2012年02月25日(土)

AIJ投資顧問の虚偽説明・年金消失問題に思う

テーマ:金融・マーケット・資産運用

AIJ投資顧問、年金2000億円の9割超消失 ―。

ケイマン使い実態隠しか ―。

金融庁、投資顧問会社263社を調査へ ―。


株式市場が久々に盛り上がっている最中、2/24の朝に大きなニュースが飛び込んできた。


AIJ投資顧問は独立系の投資顧問であり、高いパフォーマンス実績を謳ってここ数年で次々と企業年金顧客を獲得。124社から1984億円の資産を受託していた(11年9月末時点)。ところが、過去の高いパフォーマンスは全くの虚偽であり、しかも運用資産の全額近くが消失しているという衝撃の実態が明らかとなり、証券業界は大騒ぎとなっている。


彼らのキャッチフレーズは「オルタナティブ投資」である。そういえば、5年くらい前にさかんに「オルタナ」「「オルタナ」という言葉を聞くようになり、それが年金業界の間ではブームになっていたことを思い出した。私のように現物株投資を専門とする人間にとっては、その説明を聞いてもさっぱりわからないのだが、とにかく「株」はやめて「オルタナティブ」へ移行するという流れが起こっていた。


かつて企業年金を運用していたことのある私がこのニュースを見て真っ先に思ったのが、「運用資金は信託銀行にあるはずだから、実績と違うパフォーマンスの説明はありえないはずなのにどうしてそんなことができたのか?」「虚偽のパフォーマンス開示・説明は会社ぐるみでなければできないことなので、本当にそんな大それたことをやったのか?」の2点だった。


通常、年金から運用資産を受託すると、そのお金は信託銀行に預けられ、証券会社を通して売買しながら、お金の出入りは信託銀行内で完結する。すなわち、解約されるまでは信託銀行の口座からお金が出ていくことはないので、明確にパフォーマンスが測定される。したがって、パフォーマンス実績のごまかしようがない。


ところが、AIJの場合、ケイマン諸島の私募投資投信を通じて運用されていたため、通常の信託銀行管理とは異なるスキームであり、第三者には実態はわからないようになっていた。そもそも、「企業年金」という資金がこうしたブラックボックスの中で運用されること自体許されないと思うのだが、AIJの顧客は納得した上で契約していたのだろうか? それとも、そんな説明すらなかったのだろうか?


報道によると何年も前より運用実績と説明上のパフォーマンスの整合性が全くなかったということなので、AIJは会社ぐるみでウソのパフォーマンスを作り上げ、ウソの四半期報告書をつくり、ウソの四半期報告をし、顧客から絶大な信頼を得ていたという(実際、年金基金の間では評判は高かった!)、マンガのような構図だった。


虚偽のパフォーマンスでも、尤もらしく語り、顧客が増えれば「実績」になるんだな、と私は呆れるやら感心するやらである。100社超の企業年金顧客を獲得し、運用資産額2000億円となれば、立派な大手である。


それにしても、代表者である浅川和彦の話は驚きだ。

「お金がどう運用されているか状況を把握していない」

運用会社のトップが言うことだろうか?まるで他人が運用しているかのような発言である。オフィスは閉ざされたまま。記者会見もなされないまま。


AIJ投資顧問のホームページをチェックしたら、これがまたすごい。インチキ会社の見本のようなホームページである。

AIJのホームページ


今回の事件を受けて、このような杜撰な投資顧問業者は徹底的に排除してもらいたい。と同時に、真剣に取り組んでいる運用会社にとばっちりが来るような本末転倒な規制がないように配慮してもらいたいと思っている。


もはや年金というのは企業年金にしても厚生年金にしても国民年金にしても、全く当てにならない時代。くだくだ言っていてもしかたあるまい。「自分年金」として自分で積み立てて自分で運用するのが最も賢明だと思う。自分で行動する人にならねば生きてはいけない。それが教訓である。


太田忠の縦横無尽 2011.2.25

『AIJ投資顧問の虚偽説明・年金消失問題に思う』

        **太田忠投資評価研究所のHPはこちら**

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