2009年05月16日(土)

健康保険被保険者証

テーマ:経済・社会

会社に勤務していれば、当然のことながら健康保険の被保険者となり、保険証を会社からもらう。


会社を設立するにあたって、健康保険および厚生年金の加入業者としての登録を済ませ、「健康保険被保険者証」を受け取った際に、「やっと事業者として認められたか」と安堵するとともに、ちょっとしたサプライズだった。


何がサプライズかというと、それは被保険者ひとりひとりにちゃんとしたプラスチックのカードが配られたからだ。22年の社会人生活において初めてのことである。従来は世帯主あてにみすぼらしい一枚の紙の保険証しかもらったことはなかった。2年ほど前にさる企業のIR担当者となぜか保険証の話に及んだとき、「え、太田さんところはまだ紙一枚なんですか。うちなんか、家族全員分それぞれカードを持っていますよ」と言われ、初めてその存在を知ったのであった。


これだけの情報社会になって、家族に一枚の保険証しかないというのは不便極まりない。しかも家族がばらばらの場合はどうするのだろう。自宅が静岡、父親は単身赴任で名古屋、息子は大阪の大学、娘は東京の短大と別々に住んでいる場合など、1枚の保険証がタイムリーに使えないではないか。そんなことは全く考慮されていないわけで、はなはだバカげた制度だと感じていたのが、実際に家族全員分のカードをもらってそのありがたみを実感した。よし、これで、いつでも自由に病気になれる。


ところで、このカードの裏面には以下のようなおそろしい設問があるのだ。紙の保険証では見たことがない、驚きの設問である。


※以下の欄は臓器提供に関する意思表示する欄として使用できます。記入する場合は、該当する1~3の番号を○で囲んだ上で提供したい臓器を○で囲んで下さい。

1 私は、脳死の判定に従い、脳死後、移植の為に○で囲んだ臓器を提供します。

(×をつけた臓器は提供しません。)

  心臓・肺・肝臓・腎臓・膵臓・小腸・眼球・その他(    )

2 私は、心臓が停止した死後、移植の為に○で囲んだ臓器を提供します。

(×をつけた臓器は提供しません。)

  腎臓・膵臓・眼球・その他(    )

3 私は、臓器を提供しません。


これを見た瞬間、思わず不快感を催したが、迷うことなく3番に○をつけた。「私は、臓器を提供しません」である。


選択肢が設けられている以上、どれを選ぶかは個人の自由である。これらの設問に対していろんな考え方があると思うが、私が3番に○をした理由は、そもそも人間だけが臓器のやり取りをおこなうこと自体不自然であるからだ。人間も生物の一種としてこの世に生まれてくる以上、それぞれの生い立ちや、状況を受け止めつつ生命を全うするのが自然界の法則だと考えている私には、安易に臓器をやり取りしたり、リサイクルするという考え方には反対だ。悲しむべき極端な例ではカネで「臓器売買」が今だにおこなわれており、人間のエゴが生み出した反自然行為だと思う。


先日、オバマ大統領がES細胞研究を容認した。個人的には断固拒否の姿勢をとっていた前ブッシュ大統領を評価する数少ないポイントの一つだったのだが、残念ながら覆された。「難病治療」「医療の進歩」という大義名分だそうだが、そもそもこれは倫理を喪失する行為であり、一度それを許すと人間はどんどん暴走する。そういう神の意思に反することを認めるのはおかしいのではないか。


私が仮に障害者で何かの臓器を移植してもらえば、寿命が延びる立場にあったとしよう。だが、日本では提供の可能性が少ない臓器を大規模な募金活動をして海外にまで求めるなどということは絶対にしたくない(諸外国から酷評されている)。自分の境遇を受け入れつつ、健常者よりも早く死んでいくことを間違いなく選ぶ。


太田忠の縦横無尽 2009.5.16

「健康保険被保険者証」

        **太田忠投資評価研究所のHPはこちら**


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