2011年06月27日(月)

個性派俳優ピーター・フォーク逝く

テーマ:映画

6月23日にピーター・フォークが亡くなった。享年83歳。


私と同年代以上の日本人にとっては、非常に有名で馴染みの深い米国の映画・テレビ俳優であり、役柄として最も知られているのが1968年のパイトッロ版『殺人処方箋』からスタートした「刑事コロンボ」シリーズである。


ヨレヨレのレインコートを着て、今にも壊れそうなオンボロの車を運転し、外見では、頭のよくない、抜けている、とぼけたキャラクターに見える(見せている)のだが、犯人を特定するわずかな証拠を次々と積み上げ、核心にまざまざとせまっていく姿はとてもスリリングで視聴者を大いに魅了した。


「刑事コロンボ」は途中制作されない期間はあったものの2003年までの35年間で69作もの作品がつくられた。最初に犯人が犯罪をおかすところが種明かしされ、そこからロサンゼルス市警殺人課のコロンボ警部が登場して犯人を推理していくという、通常の推理ドラマとは反対の倒叙形式にてシーンが展開されるのも、視聴者にとっては途中でストーリーがわからなくなるといったことが皆無で、すみずみまで楽しむことができるという仕掛けだった。


ピーター・フォークについて個人的に述べたいことが2つ。


1つは本人の声と日本語吹き替えの声優の声があまりにも違うことを初めて知った時の驚きだ。私が小学生の高学年の頃から「刑事コロンボ」は日本のテレビでも、しきりに放送されていたのでよく見ていた。もちろん字幕ではなく、吹き替え放送である。今は亡き小池朝雄がコロンボ役をつとめたが、これが非常にゆっくりとした、丁寧な話し方で、「うちのカミさんがね」は流行語にもなった。しかし、ピーター・フォークの声を初めて聞いた時、「え、これはわざとふざけて、高音のウラ声でギャーギャー喋っているのか?」と思うほど、今までの温厚なイメージが崩壊したのである。DVDが発売され、そのシリーズを購入して見始めた頃はなかなか慣れなかったのだが、今や「吹き替え」で彼の作品を見たことはない。アニメにおいて急に声優が交代すると、今までの人物像が一気に壊れるが、あれの激しいやつである。


もう1つが、「刑事コロンボ」以上に、その他の作品が面白いということである。面白いというのは正確な表現ではない、面白すぎるのだ。


『名探偵登場(Murder by Death)』(1976年)は、探偵という名前はついてるもののコロンボ警部が登場するのではなく、世界中の著名な探偵を一堂に集結させ、これから起こる殺人の犯人の推理を競わせるというストーリー。そのホスト役をなんと米国の大作家であるトルーマン・カポーティーが演じている。アレック・ギネス、ピーター・セラーズ、マギー・スミス、デビッド・ニーブンといったすごい役者たちが勢ぞろいし、監督はロバート・ムーアという豪華版である。


『あきれたあきれた大作戦(The in-laws)』(1979年)は、私が最も好きな作品で、B級映画の大傑作と言ってもよいだろう。それにしてもタイトルはヒドイが…。あまり映画のストーリーを語るのはよろしくないので控えるが、この映画は繰り返して10回以上は観ている。


2008年ごろよりアルツハイマー病を患っていたということだが、『あきれたあきれた大作戦』のDVDの音声解説でのピーター・フォークの話し方はかなりおかしな感じがするのでこの頃(DVD発売は2003年となっている)から兆候があったのだろう。


それにしても、彼は役柄に自然になりきって、ぐんぐんその役柄の個性をとことんまでに発揮するという意味で、実に個性的で魅力的な人だった。見ている人を思わず励ましてくれる力を持った貴重な人である。


太田忠の縦横無尽 2011.6.27

『個性派俳優ピーター・フォーク逝く』

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