2016年10月30日(日)

予断を許さなくなった米大統領選挙

テーマ:金融・マーケット・資産運用

朝晩めっきりと冷え込みが厳しくなった。株式市場はハロウィンを境にして強含むというのがアノマリーであるが、10月はそれを先取りする形で膠着状態から抜け出し、久々に明確な上昇基調を演じた。さて、遅くなったが9月のポートフォリオの状況ならびに近況について記したい。

 

9月のマーケットは日米市場とも下落する展開となった。
 

米国市場は続落。8月の雇用統計は+15.1万人と予想の+18万を下回り利上げ観測が後退。加えて、8月の非製造業景況感指数は予想を大幅に下回る51.4となり6年半ぶりの低水準となり利益確定売りが優勢に。金利上昇懸念ならびに43ドル台まで下落した原油先物相場も嫌気され一時は18000ドル割れ。9月のNYダウは18308ドルと前月より92ドル下落し月間騰落率は-0.5%。ナスダックは5212となり98ポイント上昇の+1.9%となった。


東京市場も反落。予想を下回る雇用統計や軟調な米国の経済指標を受けてドルが売られ円が買われる展開となり、一時は100円台半ばまで上昇。日経平均は16400円台まで下落し8/26以来3週間ぶりの安値に。米司法省から140億ドルの支払いを求められたドイツ銀が急落し投資家心理が悪化。その後は日銀の「長短金利操作付き金融緩和」や大統領選TV討論会でのクリントン優勢が好感され買い戻しの展開に。売買代金は2兆円割れの低水準。為替は先月末の103.20円から今月末は101.00円へ。9月の日経平均は16449円で取引を終え、8月末の16887円から437円下落し月間騰落率は-2.6%、Topixは-0.5%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が+1.8%、マザーズ指数は+4.9%と堅調であった。

 

太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」 における9月のパフォーマンスは+1.1%となり、年初来-6.4%、累計では+137.0%(8月末+134.4%)とやや前進。9月末時点のポートフォリオの株式比率は50%で15銘柄を保有(8月末は47%で13銘柄を保有)。株式部分の含み益は+10.1%(8月末は+6.8%)。ただし、50%のうちダブルインバースETFの投資比率20%の実質ロング比率は-40%、純金ETFの10%は株式ではないため、純粋の株式のロングウェートは50%ではなく-30%である。8月末からのショートポジションは3ポイント低下した。

 

8月のコメントで「9月はダウンサイドリスクが高い1か月になる」「これまでにも増して慎重な姿勢が必要」「米国市場は景気動向や利上げの有無に関わらず、完全に膠着したマーケットとなっており、ちょっとしたイベントで下振れ懸念が高まっている」と述べていたが、不安材料に事欠かなかった。


年初から急落して株価が半値となっているドイツ銀行であるが、米司法省から140億ドルの支払いを求められたことに加え、複数のヘッジファンドが決済業務を他行に移管したというニュースで改めて警戒感が広がった。ユーロ安を引き起こすほどの事態にまで波及していないが、今後の動向には要警戒である。ドイツ銀行は巨額のデリバティブを抱えており(全世界のデリバティブ残高550兆ドルの10%にあたる55兆ドルを保有)、何か問題が起こった場合、世界の金融システムに影響を及ぼす可能性がある。

 

日銀は9月にETF買いを11回も実施し8063億円の買い付けをおこなったが、相場の上昇にはつながらなかった、加えて新たに発表した「長短金利操作付き金融緩和」であるが、実質的な追加的金融緩和ではなく、これまでのマイナス金利政策で長期・超長期金利が大きく落ち込んでいた点を是正するイールドカーブ・コントロールである。そもそも中央銀行が長期金利をコントロールした例は大昔の米国を除いてない。物価上昇率2%を達成する期限は取り払われたため、量的緩和は2年後にも枯渇する可能性がある。その点で今回の新たな政策は長期的には副作用が強いことには注意が必要である。

 

10月のマーケットは久々に明るい兆しが見られた。日経平均は9/5の直近高値17156円を超え、4/22以来半年ぶりの高値を回復。売買代金は依然として極めて低水準であるが、これまで売りに回っていた外国人投資家が買い越しに転じたことが大きい。

 

米国企業の決算は概ね堅調であり、TV討論会を受けてクリントン氏の優勢が高まったことで安心感が出てきたことが好感されている。一方、日本企業の2Qの決算発表は日本電産や富士通のように健闘している企業もあるが、多くの企業で下方修正が見られる。製造業だけにとどまらず消費関連でも不振な企業が見られ、東証一部企業のEPSはやや下落傾向となっているのには注意が必要である。

 

ところで、先週あたりから再びクリントン氏のメール問題がぶり返され、世論調査では再びトランプ氏との差が急速に縮まる兆しが出てきている。ブレグジットの前例があるため、気の抜けない動きである。最後に逆転ということになれば、マーケットはかなりの反応を示す可能性がある。

 

最近のレポートで述べているように米国株安懸念、欧州金融リスク、中国リスクなど我々を取り巻く環境は依然として不透明であり、日本市場が上値を追いかけるのは難しい。ポートフォリオのショートポジションは1か月前の-30%から現在は-15%まで落ちているものの、引き続き保守的な運用を継続したい。

 

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太田忠の縦横無尽 2016.10.30

「予断を許さなくなった米大統領選挙」

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