2010年06月17日(木)

エントロピー増大の法則に打ち克つ:書斎の大整理を実行中

テーマ:読書・書評・書斎論

今週から書斎の大掃除ならびに整理整頓に本格的に取り組んでいる。


本、雑誌、書類、郵便物は1日や1週間単位ではその量は気にならないが、これが1ヵ月になるとちょっと時間を割いて取り組まねばならず(といっても15分程度か)、それが3ヶ月になると整理に取り掛かるのに気合が必要となり、半年ともなると手が付けられない状態にまで増殖する。これはまさに「エントロピー増大の法則」である。片付けない限りは増殖を続け、減ることは決してない。


散らかっている状態が自分の許容できる範囲内ならば大きな問題はないが、キャパシティーを超えてしまうと「場の空気が淀み」「うっかりミスを誘発しやすくなり」「運気が近寄らなくなる」のをいつも感じる。そのぎりぎりの時期が来たと判断した。


今回は机の上や床に積み重ねられた本・書類などの整理に留まらず、思い切って机の位置も変えてみた。中学生の頃、勉強がはかどらなくなると気分転換に自分の部屋の配置換えをよくやったものだった。同じ部屋なのに、机や棚の位置を変えるだけで雰囲気がガラリと変わる。「ひょっとしてこれで自分の人生は変わるかも」などと淡い期待を何度も持ったことなどを急に思い出して懐かしくなった(人生は特段変わらなかったようだが)。


私の書斎は小さな中庭に面していながら、これまではその景色が見えない位置に机を置いていたのだが、今回は景色がきちんと見えるようにガラス戸との空間を広く取り、長方形の書斎に対してちょうど斜めに机を配置するというこれまでやったことのない形にトライした。すると、まるで違う雰囲気となった。中庭の夏椿が咲き始めているのも確認できる。そして部屋に微かに空気が流れるのを感じた。うん、これはなかなか良い状況だ。なぜ今までわざわざ景色の見えない位置だったかと言うと、ガラス戸が南向きなので朝方の太陽の光が低い時には日差しが直接差し込んでまぶしかったからだ。パソコンの画面が真っ白になって作業できなくなる。それを斜めにすることで解消した。


とはいえ、肝心の本・雑誌・書類・郵便物の整理整頓は3割程度終わったところだ。これをきちんと片付けて大事な空間をピカピカにしてみようと思う。さあ、今度こそ人生を変えてみましょうか。


太田忠の縦横無尽 2010.6.17

「エントロピー増大の法則に打ち克つ:書斎の大整理を実行中」

        **太田忠投資評価研究所のHPはこちら**


いいね!した人  |  リブログ(0)
2009年11月12日(木)

本が見つからない!

テーマ:読書・書評・書斎論

原稿を書いたり、調べ物をしたり、ふと気になることがあった時に、「あの本の中に書いてあった」ということがわかっていても、いざその本があるべきはずの場所にないことが、最近立て続けに3回も起こった。


私は学生時代から将来は自分の書斎・書庫を持ち、社会人になっても「思索的」「創造的」に生きたいと思い、ようやく30歳頃から徐々に形作りをして、現在はそこそこ満足のいく状況になっているのだが、いかんせんきちんとした整理をしていないと、効率的に機能しないのが身にしみてよく分かる。


先日も本多静六という明治から昭和初期を生きた東京大学教授でユニークな「4分の1天引き貯金」によって後年莫大な財産を残した偉人に関するインタビューを受けることになった時に、あるべきはずの何冊かの本が見当たらず困ってしまった。


現在、我が家には2万冊を収容できる書棚のスペースがあるのだが、これをいちいち調べていたら何時間もかかってしまう。本の奥に本がある場所を調べるのは特につらい。こんなときは「30分ルール」という私独自の本探しのルールがある。すなわち、30分探しても見つからない場合は、①あきらめる、②また買う、という2つの選択肢である。


今回は仕方がないので、即アマゾンで発注して翌日受け取ることにした。そうすると次の日にその本が、探していた場所の1段下の棚にあったのを発見した。「うーん」とうなりながら「またか」とつぶやく他なかった。こうして我が家には同じ本が2冊ある、というのが30~40冊くらいはある。たいてい買ってから1週間もしないうちに出てくるのである。


しかし、時には1時間以上探しても出てこないことだってままある。これはかなりの時間的損失である。だから「30分ルール」を崩すわけにはいかないのである。


書棚の整理・整頓を本格的にやりたいと思うのだが、なかなかそこまで手が回らない。本格的とはいかないが、空き時間を利用してぼちぼちやっている、といった程度である。公共図書館や古書店では年がら年中、本の入れ替えや整理をやっているため整理中の本が無造作に積み上げられ、その周辺に脚立が置いてあるのをよく見かけるが、あの状況は非常によく分かる。ああいう風にしか対処できないからであり、我が家もそうである。


太田忠の縦横無尽 2009.11.12

「本が見つからない!」

         **太田忠投資評価研究所のHPはこちら**


いいね!した人  |  リブログ(0)
2009年05月23日(土)

岡本太郎はとんでもない名文家だった

テーマ:読書・書評・書斎論

岡本太郎の幻の作品「明日の神話」が発見され、大掛かりに修復された後、渋谷駅に展示されたのが昨年の11月。重々しいテーマを扱った作品だが、そのスケールの大きさ、強烈な存在力には圧倒される。


岡本太郎が活躍していたのは、私が子供の頃だ。子供心に「芸術は爆発だ!」というコマーシャルの印象ばかりが強くて、彼がれっきとした芸術家だということはあまり知らなかった(有名な「太陽の塔」ができた時はまだ私は6歳で、それが岡本太郎の作品だと知ったのは高校生くらいだったと記憶している)。その懐かしのコマーシャルは日立マクセルの宣伝なのだが、岡本太郎がピアノの前に座り、高速アクションで鍵盤をバシバシ叩いた後、絶妙な一瞬の呼吸を置いて、頭上のカメラに向かって有名な文句を叫ぶ。


「明日の神話」の実物を見たのをきっかけに、『自分の中に毒を持て』という手ごろな文庫本のエッセイ集から読み始めたのだが、これが面白くて止まらなくなった。彼のような生き方が強烈な人間だと、アウトプットされる文章にもその個性が強烈に出る。気迫が1行1行すべてから滲み出ていてそのパワーがこちらにビシビシと伝わってくる。しかも文章がうまい。「これは全部読まねば」という私のいつものスタイルになった。心の琴線を揺さぶられた著作家の本は、すべて徹底的に集めて読むというのが私の主義である。とりあえず、アマゾンで現在簡単に入手できる約40冊の本を昨年の暮れにまとめて発注した。


圧巻だったのはみすず書房から出版されている5冊からなる岡本太郎の芸術論集である。意外だった。なぜならば、これまでに芸術論などを読んで感心したためしがほとんどなかったからだ。たいていは捉えどころがなく、何を言っているのかさっぱりわからないのである。要するに己の自己満足を難解かつ曖昧な表現をするところで腕を競い合っているのが芸術論だと私は考えていたからだ。岡本太郎の芸術作品はことごとく日常を超越していて、それを正しく理解する能力など私のような人間には全くないが、彼の芸術論集は群を抜いてすばらしい第一級品であることは自信をもって断言できる。どれもが的確な表現力を伴った名文で、どんな難しい対象を話題に取り上げても、平易に書かれているのですらすらと心に沁み込んでくる。しかも太郎流に直截迫ってくるのだ。次から次へと発見があり、この世の真実を教えてくれる。これは一流の書き手に共通する現象であり、今回もつくづくとそれを感じ入った。こうして、岡本太郎は私の所蔵ライブラリーの重要ポストにおさまった。


手元に集めた40冊の本を年代順に並べて眺めてみると、売れっ子はどんどんいびつな形でメディアのダシにされるのかが一目瞭然だった(彼はそれを楽しんでいたらしいが)。彼の死後に出た岡本太郎を特集した本『Be Taro!』は思わずしかめ面をしたくなるネーミングだ。「岡本太郎になれ」というのは間違いだろう。岡本太郎がもしこの本のタイトルを見れば不快感を催すに決まっている。「あなたはあなたになれ」「あなたはあなたにしかなれない」というのが彼の考え方だからだ。『日本人は爆発しなければならない』。これもおかしなタイトルだ。彼が言っている「爆発」という概念から大きく外れており、とにかく「爆発だ」というセリフを入れれば販売部数がアップするという安易な発想としか思えなかった。


それにしても子供心の「爆発オジサン」のイメージはことごとく崩壊した。こんなにも卓越した名文家だったとは。岡本太郎が私のほうを向いて「ニヤリ」とした姿がはっきり見えた。


【岡本太郎のおすすめ本】

岡本太郎からパワーがもらえる本

  『自分の中に毒を持て』(青春文庫)

  『壁を破る言葉』(イースト・プレス)

岡本太郎の名文を堪能できる本

  『岡本太郎の本 全五巻』(みすず書房)

    呪術誕生、日本の伝統、神秘日本、

    わが世界美術史、宇宙を翔ぶ眼

岡本太郎の写真家としての凄腕を知る本

  『岡本太郎の沖縄』(NHK出版)

「明日の神話」を詳しく知る本

  『明日の神話 岡本太郎の魂』(青春出版社)


太田忠の縦横無尽 2009.5.23

「岡本太郎はとんでもない名文家だった」

        **太田忠投資評価研究所のHPはこちら**



いいね!した人  |  リブログ(0)