2010年03月27日(土)

将棋三段の免状 by 二上達也、羽生善治、佐藤康光

テーマ:日常のこと

太田忠 殿


夙ニ将棋ニ 丹念ニシテ

研鑚怠ラス 上達明ラカ

ナルヲ認メ 茲ニ参段ヲ

允許ス


平成六年十二月一日

日本将棋連盟

会長 二上達也

名人 羽生善治

竜王 佐藤康光


先週、書斎の整理をしていたら、あまり見覚えのない縦30cm×横20cmくらいの桐の木箱が出てきた。何だろうと思って開けてみると、上記の文字が書かれた日本将棋連盟の免状だった。すでに15年も経過しているにもかかわらず、直筆で書かれた墨の良い香りがする。会長、名人、竜王のサインも正真正銘ご本人たちの署名である。


思い出した。これは当時、「二段 森田将棋」という将棋のソフトで対戦して、規定を満たす勝利を収めたため、日本将棋連盟に申請して認定された将棋三段の免状である。


それにしても二上達也、羽生善治、佐藤康光とはすごいメンバーだ。この免状はその時点での会長、名人、竜王の三名によって署名されるため、会長やタイトル保持者が変わると新たな人の名前が入る。したがって、時代時代の免状によって署名者が異なる。今ならこの三名は実現しない。


平成六年といえば、ちょうど羽生善治が七冠王を目指してまっしぐらの時代で、彼とほぼ同年代の佐藤康光や森内俊之といった島研(彼らの先輩にあたる島朗との4名でおこなっていた研究会)のメンバーたちが続々と頭角を現し、当時の大御所であった中原誠、米長邦雄、加藤一二三、谷川浩司らからの世代交代を予感させた頃である。


将棋は小学生の頃からよく友達と指していたが、定石も知らず、数手先を読む能力に乏しく、はっきりいって弱かった。しかし、自分よりも少し若い世代の人たちが大いに研鑚を積んで華々しく活躍しているのに触発されて、将棋を久しぶりにやってみようということで社会人になって再度取り組んだのである。しかも、コンピュータ将棋がそこそこ強くなり、「二段 森田将棋」のように世界コンピュータ将棋選手権で優勝する実績のあるソフトが売りに出され、規定のルールで勝利すると三段までの免状をもらえるというのは、なかなか魅力的だった。将棋を指す相手がいなくても、自分の好きな時間に対戦してもらえる。


将棋の定石や実践の本を少し読み、なるほどそうかという「気づき」をたくさん得てから対戦を始めたのだが、すぐに将棋ソフトのクセがわかった。序盤はこちらが指す手に対して間違わない。終盤の局面は十手先以上の詰みを読みきり矢のように指してくる。しかしながら中盤に効率の悪い手やこちらのミスに対する咎め方が大甘で、凡手を連発するのである。「うーん、あまりにも強い面と弱い面がちぐはぐだ」というのが正直な感想だった。世界コンピュータ将棋選手権で優勝といえどもまだ当時はそのくらいの実力しかなかった。これが人間同士だと絶対にこうはならない。もし私が私よりも数倍実力が上の六段くらいのアマ棋士と百回対戦すればおそらく0勝100敗になるだろう。それくらい、実力差が勝利差にはっきり現れる厳しいゲームなのである。


三段の規定を満たすためには、100手以内で3連勝するというルールだったが、2ヶ月くらいで勝ってしまった。すべて中盤の凡手のおかげである。私には三段の実力など到底ない。しかも、ここ十年ほど将棋をやっていないので本当の実力は三級くらいだろう。分不相応な免状である。今ならこんなに簡単に三段を取らしてはくれないはずだ。


さて、今更ながら驚いたことがもう一つ。「三段の免状を取得するためには二段の免状を持っていなければならない。持っていない場合は両方を申請する」ということで、二段の免状が4万円(!)、三段の免状が5万円(!)という合計9万円(!!)という破格の金額を支払っていたことだ。これはさすがに勇気のいる値段であり、今の私なら絶対躊躇する。


太田忠の縦横無尽 2010.3.27

「将棋三段の免状 by 二上達也、羽生善治、佐藤康光」

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