Skywalker院長のブログ

とある小児科医Skywalkerのブログです。
その正体は、川崎市にある「北浜こどもクリニック」の院長。
「正しい知識を持つこと」を目的として、パパママのためになる情報を配信していきます。
多趣味な院長なので他のネタもあります。

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NICUにいた僕らは以前書いたように、激務ながら何にも代え難い嬉しさとやりがいに満ちて日々頑張ってます。


が、一方で途方もなく絶望的な思いを味わうこともあります。



今日はそんなNICUにいたころの辛かった話を。


Nがらみの辛い話が嫌な人は読まないでください。







普通はお腹の中で40週過ごしてから赤ちゃんは生まれてきますよね。


それより早くなってしまうと早産(37週未満)と定義されてます。


当然、早ければ早いほど赤ちゃんはより未熟でより小さく生まれてくるわけで、リスクは高くなります。


現在は新生児医学や技術が進歩して、ほんの10年前だったら助からなかったような超未熟児でも救える時代になってきました。



が、そうはいっても限界ってのはあるわけで、日本では母体保護法という法律のもと「22週」というラインが決められています。


つまり、22週以前で産まれた場合は流産で、それ以降が出産と定義され蘇生の対象となります。

(ちなみに22週以降でお子さんが亡くなって産まれてきた場合は死産と定義されてます)


もっと言うと、22週0日の午前0時を過ぎてから産まれてきた赤ちゃんは、僕ら新生児科医が全身全霊で蘇生にあたり助けるわけです。


逆に言うと、22週0日の午前0時に1分でも至らない赤ちゃん、それは出産ではなく流産という扱いのため僕ら新生児科医は蘇生をしてはならないのです。



そう、「命」とみなしてはならないんです。


ちなみに仮に蘇生して助けてしまったら?という話題はよく僕らの間で交わされるのですが、結局「出産」として扱われないため出生届も出せず、その子には戸籍が与えられないってことになるんですね・・・



切迫流産で産婦人科に入院している妊婦さんがいました。

(切迫流産ってのは、今にも流産しちゃいそうな状態ってことです)


産婦人科医が必死に処置をしてなんとか赤ちゃんが出てきてしまわないように頑張ってました。


が、21週6日の午後からいよいよ状況が切迫、子宮からいまにも赤ちゃんが出てきてしまいそうって状態になりました。


僕ら新生児科医としてはなんとか0時以降まで粘ってくれ!と願い、産婦人科医としては今が精いっぱいなのにこれ以上頑張れねえよ!といったせめぎあいがあります。



夜の10時ごろでしたか、ついに僕は分娩室に呼ばれました。

もう限界ということで、一応立ち合いを要請されたんです。


でも僕としては出てきた赤ちゃんに手を出せない、出してはいけないんです。


モニターでは胎児の心拍が元気いっぱいです。



命が必死に鼓動しているんです。



でも僕はその子を助けることは出来ない。



いよいよ出てきてしまった赤ちゃんは体重にして400gくらいだったでしょうか・・・


21週ですから、見た目は当然もう人間の体をしてます。


顔をしかめて声にならない弱々しい鳴き声のようなものをあげ手足も小さくピクピク動かしてます。




必死に生きようとしていました。




僕はなにもできない。してはならない。


心臓マッサージをして酸素を与えて身体を温めて気管内挿管をしてルートをとって、、、そしたら助かるんじゃねえのか?!やってしまいたい。黙って見ているのは辛すぎる。



でも22週に数時間だとしても満たないその子を、「新生児」として扱ってはならない、救うべき「命」として扱ってはならない、、、


出てきたその子はあくまでも「流産」として出てきた子宮内容物でしかないのです。



もしかしたら助けられたかもしれないその小さな「命」は、こちらが何もしないうちにほんの数分で冷たい「物」に変わりました。



この世に数分だけでも生を受けた(と思いたい)その子は、法律の定義のもと「物」扱いとされ、ママにとっての第一子とカウントもされず、日本の人口がその日1人増えて数分後1人減ることもなかったわけです。

 



「医者としてこんな無力感を」

って、言い方をドラマなんかでよく耳にしますが、この瞬間こそ僕が医者として絶望的な無力感を味わった、まさにそれだったかな。

 

そりゃあね、21週の子をかりに蘇生できたとしても、その後生存できる可能性はすごく低いわけで、人間の医学が介入してはならない限界の領域ってことで定義されたものです。



だから僕は医者として、目の前で必死に生きようとしていたあの命を、それが消えるまでただじっと見ているしかなかった。


医者として…?




あの光景は、きっと僕が死ぬまで忘れることはありません。








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ここ最近、「一線を越えたか超えてないか」ってのをよく耳にします・・・


実にアホらしい。


「一線を越えたんですか?」

「いえ、断じて超えてません」


っていう、ど~でもいいやりとり・・・



ま~その「線」が何なのか、おこちゃまの僕には分からないんですが~。。。



そのシチュエーションならど~考えたって「やってるだろ!」と天下万民が疑わないところを、「やってません」と平然と言い放つところが凄いと思うし厚顔無恥というかなんというか。



つうか一線を本当に超えていなかったとして、だったらそれで許されるのかって話でしょ。


超えてさえなければ何してもオッケーなわけ?じゃないでしょ。



超えたか超えてないかってのが、有罪無罪を判定する、あるいは罪の重さを判定する基準じゃなかろ?って話。



浮気したけど一線は超えてないです、と釈明された時、低俗なレポーターやその読者たちは納得するんだろうけど、浮気された当事者がその説明で納得するとは到底思えない。

変に疑惑残すくらいなら「やっちゃいました、すいません!」としてくれたほうが、当事者としてまだ救われるんじゃないかなあ。


やっちまった事実より、その後の釈明が何より当事者を傷つけ苦しめてると思うんだな。


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研修医の過労による自殺が問題になってます。


この手の記事は過去に何度も書いてきているのですが、、、



研修医を働かせすぎないような配慮が今の医療現場には求められる風潮になってますが・・・でも17時に帰宅できる「ゆとり研修医」が果たして過酷な医療現場に耐えられる医師に育ちあがるのか、そして病気で苦しむ患者さんに寄り添える医師に育ちあがるのか、僕は疑問です。


そりゃ働けば働くだけ偉い!っていう昭和な考え方は改めねばならないのだろうけど、それでも以前書いたように医師の役割ってのが世間一般的な「労働」とは根本的に違うものなので、人の命を握る立場である医師に育つためには過酷な研修医生活ってのは不可欠だと、やはり僕は考えます。



そんなことより今回の件で気になるのは、研修医の死因はうつ病による自殺であって、過労死じゃないってことです。


過労とうつ病の因果関係を証明するのは難しいのですが、今回は「労災」という認定があったので因果関係があったという判断なのでしょう。


が、過労がなくたってうつ病になる医師はたくさんいるし、過労→うつ病→自殺、と考えたとき過労とうつ病の因果関係が認定されたとしても、後者はどうなんでしょうか。


うつ病で自殺する人はたくさんいます。


件の研修医がちゃんと精神科にかかってうつ病の治療をしていたのか。

仮にも医師である本人がちゃんと自身の病状を自覚して治療をしていたのか、あるいは上司や病院が把握して治療をさせていたのか。


電通の件といい今回の研修医の件といい、死因はあくまでも自殺であり過労死じゃないってことを良く分かってほしいもんです。


うつ病の患者は世の中に非常に多いのに、日本って国はうつ病に対する認識が驚くほど低い。




病院もただやみくもに労働時間を減らすことをしたって、うつ病で自殺する医者は後を絶たないわけで、職員の精神状態をちゃんと把握できるようなシステムを作らなければならないんじゃないかな。


皆さんの目の前にいる医師や看護師がじつはうつ病だったと知ったら、どう思いますか?

うつ病で明日自殺するかもしれない医師が働いている病院って、どう思いますか??


一般企業などでは産業医や専門とするカウンセラーなどが社員のメンタルヘルス維持に努めていたりします。

それがどこまで役立ってるかは分かりませんが、少なくともそういった取り組みはしているわけです。


こういう職場でのメンタルヘルスケアってのが医療機関には皆無です。


基本みんな自己管理。


これじゃいかんでしょ。




医師や看護師の業務量は残念ながら減らすことは物理的に不可能なので、じゃあ少なくとも忙しくても健全に業務ができるような環境づくりをしなければならないでしょ。


それは労働時間を「過労死ライン」以下に減らすことではないんじゃないのかえ?






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毎年とても混雑するお盆診療ですが、当院どんな混んでも絶対に患者さんを急かしたりしないよう心がけてます。




「◯◯ちゃん、先生にお礼は?」

「ありがとうは?」

「しないの?」

「出来なきゃ帰れないよ?」

「練習したでしょ?」

「ほら次の子たくさん待ってるから、ありがとうは?」

「約束したでしょ?」

「できなきゃ帰れないよ?」


あの〜、しつけは別のとこでお願いしまス。。。




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ゆうべ、久々に「大作」が浮かんだので書いてたんです。

すべての皆さんが納得できる、それでいて僕ならではの切り口、、、また1位とっちゃうんじゃね?って記事だったんです。

それが、書き終え間際になって何かの拍子にブラウザの「戻る」をクリックしてしまい、せっかく書いた大作が消えちゃった…

もう同じの二度と書けないよ~


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最近ニュースになっている髄膜炎菌の集団感染。


2年前に僕はこの記事を書いて、欧米では定期予防接種になっているこの髄膜炎菌に対するワクチンが日本でも承認されたことを述べています。


「集団生活がいけない」とか「寮生活はハイリスク」などと阿呆なようなことが言われてる一方で、これに対するワクチンが有効であり日本でも接種できるってことを、誰も知らないのか報じようとしませんね。


症例が少ないため(医者がそれと気付かないので)早期発見が難しく、それでいて進行は早く命に関わる恐ろしい感染症です。


国内に保菌者が少ないから心配しなくて良いという意見がありますが、こんだけ海外からの旅行者が増加しておりしかもオリンピックを控えているわけで、流行地から菌が持ち込まれるのは容易に想定できることなのです。


これを機に色々と考えたほうがよいと僕は考えてますよ。



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毎年ですが当院、お盆は通常営業してます。


盆暮れ正月、どこも示し合わせたかのように休診にしてしまい、じゃあ患者がいなくなるのかといえばそうじゃなくて、行き場に困った方々があちこちから来られます。


開業当初などは「他がやってねえ時に開けて患者獲得!」などと息巻いてたもんです・・・若かったねえ。



今はとにかく受診先がなくて困ってる方のために開けるってのが第一なんですが、他の理由としては普段は他を受診してらっしゃる方がいったいどんな医療を受けているのかを見るのも目的だったりします。


「え?こんな治療されてんの?」

的な驚きや呆れってのはいつもなのですが、


「お、あの先生はこんな治療してるのか、よし真似してみよ」

ってのもあります。



開業医をやってると、どうしても勉強する機会が減ってしまいがちです。


たとえ機会があったとしても医学書を読むくらいしかできなくて、でも一番勉強になるのは実際の診療を見学させてもらうことなんですが、それはなかなか難しい。


以前は休診日を利用して都内の耳鼻科医院で勉強させてもらったこともありますが、院長業務が多すぎて今はとてもそんな暇はつくれないんですね。



なので、こういう機会を利用して他の先生の処方箋や治療法をお聞きして勉強させてもらってます。




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手足口病が大流行しています。

手足口病、ヘルパンギーナ、プール熱(咽頭結膜熱)といった3大夏風邪ですよね。

ウィルス性の風邪なので特段恐がる必要は全くないし、むやみに登園停止にする必要もありません。



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夏休みの風物詩、ですね。

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でも今までほとんど無縁でした。


が、息子が一年生になり、夏休みの規則正しい生活をさせるため行かせることに。

最初の2回だけ同伴、今は一人で行かせてます。


カードにスタンプを押してもらい、コンプリートすると景品がもらえる、、、今も昔も一緒だね。


僕が子供の頃は夏休み期間中の8月末まで毎朝やってた記憶なんですが、うちの自治体は7月だけ。

自治体によってはやらない所もあるそうですが、これやっぱ大事だと思います。

体操から帰ったら朝食、そして夏休みの宿題を午前中にやれば、あとは夜まで目一杯遊べる!ていう、自分もやったことない規則正しい生活を息子にはさせてます。



ところで、息子に付き合ってラジオ体操を踊った(?)のはおそらく30年ぶりくらい?!

でも子供の頃にみっちり仕込まれたからか、身体がちゃ〜んと覚えてるもんですね。

ここは左からやで〜みたいな感じで息子に教えることができました。



、、、が、それは第一に限った話で、第二になると記憶がかなり怪しい

つうかほとんど覚えてない。


唯一、最初の方にあるあの筋肉モリモリするやつ?名前わからないんだけど、あれだけは覚えてました。

他は見事なまでに知らなかった!


筋肉モリモリ運動のインパクトの強さゆえ、なんとなく第二も全部踊れると思い込んでたらしいです…


それにしても、早起きして眠い目をこすりながらラジオ体操すると、その後の一日がとっても爽やかに過ごせる!、、、気がするよ。



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