第一回口頭弁論当日。 | 【実録】ネコ裁判  「ネコが訴えられました。」

第一回口頭弁論当日。

仕事を早めに片付けて、バイトのミドリちゃんに頼んだ。
嫁のユミコが一緒に行くと言う。

多少なりとも心配なのか?と聞くと…。
「ただ、どういう所か行ってみたいだけ」だそうだ…。

イチコをユミコの母に預け簡易裁判所に出発。
4時からの予定である。
3時10分自宅発。
「20分前には来てください」との呼び出し状の一文どおりに着くように少し早めだ。

道はすいていた。
ものの10分で着いた。
車中ユミコは「どんな相手なんだろう・・・?見たことあるかもね」
と、まるで御のぼりさん状態である。

2階、第二法廷に行く。
ここの場所へ行く事は、先日答弁書を提出したときに聞いていた。
とりあえず受付用紙に名前を記入。
これをしておけば、とりあえずトイレに行ってもコーヒーを飲みに行っても、館内であれば探してくれるらしい。
欠席にはならないわけである。
「トイレで踏ん張っていて、時間が来て不在であるからと言う理由で原告勝訴」……とはならないわけである。

40分も暇なので、館内をうろつく事に…。
待合室や喫煙コーナー、トイレ・・・。
ただ、どこでも行くわけにも行かない・・・。ちょっと殺伐とした雰囲気を醸し出している場所もある…。

ユミコ     「戻ろうか…。」
タロウ     「そうしよう…。」

と言うことで戻った。
時間にして10分。
まだまだ暇である。

とりあえず自分の裁判が行われる第2法廷の傍聴席に入って待つ事にする。
誰もいない。
どうやら前の裁判は早く終わった様子だ。

傍聴席でユミコと雑談タイムである。
ウチの嫁…。なかなか喋る。……と言うか喋りだすと止まらない。
家の事、仕事の事…。
結構喋ったが話題は結局、今日の相手の事になってきた…。

ユミコ     「どういう感じの人なんだろ?」
タロウ     「さぁ…。ただ…。近所の人の話ではちょっとネクラ系らしいよ」
ユミコ     「いきなり裁判だもんね…。」
タロウ     「うん…。」

とユミコが急に怒り出す。

ユミコ     「あんたさー。興奮すると大阪弁でるし…態度が横柄になってくるから気をつけてよ!!」
タロウ     「なにをいきなり…。」
ユミコ     「心象が大事でしょ」

まぁ、本当のことだから致し方ないが…。

ユミコ     「ちょっと手ぇ貸して」

と言うと、今日の裁判資料の筆記用具の中からマジックを取り出した。

ユミコ     「動かないでよ」
タロウ     「はぁ。」

とマジックで手に何か書いている。

ユミコ     「できた。」

見ると手の平に「まったりいこー」と言う文字と幼稚園の壁に貼ってあるようなウサギの絵

ユミコ     「これで興奮しないでしょ」
タロウ     「はぁ…。」

この場合、2chネコが正しいのでは?と心に思ったが、多分ユミコは2chネコを知らない。
パソコン自体触らないのであるから…。
だからツッコむのはやめておいた…。

………。

なにやら廊下で人の気配がする。
と、黒いポンチョのようなものを来た人が入ってきた。
軽く会釈をする。
こっちも返す。

どうやらワタシの裁判の関係者らしい。
「もうすぐかな?」と時計を見ると10分前。

なにやら準備をしている様子である。
もうすぐ始まる雰囲気。

以下次号。
                                  マッタリ イラスト: