Tempo rubato

アニメーター・演出家 平松禎史のブログ


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一緒に仕事をさせてもらったことはないですが、書籍や作監修正で教わることが多かった大先輩、湖川さんのインタビュー。

 

【インタビュー】「イデオン」から「ダンバイン」まで、湖川友謙が語る“作画の心得”とは?

https://animeanime.jp/article/2017/05/13/33850.html

 

6月30日に『ユーリ!!!』でもお世話になっている一迅社から初の画集を出されるそうです。

特設ページ。

http://www.ichijinsha.co.jp/special/books/kogawa_artworks/

 

 

インタビューでは「色監督」として様々な試みをされたことが語られています。

ボクは、確かアニメージュのザブングル特集(放送当時)で湖川さんの色の話がとてもおもしろくて今でも意識して仕事しています。

 

一応美術系の学校へ行っていたので物の形が光によって浮かび上がることは知っていたし、周囲の色の影響(反射)で立体や空間ができることも知ってはいた。

しかし、当時の色数の少ないセルアニメでは不可能だと思っていた…というか、そういう発想をアニメに持ち込めると思ってなかった。

(追記:『ザブングル』はちょうど美術短大に通っていた頃でした。)

湖川さんは、肌の色には肩や襟あたりの服の色が反射していること。目にも様々な色が反射することで存在感を感じられる。およそあらゆるものに周囲の色が影響し合っている・・・というようなことを書いていらした。

確かに、キャラのほっぺなどに服の色や背景の色を入れ込んだイラストが印象的だった。

 

 

こういうことは、アニメをいくら見ていてもわからない。

 

現実世界を観察し、なぜそうなっているのか勉強する必要がある。

 

理解し、取り込んで咀嚼する。そうやってようやく自分の絵として右手から放出されるのだ。

 

『アニメの中だけで結論を出してほしくないんです。描き手は机から一歩離れたらそれ以降は全て勉強だと思ってほしい。自分がそうだったからね。そういうところで見つかるものっていうのが多々あるんです。』

 

我が意を得たり、と言ったら生意気だけど、ボクもまったく同じことを考えている。

 

 

また、湖川さんらしいとも、意外とも思えるのが

『死ぬまでデジタルで絵を描きません。例外はひとつだけ。浮世絵です。』

というお話。

あくまで道具だと考えているところは、やはり湖川さんらしいと思う。

 

最近は写真を用いたり、デジタルで作った3DCGをレイアウトの下敷きにするケースが増えています。

これだと、確かにパースは狂わない。

 

しかし、これ。絵にならないんですよ!

 

空間を自分の感覚で捉えて描く。構図を考える。

その過程がすっかりなくなっているため絵にならない。

絵にするためには、わざと「狂い」を入れ込んでデジタルの一点の視点から、二つの目で見た世界、心に感じた世界へと変換しないといけない。

そうしないと絵にならないのだ。

 

このブログで作画の話をする時は、技術的なことより考え方や見方を重視して書いているつもり。

技術は道具なので手に入れやすい。

しかし、モノの考え方や見方は経験をいくら積んでも十分と言えない。

考え方・見方の勉強を疎かにすると後で苦労します。ボクのようにね。

 

湖川さんは早くからそういったことに心付き勉強を重ねてこられたのでしょう。

 

今の画風で昔の絵を描いてみたら? という質問に、それはしないと答えられている。

ボクの画集の表紙は最初のキャラデザ作品『カレカノ』から『ユーリ!!!』まで主なものを描きましたが、やはり当時の絵を再現しようとした。

 

今年でアニメ業界に入って33年くらいだけど、大先輩と意外と近いところにたどり着けたような気がして(気がするだけだろうけど)うれしくもあり、今後の仕事のためにも刺激になるインタビューでした。

 

 

 

 


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