、200ページ以上の本にまとめているのです。
そして、その内容すべてを無料でダウンロードして読むことができます。
文科省版「すべてのアメリカ人のための科学」
http://www.project2061.org/publications/sfaa/SFAA_Japanese.pdf
ボランティア版「すべてのアメリカ人のための科学」
http://sfaainjapanese.seesaa.net/
ボランティア版は、このプロジェクトを日本に紹介することの重要性を感じた黒影さんという方が、ネット上で翻訳を手伝ってくれる人を募集し、ボランティアによって翻訳を完成させたものです。この活動が影響したのか、公開予定ではなかった文科省版の翻訳もネットで公開されることになりました。
目を通した感想ですが、高校生だけでなく、教師にとってもとても役立つ内容です。
科学に関する全般的な知識を得ることができます。
「システムとは何か」「モデルとは何か」といった説明を読んで、僕も、いくつか気づかされることがありました。
現在、科学を勉強されている方、科学を教えている方にお勧めです。
日本でも、「すべての日本人のための科学」を、本来なら作らないといけないのでしょうね。
それを作る作業によって、日本で科学を学ぶということは、どういうことか、日本の伝統的な知のあり方との折り合いをどうやってつけるのかといった問題を検討する機会を持つということは、大きな意義があるように思います。








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