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2012年04月14日(土)

さわやかな春の風:あなたの心に【中山千夏】-太田忠(ピアノ)

テーマ:ピアノ演奏動画

あなたの心に風があるなら
そしてそれが春の風なら
私一人で吹かれてみたいな
いつまでも いつまでも


中山千夏、と言っても今の若い人はほとんど知らないと思うが、私が小さかった頃から「才媛」としてその名を馳せ、「聡明で(若い女性としては珍しく)自分の意見をはっきりと言う人」という印象が強かった。女優、声優、テレビタレント、作家、参議院議員など多面的活躍をした人である。現在は、市民活動を中心に軸足を移されているようで、メディアでお目にかかる機会がほとんどなくなってしまったが、とにかく、「中山千夏」は子供の頃から忘れられない名前である。


その千夏さんが歌手だった、というのを知ったのは昨年の終わり頃である。都倉俊一が初めて作曲家としてヒットを飛ばしたのが「あなたの心に」という曲であったことを知り、それを作詞し、かつ歌ったのが中山千夏であったのだ。冒頭に記した詩は、この曲の1番の歌詞である。




学生運動がまだ盛んであった1969年。当時、学習院大学法学部の三年生だった都倉俊一はアルバイトとして作曲や編曲を手掛けていた。この頃はちょうどレコード業界が変革の時期に入っており、レコードだけではなくカセットテープが普及し始め、業界各社は音楽作品作りに奔走していた。


「プロの作曲家やアレンジャーに頼めば、1曲1万円もするものが、学生アルバイトだと3千円ですむ。だから私のような存在は重宝され、私も実践的な訓練だと考えて無理なスケジュールをこなしていた」とは都倉俊一は述べている。


ある日、彼のもとに作曲の依頼が来た。カセットテープの制作会社から中山千夏という歌手に曲を作ってほしいというものだった。しばらくして本人の自作の詞が届けられ、そこには「あなたの心に」というタイトルがついていた。
「暗めのメッセージフォークに飽き飽きしていた私に、このシンプルな詞はなんともさわやかですがすがしく感じられた」


レコーディングは7月におこなわれ、発売は9月に決定。たちまちヒットチャートのベストテン入りを果たし、1969年のオリコンシングルチャートで堂々の第2位を獲得。
「印税ってこんなにすごいのか」と都倉俊一は驚き、真っ赤なフェアレディZを買ったそうだ。何とも古き良き時代の話である。


ところで、1969年のオリコンシングルチャート1位の曲はご存じだろうか。何と「黒ネコのタンゴ」である。いやはや、時代を感じるね、これは。なお、以前に取り上げた「夜明けのスキャット」も1969年である。(訂正:「黒ネコのタンゴ」は1969年は第5位、1970年に第1位獲得。「夜明けのスキャット」は1969年において第1位)


ソロピアノの「あなたの心に」はこんな感じになった。


オリジナルはこちら:あなたの心に【中山千夏】-太田忠(ピアノ)


太田忠の縦横無尽 2012.4.14

『さわやかな春の風:あなたの心に【中山千夏】-太田忠(ピアノ)』

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2012年03月15日(木)

卒業シーズン来たる:卒業写真【荒井由実】-太田忠(ピアノ)

テーマ:ピアノ演奏動画

今日は3月15日。そう確定申告提出の期限日である。関係のない人にとっては何てことはない日であるが、私にとっては3月15日は絶対にスルーできない日である。なぜなら、毎年この日に確定申告をするからだ。確定申告をした初年度こそ税金が還付され、「確定申告をすれば税金がかえってくるんだ」と何やらとても得をした気分を味わったのだったが、その恩恵をうけたのはたった1年だけだった。その後は一貫して「追加で税金を納める日」となった。嗚呼。


冒頭から話が脱線してしまった。3月は卒業シーズン。今、まさに卒業式が全国各地の学校でおこなわれている。あちらこちらに忘れられないドラマがあるはずである。


ユーミンこと松任谷由実がまだ荒井由実の時代に書いた「卒業写真」は1975年の作品である。彼女の3枚目のLPアルバム『Cobalt Hour』の2曲目に収められている。発売日は6月20日。だが、そのリリースよりも一足先の2月5日にハイ・ファイ・セットのデビューシングルとして発表され、たちまち人気曲となった。37年を経た今なお卒業ソングとして不動の地位にある。


実は私はユーミンの曲は、あまり熱心に聴いたことがなかった。ユーミンの曲の多くをカバーしている山本潤子さん(元ハイ・ファイ・セット)の声がお気に入りなので、もっぱらそちらを聴くのがメインだった。だが、今回「卒業写真」をピアノ編曲するにあたって、ユーミン作品をチェックしてみたところ、いろいろな発見がありとても面白かった。彼女の曲作りは思いつきやフィーリングによる要素が非常に少なく、その曲を成功に導く「仕掛け」や「戦略」が巧みに計算されている面が強い、というのが私の印象である。彼女は実に多くのチャレンジをしており、日本の音楽業界における革命的存在であると言える。


この「卒業写真」にしても、導音が省略された「FonG」の何とも言えないちょっと曖昧な表現やコードが変化する部分にも保続音を用いて同じ気分を引っ張る表現などが散りばめられて、独特な世界を創り上げている。こういうことは楽曲を分析していると、とても目に付くことであり「ほほう」「あーなるほど」と感心してしまう部分なのだ。


ところで、「卒業写真」に出てくる主人公は女性であり、その女性が「あなたは私の青春そのもの」と言っている「あなた」は男性のことだと私はずっと思っていたが、そうではないことを知ってやや感動の度合いが薄まってしまった。荒井由実の体験として生まれたこの曲の「あなた」のモデルは高校時代における女の先生であり、「遠くで叱って」くれる存在だったようだ。しかし、それはあくまでもこの曲の誕生話。聴き手は聴き手自身の解釈でよい。


「卒業写真」はまさにソロピアノ向きであり、工夫を凝らせば相当良い楽曲に仕上がると思う。


オリジナルはこちら:卒業写真【荒井由実】-太田忠(ピアノ)


太田忠の縦横無尽 2012.3.15

『卒業シーズン来たる:卒業写真【荒井由実】-太田忠(ピアノ)』

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2012年02月29日(水)

春もいよいよ間近に:なごり雪 【イルカ】-太田忠(ピアノ)

テーマ:ピアノ演奏動画

今日は2月29日。4年に1度しかやってこない暦である。東京でも未明からの雪で、一面の銀世界。ますます雪は本降りとなっている。


「なごり雪」はかぐや姫時代に書かれた伊勢正三の作品(作詞・作曲)であり、彼らの4枚目のLPアルバム『3階建の詩』に収録されたのが1974年。じわりじわりと有名になり、翌1975年11月にイルカがカバーして大ヒットとなった。今から40年近く前の曲であるが、世代を超えて受け継がれている曲と言ってよいだろう。若い人もよく知っている。


私がちょうど小学6年生の頃の曲であり、確かラジオ番組で伊勢正三が「なごり雪はボクが初めて作詞・作曲をした曲です」と言っていたのを聞いて、「いや、才能のある人は第1作目からすばらしい曲を作るもんだな」と私は感心した記憶がある。


この曲はドラマ仕立てであり、映像的イメージが非常に濃い。厳しい冬が終わって、さあこれから春というところで別れがやって来る。その切なさが聴く人々の心にじわりと伝わってくる。


「汽車を待つ君の横で僕は時計を気にしてる」
という出だしから、同音での16分音符の連打が続き、これはピアノではとてもやりづらいのだ。歌っているとあまり気にならないが、曲が同音の16分音符の連打で作られているケースというのは非常に少ないと思う。一歩間違えば、まるで平坦なお経のような感じになってしまう。ピアノを弾くときにはまず、この点の克服が必要である。


そして、イントロおよび間奏部分で、ピアノの88健の一番高い音「ド」を弾くことにチャレンジした。今までピアノの譜面で、最高音を弾く楽譜に私はお目にかかったことはないが、どうしてもこの曲ではそういうことがやりたくなったので、アレンジしてみた。また、曲全体は2コーラス半であるため、サビの部分が3回出てくるが、1回目→2回目→3回目と回を追うごとに音符の数を増やし、盛り上がるようにしてみた。同じサビを繰り返していたのではまことに味気ない。そして、エンディングは「君が去り、一人ホームに残された自分」の目に雪がひらりと落ちるのが映って物語は終わる。


オリジナルはこちら:なごり雪【イルカ】-太田忠(ピアノ)


太田忠の縦横無尽 2012.2.29

『春もいよいよ間近に:なごり雪【イルカ】-太田忠(ピアノ)』

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