2016-06-15 18:35:15

「いのちを持った建築」を考える

テーマ:建築コラム
先週末、高崎市+前橋市にてJIA関東甲信越支部大会が開催され、JIA群馬地域会のみなさんが一年がかりで計画してくださった充実したイベントを体験してきました。

大会のテーマは「ここにあるタカラもの/建築まちづくりの七転び八起き」。地方の中心市街地の空洞化、少子高齢化、過疎化の対策として、まちづくりに何が必要なのか?という普遍的なテーマです。「その地域のタカラを発見する」ことから始まり、今ある「空き地、空き家を利用して活性化する」コンペを企画、審査、シンポジウムという内容でした。
大切なのはその場所に行って、今そこにある町を感じ実際の建築を体験できること。その中で考える、というること。

私の印象に残ったのは、高崎のアントニン・レーモンドの「井上邸」と「群馬音楽センター」を見て、同時にその背景を深く知る機会になったこと。
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井上邸外観と玄関まわり


また、群馬音楽センターにまつわる物語として、「群馬交響楽団」の発生を映画化した1955年の画「ここに泉あり」を、高崎電気館という大正2年の映画館で観賞できたことはとても印象的でした。


高崎電気館

物資のない戦後の貧しい時代、市民の有志が役場の2階に集まり交響楽団を結成し「高崎市民オーケストラ」として永年にわたり活動を継続し、クラシック音楽を市民に浸透させただけでなく、楽器をかついで群馬各地を巡業し、子供や病院などをめぐり、文化としての音楽を伝えようとし続けた、稀有な活動の記録は映画としても見ごたえがあります。その活動が結晶し市民の寄付を集めて「群馬音楽センター」が建設された、という背景を知りました。建物が時代を超えて愛されるというのは、そのようにして生まれるのだなあ、とあらためて感じます。

群馬音楽センター


 シンポジウムで建築家の内藤廣氏が語っていた「いのちを持った建築」について、人のいのちは、近代的な個人に属するのではないのではないか?という話とともに、建築のいのちとは、について語っておられたことが印象的でした。

 日本の経済成長が終わり、人口減少時代を迎えた日本。過去につくったもの、伝統、なつかしさ、といった経済指標に乗らない価値をあらためて吟味し、今現在に受け入れられるデザインやサービス、福祉、交流を豊かにする場所として再構成すること。
そのために建物のリノベーションや保存も大切ですし、その活動に魅力を感じていくプログラムを立ち上げていくグループ、組織をつくっていくこと、それを可能にする行政のサポートなど、地方都市のまちづくりを考えさせられる内容のシンポジウムになっていたと思います。

 継続する組織やサポートも必要だけれど、やはりその地域に住む個人が、楽しいと思う小さなアイデアを持ち寄り、実現のために必要なノウハウを建築家や専門家がサポートしていく、というのが現実的だし、建築家の多くが共有している理想的な職能なのだと感じます。まちの中で、必要な場所やサービスを提供し、運営していくという仕事のなかに、建築家が参加し、活躍できる機会があればよい、とつくづく思います。
 

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