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2010-03-31 14:40:28

ちょっと見(み)ではわからないものごと ~リノリウム床材のおはなし

テーマ:建築コラム


皆さん、リノリウム床材というのはご存知ですか?


病院などでよく使われていて、ちょっと見ただけではビニールと似ているシートで、ありふれた材料だなあ、と思っている方が日本には多いようです。昔の人は学校で使ってたような記憶がある、貧しい時代の床材だな、とか、日本人は、どうもリノリウムと聞くとネガティブな印象を持っておられるように感じます。学校建築でもいまやフローリング全盛。天然木だったら自然素材だし、エコロジーっぽいって感じてませんか?



 欧米では、フローリングはそれほどエコロジーで使いやすい材料だとは考えられていません。なぜなら、建築界の安い天然木のフローリング嗜好が、中国などの森林破壊を促進している、と考えられているからです。国産材か、FSC認証森林から切り出した材料ならOKですが、そういう材料はそれなりの価格になります。日本で出回っている無垢フローリングのほとんどは中国から輸入されていて、違法伐採や安い賃金をもとに生産された材料である可能性が高いのです。

 

価格が安いということは、いったいどういうことなのか、疑ってみる必要があります。


 リノリウム床材は、比較的安価であり(4000/㎡程度)、環境に負担をかけない素材です。原料は亜麻仁油とコルク粉、木片など、完全に天然な材料だけでできていますので、廃棄しても土に帰ります。材料の亜麻は生長が早い草で、伐採してもまた生えてくる、というわけで、自然破壊にもつながりません。


建築家 田口知子の日常をつづったブログ リノリウムメーカーのパンフレット


 見た目がビニールシートっぽい、というだけで敬遠されがちなリノリウム。ビニールシートは化学合成物質で、微量ながら化学物質を発散しますが、リノリウムは、地球にも人にも完全にやさしく安全な材料なのです。




表面的なイメージや値段で判断しないで、材料の素性や、背景にある意味を読み込んでから、判断して、選択できるようになりたいですね。

パンフレット一部紹介


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2010-03-23 19:59:17

蓄熱式床暖房のすすめ~夏と冬の快適さを実現すること

テーマ:建築コラム

家づくりのなかで、どこにお金をかけるかのバランスはとても大切ですね。広さが大切な人、キッチンやお風呂など機能性が一番大切だと思う人、仕上げ材には本物を使いたい、耐震性能に防犯性にこだわる、それぞれごもっともです。設計するということは、その方にとって一番大切なことを、あぶり絵のように浮かび上がらせていく作業だと思っています。

本人も気づいていないかもしれない「その人にとっての大切なこと」をコミュニケーションの中から汲み取って、新しい生活のあり方を提案して、幸せな生活を実現する、ということが仕事です。その際、「優先順位をつけること」は、本当に質のよい家で、コストパフォーマンスの良い家づくりに、とても大切なことです。


 さて、建築家として家づくりの相談を受けるときに、私が作る家は、部屋を壁で分けるのでなく、家の空間全体がのびやかに連続していることを大切にしています。外部にも部屋のような空間、中庭やバルコニーがあって、中とがつながって、広々感じられる空間をデザインするのは、家作りの基本中の基本です。


建築家 田口知子の日常をつづったブログ輻射式床暖房を設置した相模湖東の家。

夏も冬のエアコン無しですごせるそうです。

 そのような空間をつくることは、風通しもよく、日差しもあちこちから入ってきて、夏の快適さをつくるのは簡単です。


 ところが、逆に冬の寒さを防ぐのは、ちょっと別のアイデアが必要です。冬は、狭い部屋でストーブをたいたりコタツに入ってじっとしてるのが一番暖かいというのは事実。でもそれでは、あたりまえすぎてつまらないですね。

 冬の暖かさは、まずは日差し。太陽光を最大限取り入れる窓をデザインすること。それにプラスして「夜間蓄熱式床暖房」を建築として取り入れることは、かなり優先順位を上げて提案しています。

 費用は60万円~100万円程度の初期費用で、家全体を足元から快適に暖めてくれて、夜間電力をつかって土間床全体に蓄熱することができます。

エアコンのように風もなく、家の構造(壁や天井、床)に熱をたくわえるので、身体にやさしくもっとも快適な室内環境を実現できます。夜間電力を使うので、家全体を暖房していても、月々のランニングコストは3~4000円(30坪程度の家で)



 無印良品の家で、同じシステムをオプション品としてつけていると聞き、見に行ってきました。夜間に5時間だけ土間の床に温水を流して蓄熱します。昼は土間に蓄熱された熱だけでふわっと暖かい、を体験してきました。



建築家 田口知子の日常をつづったブログ 無印の家外観

建築家 田口知子の日常をつづったブログ 吹き抜けがあって開放感の高い設計でした。

厳寒日にはエアコンも併用するそうですが、基本的にはこの土間床暖房だけで過ごせるようです。もちろん、断熱性能もかなり高いことが前提です。

空間の開放性と風の通る家にプラス土間蓄熱式床暖房、このセットが、今の住宅設備のお勧めすです。

 


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2010-03-16 22:20:42

建築の色について考える

テーマ:建築コラム

先日、都内のとある駅のホームに立っていると、線路のむこうに建つマンションに目が止まりました。なんとなく不思議な存在感があります。


水色とライムグリーンの外壁に、ピンクの手すり、雨どいにもピンク。ドアの色はグラデーションのピンクで、家によって微妙に色が違っています。




建築家 田口知子の日常をつづったブログ 建築家 田口知子の日常をつづったブログ アップで見るといろいろな色が見えてきました。



「ほー、カラーコーディネート、がんばってたのね。ちょっと渋谷系ファッションカラー(?)というか、アジアの路地的彩色というか・・・。」



良いとか悪いとかはとりあえずおいておいて、デザインした人が一生懸命色にこだわっている心理に興味がわいておもわずシャッターを切りました。


 日本人は色については、それが建築や車になると、とても保守的ですね。先日も「色を使うとすぐ飽きるから、やめとけ、と親に言われました。」とクライアントの若い奥様が口にされた言葉が耳に残りました。



 色は、音と同じように、人の心理に影響を与えるものだと思います。建築は、多くの人の目に長い時間さらされるので、その影響に責任があるということで、家には白とかグレーとか、ベージュとかといった外観に選ぶ人が多いです。


 一方、オランダやチェコなどを旅すると建築は驚くほどカラフルに彩られていることがあり、そこにははちゃんと調和があって違和感がありません。ところが、同じような色で日本の町を再現すると、とたんにオモチャの家のような軽薄な風景が立ち上がります。

 

建築の色は、その国の風土、湿度や土の色、植生と密接に関係があると思っています。

樹木の色、空の色と調和するようにしないといけない、ということを人は直感的に知っているのでしょう。



とはいえ、自分は建築を設計するときに色を使うことが、意外と多いのです。


建築家 田口知子の日常をつづったブログ武蔵小山アパートメント


ただし、いつもインテリアのみで、かなり慎重に、日本の伝統色といわれるような微妙な色から選んで使います。

部屋の中に一面だけ色をつける、というのは良く行う手法です。色を塗ることで、部屋が閉じた四角でなくなり、奥行きが出て広く感じる効果が出ます。



建築家 田口知子の日常をつづったブログうつのみやアパートメント

 ある色を建築に取り入れることで、人を元気づけたり、おだやかな気分にしたり、コミュニケーションが活発になったり・・・。そういったやり方は、コストをかけない建築デザインの手法でもあります。


 効果的に色を使う方法、これからも探究していこうと思います。

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