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今日、お昼にうどんを食べてたらラジオでフランス大統領選挙のニュースをやっていた。
アナウンサーがル・ペン氏を紹介しておおむねこう言っていた。
「極右政党、国民戦線から立候補しているル・ペン氏は、合法・違法にかかわらず移民を排除すると主張している」
はて、そうだったっけ？
と「フランス国民戦線」の公式サイトを見てみました。
もちろんフランス語です。
日本の自由民主党、民進党、共産党、どれも英語ページを用意していますが
国民戦線のサイトに英語版なんてありません。
もっとも、オランド大統領の「社会党」も、対立候補マクロン氏の「前進！」も同じくフランス語しかありません。
フランスは、まず自国文化を尊重する国で、英語化反対で共通しているからフランス語のみなんでしょう。
だからと言って他国の文化を軽視するわけではありません。
フランス人は昔から日本文化が大好きですしね。
さて、サイトに大きく掲載されている「MARINE2017」というのが公約集です。
日本の報道では、必ず「極右政党」と紹介され、決まって難民・移民排除を主張していると「だけ」言われる国民戦線・ル・ペン氏です。
他の政策が紹介されることはめったにありません。
偏ってますね。
公約集はどういうバランスになっているのか見てみましょう。
＊フランス語はそのまま日本語に機械翻訳すると意味不明になってしまうので、一旦英語にして日本語にしました。
フランス音楽を調べた時かなり苦労した経験がありまして・・・
さらに、政治経済用語がヘンテコになってしまうのを補完しています。
間違っていたらご報告ください。
全部で144項目あります。
移民政策に関するところ（安全なフランス）は機械翻訳したものを全文引用しました。イタリック太字にしたところ。
それ以外は重要と思われるものを選択して大意を簡単に列挙しています。
行政改革 1〜
・民主的な制度改革
・憲法改正に向けた国民投票の実施。
・50万人規模の国民投票によって政策を策定。
・議員数削減。
表現の自由
・ジハーディスト（イスラム原理主義者の自爆テロ）や小児性愛を規制しつつ、表現の自由を確保。
・公的秩序の制限内で結社の自由を尊重。文化、スポーツ、教育など団体を支援。
・シェンゲン協定を破棄し国境を復活させる。
・移民を無制限に受入れない。
安全なフランス 21〜
「しっかりとした迅速な刑事訴訟」
21. 外国人犯罪者や犯罪者の自動追放を復元します。外国人受刑者が母国で刑罰を受けるよう二国間協定を確立。
「常軌を逸したテロリズムとイスラム原理主義ネットワークの壊滅」
29.イスラム教の原理主義者に関係するすべての種類の組織を禁止し、解散する。イスラム原理主義（特にSファイル←ISISのことか？）に関連したすべての外国人を追放する。
30.内務省が特定したすべての過激派のモスクを閉め、礼拝場所とそのスタッフの外国資金を禁止する。公的資金（州、地方自治体...）を使ったすべての礼拝と宗教活動の禁止。
31.ジハード主義者のチャンネルとの戦い：ジハード派のチャンネルにリンクされたあらゆる二重国籍者のフランス国籍の奪取、追放、領土の禁止。刑法第411条の4を適用し、敵の情報機関に関与する恐れのある者を事前に勾留する。これらの組織をリストアップしてください。
32.イスラム主義テロリズムに関連する犯罪および犯罪を有罪とする国民的価値を回復させる。
33.内外の諜報機関の人的・技術的能力を強化し、首相に直接報告する単一のテロ対策機関を設立し、脅威分析と業務調整を担当する。
工業 34〜
・工業の再興
・フランスの基準を満たしていない生産物の輸入を規制して国民を保護し、国内の適正な市場競争を確保。
・外国企業に買収されている会社の国税による補助金を制限。
・研究機関などへの投資。
・中小企業の財政負担の軽減。
・中小企業の法人税減税。
・中小企業労働者の所得税減税。
消費と労働 58〜
・消費の促進
・税制改革
・肉体労働（単純労働）の再評価
・障害者の雇用促進
文化 91〜
・フランス文化の保護
・フランス語の保護
・海外領土との格差解消。
国防 118〜
・NATOから離脱し、戦争に巻き込まれないようにする。
・自律した防衛能力の強化。
農業 125〜
・自国農業の保護。
・自由貿易協定拒否。
・フランスの食品衛生基準に適合しない輸入農産物の拒否。
・農業輸出の促進。
エネルギー 131〜
・原子力発電の確保。
・太陽光、バイオ、水力、風力など自然エネルギーの拡大。
生活インフラの地域格差是正 138〜
・農村地帯へのインフラ投資
以上です。
移民に関しては、常軌を逸したイスラム原理主義者・テロリストについてその拠点や資金、仲介者を排除する、ということのようです。
テロリストの疑いがある者もフランスに入れない。
難しいところですが、テロが現実の脅威である欧州において、被害を最小に食い止めるにはこのくらい厳しい措置が必要なのかもしれません。
やはり、「全てのイスラム教徒」を排除するとは書いていませんでした。
拡大解釈の恐れですか？
では、EUの規定によって国境が無きに等しく国民保護政策がとれないのを利用するテロリストが入ってくる恐れはないと言えますか？
フランス国内のイスラム教徒には、国民戦線を支持する人たちがいます。
格差是正を謳った経済政策の多くは、日本で言う「左派」と重なっています。
NATOからの離脱なんて、共産党の日米同盟否定と似てますよね。
確かに、愛国主義的な政策も多くありますが、自国文化を守るのは「極右」だろうか。
自由貿易というビジネス（の恩恵を受ける一部既得権益層）のために、多数の中間層とそれ以下のフランス国民が被害をうけるのは許せない、と主張するのは果たして「極右」だろうか。
外国企業の優遇や外国への雇用流出、富の流出を防ぎ国民を豊かにしたいと主張するのは「極右」だろうか。
国家、国民、国境を守ると主張するのは「極右」だろうか。
これらを「極右だ」と言うなら、世界中「極右だらけ」だ。
家に鍵をかけて開放せず通帳やクレジットカードを他人と共有しない人も「極右だ」。
・・・やや飛躍ですけどね。
イギリスのEU離脱
アメリカのサンダース候補の躍進やトランプ大統領就任。
いずれも
行き過ぎたグローバリズムに対する反発です。
白か黒か
1か100か
ではなく、その中間の無数の可能性を探るのが適切だと思う。
誰が大統領になるかはわからないが、「グローバル化疲れ」が極端な方向に振れないよう、現実をよく見てよく吟味してもらいたいと思います。