2010-10-29 17:56:32

空を見上げる家~「kokage」 見学日記

テーマ:建築コラム

先日、建築家の末光弘和さん(SUEP.)にご案内いただいて、我孫子の「kokage」という住宅を見せていただきました。住宅建築賞や東京ガスの環境建築賞を受賞された、とても斬新で美しい住宅です。



 上部に向かってゆるやかにカーブした特長的な壁の中には、床暖用のパネルが埋め込まれており、その面に井戸水を流すシステムを採用して、夏の冷却効果を井戸水によってまかなっている、という設備設計が秀逸で、一年を通して、壁の温度は21度程度を保っているそうです。


建築家 田口知子の日常をつづったブログ 壁の中に井戸の水を流しています。トップライトもあって、家の中とは思えない明るさ。


建築家 田口知子の日常をつづったブログ 井水をくみ上げて循環させる装置が床下に。


 輻射熱の冷暖房が気持ちよい、ということは、最近注目されるようになってきましたが、躯体を暖めたり冷やしたりする熱源を何にするか、にはいろいろな方法があります。電気をつかって暖める方法、ガスボイラーで温水をまわす、等が多いですが、この住宅ではそういうアクティブな設備を使うのではなく、自然の井戸水で、一定温度を保たせる、というアイデアがオリジナルです。


建築家 田口知子の日常をつづったブログ リビングルーム。閉じない空間。


壁の向きによって、その場所を規定するデザインはすばらしかったです。 空間のデザインも、新しく、豊かな広がりのある空間でした。その理由は、「部屋」という概念でなく、木陰のように、涼しい井戸水が流れる1.5m巾の壁面が、いろいろな向きに立っているということで、その付近に「場所」が生まれ、それぞれの場所の連続が、少しずつ視線を変えながら連続している、そのようなデザインになっています。天井高さは3.mあることも、この家を何か「住宅ではないもの」に感じさせます。屋根には大胆なトップライトがたくさんあいているので、ついつい上を見上げてしまうので、これは「明るい気持ちにさせる家」かもしれない、と思いました。



 トップライトには、夏は「すだれ」を外から載せるそうですが、そういうローテクな作業も、建て主の方にとっては楽しい体験のようで、とても満足そうに住み心地を語っておられました。

 家の中にいるのか外にいるのか、わからなくなるような、開かれた感覚をつくりながら、温熱環境としての快適さを守っている、というのは、本当に秀逸な設計だと思いました。

 



建築家 田口知子の日常をつづったブログ 外観。構造の柱壁が屋外にも連続しています。

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2010-10-20 10:06:48

瀬戸内芸術祭2010に行ってきました

テーマ:日々のこと

瀬戸内海の小さな島々で行われている、「瀬戸内芸術祭2010」先週末に行ってきました。


JIAの建築セミナーの実行委員として参加したのですが、自分でもとても見たい作品があって、ツアーのおかげで、さらにたくさんの作品もあわせて鑑賞できるにがとてもうれしいことでした。

とても見たかった、というのは、西沢立衛氏が設計した、内藤礼さんの個人美術館、豊島美術館です。10月17日はそのオープンの日で、朝10時の時点で700人の行列ができたそうです。JIAセミナー関係者ということで、列に並ばなくも入ることができたのは本当にラッキー。JIAさまさま、という感じ。


 美術館の中は撮影できませんが、周辺の写真をいくつか。。


建築家 田口知子の日常をつづったブログ 豊島の集落や瀬戸内を見ながら歩く、アプローチの白い道

 山の中腹をぐるっと回る、長いアプローチを通って、美術館の入り口に付くと、20人くらいづつのグループになって靴を脱いで入ります。不思議な大きな白い空間の中全体が、内藤さんの作品なのですが、ただのがらんどうか?どこに作品があるのか、しばらくあたりを見回していると、少しづつ何かが起こります。静かに、ささやかに、起こることは、存在の根源に触れるような体験です。


建築家 田口知子の日常をつづったブログ 白い、ぺったりとした不思議な形の建築です。自然の風景に溶けていくような。


建築家 田口知子の日常をつづったブログ 豊島美術館のミュージアムショップ。


他にも、瀬戸内芸術祭の見所はたくさんあります。男木島の古い民家の中を散策しながら、日常の中に編みこまれた小さな作品郡に出会うのはすばらしい体験です。


建築家 田口知子の日常をつづったブログ 男木島の集落を歩く道。瀬戸内の小さな集落の部分部分が、すべてアートのになっていきます。


建築家 田口知子の日常をつづったブログ 道の途中に作品が。谷山恭子氏「雨の路地」。やかんやナベから一定時刻になると雨が降りそそぎます。


建築家 田口知子の日常をつづったブログ これは、松本秋則氏の「音の風景」。民家のあちこちに竹でつくられた、楽器のようなオブジェがあり、順番にからころ回りながら、かわいらしい音楽をかなでます。


今月末には芸術祭は終了しますが、豊島美術館や、民家プロジェクト、犬島アートプロジェクトなど、レベルの高い美術館は、いつでも見られますので、ぜひ行ってみることをお勧めします。


 

なつかしい、島の自然と民家ののどかな景色に浸され、心身が浄化されるような幸せな体験でした。
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2010-10-08 21:14:45

東十条保育園 現場レポート 2階の躯体をつくっています。

テーマ:建築のしごと


この保育園の現場は、敷地が狭い中、めいっぱい建てているために、工事の資材置き場が確保できず、道路も狭いので、とても大変な現場です。


建築家 田口知子の日常をつづったブログ 2階の壁の配筋が進んでいます。


苦労の大い現場の例に漏れず、工程は次々遅れが出て、約束の期限内に竣工できるのか、はらはらどきどき、戦場のようなストレスフルな状況が続いていました。


建築家 田口知子の日常をつづったブログ 構造の鉄筋が、また半端でない量です。


でも、着工から3ヶ月半立ち、工事がやっと軌道に乗ってきたなあ、という実感が出てきました。施工会社の第一建設の現場監督は苦しい状況でも弱音をはかずに、こつこつと、本当によくやってくれていると思います。



また、事業主の事務長さんたち、福祉法人の皆さんも協力的に毎週の定例会議に積極的に出席くださり、コミュニケーションが密に行えていることが、とても有難く思います。先週からは、園長先生も定例に参加くださるようになり、使い勝手や子供の活動について、具体的な話から、細かい要望も出てきたりします。

「それなら、まだ間に合うからこっちにしましょう!」

ぎりぎりのところで、設計変更をしながらかつ工程や予算調整を行っていくのは、ライブ感のあるやりがいのある仕事です。施工社さんの協力がなければとてもできないのですが、今回は、施工会社の皆さんも、精一杯前向きに取り組んでくれて、設計者としてはとてもありがたいことです。


園長先生に、「建てる前に、工事中でも、いろいろな話を聞いてもらえるなんて、ありがたいですねえ。」と言われ、報われる気持ちになりました。やはり園長先生や保育士さんというのは、思いやりのある、やさしい方が多いですよね。素敵な職業です。



建築家 田口知子の日常をつづったブログ 事務長さん、園長先生が現場を見学。

なんとか、無事上棟し、たくさんの園児が幸せになる保育園が生まれますよう、祈るような気持ちで、日々現場に取り組んでいます。


 



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