2011年07月10日(日)

藍川由美「童謡ジャズ」をうたう

テーマ:音楽

ちょうど1週間前の7月3日(日)のこと。上野の東京文化会館でおこなわれた藍川由美 さんのコンサートに出かけた。


藍川さんは声楽家で日本の唱歌や童謡のスペシャリストであり、ジャズピアニストの福田重男氏の伴奏にてジャズアレンジされた童謡を歌うという企画であった。実は、この組み合わせは昨年もおこなわれたのだが、残念ながら所用のため参加することはできなかった。今回初めてである。


そもそも童謡というのは、今生きている日本人にとっての心のふるさと(もはや、そのふるさとすら感じない世代も出現しているのではないか)であり、西洋風のジャズとは最も遠い存在にあるような気がするのだが、「童謡ジャズをうたう」となれば、それはかなり斬新であり、大いに興味がそそられたのである。


会場は東京文化会館の小ホール。ただし、小ホールと言っても収容人員649名を誇る大きなホールである。これをたった2人の出演者で受け止めるのだから、そのエネルギーは並々ではないことは容易に想像できる。通常、ジャズボーカリストはマイクで歌うが、藍川さんはオペラ歌手と同様にマイクなしである。これはかなり大変なことである。


コンサートは2部構成。第一部が「かつて童謡ジャズがあった」と題して、北原白秋、野口雨情、宮沢賢治の童謡が福田氏アレンジのテンションばりばりの伴奏にて披露された。歌は堂々たるものですばらしかった。さすがは一流の声楽家である。曲の間に、藍川さんの詳細な解説が入り、ちょっとした研究発表の風情だ。ジャズボーカリストのライブとは全く異質な展開である。うん、知らないことだらけで面白い。


第二部は「夢二 子供の世界/失はれし世界」と題し、竹久夢二の詩に藍川さんが作曲してメロディーをつけた歌を16曲披露。こちらのアレンジはテンションばりばりのジャズ風ではなく、日本古来の童謡路線的な雰囲気だった。


藍川さんの説明によると、日本の童謡は「陰旋(五音音階)」が多く使われており、これがジャズにおける音階の使い方に似ていること。また日本の童謡には跳ねるリズムが多用されており、これがジャズにおけるスウィング感と似ていること。この2点から日本の童謡がジャズ風に歌われることがあった、とのことである。


「うーん、本当かなあ」というのが正直な感想である。これまでの人生の中で、童謡を聴いたり、習ったり、歌ったりした経験の中で、ジャズの「ジ」の字も耳にしたことがないので、私が単に無知なだけなのか。確かに、五音音階ということになれば、ジャズにもマイナーペンタトニックスケールという五音音階が存在してメロディーを奏でる要素である。だが、日本において西洋音楽を広めようと主導したのは、音楽取調掛(のちの東京藝術大学)を創設した伊沢修二であるため、ジャズというよりもむしろ日本音楽が日本風の五音音階にて西洋音楽に寄り沿っていく過程で、こうした歌が発展したのではないか?


いや、私は素人なのでよくわからないし、検証する能力もない。しかし、「七つの子」「赤い靴」「シャボン玉」「あの町この町」などの童謡をジャズで歌うというのは、スリリングであるということはよくわかった。なかなか楽しい時間だった。


太田忠の縦横無尽 2011.7.10

『藍川由美「童謡ジャズ」をうたう』

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