『今から会えますか?』

携帯電話を投げつけたい衝動に駆られた。

けれど、そうしなかった。

人前だから?

それもある。

だけど、このメールは間違いなく、僕の言葉に対するレスだった。

その日の昼、同じ女教師から再びメールが着た。

『どうして返信してくれないんですか?』

返信しなかった。

そして夜もまた着た。

メッセージだけは確かめた。

『私何かマズイことしましたか?どうしてもあなたに会いたいんです』

無視をした。

翌日、通勤電車に揺られているとき、別のスパムメールが2通届いた。

やはり出会い系サイトからのメール。

1通は、これぞ出会い系という感じで、タイトルからしてエッチな内容。

メールを開く気すらおきない。

もう1通は、

『話し相手が欲しくて登録しました。もし良ければ一緒に話しませんか?』

返信しようか迷った。

これも絶対サクラだろう。

そう思うとすぐには返信出来ない。

仕事をしながらも、休憩のときに考えが及んでしまう。

返信をしたらどんな返事が来るのだろう。

仕事が終わり、帰りの電車の中で、決意した。

本当はこんなこと決断するようなことじゃないのに。

内容は決めていた。

相手は多分サクラ。

そうに決まっている。

『こちらも話し相手が欲しいと思っていました。もしあなたがサクラでなければ返信を下さい』

日付が変わる前にメールは来なかった。


続く★


★☆★婚カツパーティーに行ってきました!!

☆★☆そのパーティー内容はコチラ音譜


全9回 【婚活パーティーレポート手紙

コメントたくさん頂きましたキスマーク

http://ameblo.jp/ta-ta-toodle/entry-10310253244.html


◆◇◆―――◆◇◆


ぐるなびウエディングVSゼクシィ!!

「一番役立ち結婚情報サイト、ぐるなびウエディング♪♪」


http://wedding.gnavi.co.jp/


「やってみよう♪」

結婚式場&レストランウエディング スタイル診断☆

http://wedding.gnavi.co.jp/mycon_check/


◆◇◆―――◆◇◆





届いたメールを見ると、メッセージには厚かましくも『安心宣言!』と書かれていた。

バカ言うな……

登録もしていないのに、送られてくるメールに安心も何もない。

けれど、答えたくなった。

無性に。

相手の職業は女教師で有名芸能人似らしい。

名前は河上光と書かれていた。

いかにも、という感じは拭えない。

わかってる。

これはサクラだ。

わかってる。

これはサクラなんだ。

それをわかった上で返信をするんだ。

返事を求めているわけじゃない。

自分が、ただ返す、だけ。

携帯電話を開いた。

アドレス帳に登録している人たちの名前を眺めた。

皆、疎遠になっている。

着信履歴を見ると、一番最近連絡を取った人でも1ヶ月前に遡る。

何を話したかも覚えていない。

発信など半年前のものも残っている。

自虐的な笑いが漏れる。

スパムメールのメッセージを見ると、そこにはURLが記載されていた。

サービス概要を見るために、アクセスした。

一番下の利用規約を確認した。

どうやら最初はサービスとして150ptあるらしい。

送られてきたメールを見るのは10pt、メールの返信には15pt

そしてptがなくなったら、銀行振り込みかビットキャッシュでptが加算されるらしい。

料金設定は150pt3000円、400pt5000円。

つまり、一回の返信に300円も掛かるのだ。

しかも文字数も決まっており、150文字以内だった。

顔も性格もわからない相手からのメールを見て、かつそれに返信をすると合計で500円。

思わずため息が漏れた。

果たしてこんな事をしている人がいるのだろうか?

もしかすると、自分だけではないだろうか?

メールを打とうとする指が震える。

最初の一文を入れる。

そして、二つ目のセンテンス。

『有名芸能人に似ているのなら、出会い系なんてしなくていいんじゃないですか?

そもそも、こちらが誰だかわかっているんですか?』

携帯電話を胸ポケットにしまった。

カバンには入れられなかった。

すぐに返信が着た。


★続く★


★☆★婚カツパーティーに行ってきました!!

☆★☆そのパーティー内容はコチラ音譜


全9回 【婚活パーティーレポート手紙

コメントたくさん頂きましたキスマーク

http://ameblo.jp/ta-ta-toodle/entry-10310253244.html


◆◇◆―――◆◇◆


ぐるなびウエディングVSゼクシィ!!

「一番役立ち結婚情報サイト、ぐるなびウエディング♪♪」


http://wedding.gnavi.co.jp/


「やってみよう♪」

結婚式場&レストランウエディング スタイル診断☆

http://wedding.gnavi.co.jp/mycon_check/


◆◇◆―――◆◇◆


今日は週に1度の営業ミーティングがある。

営業成果を報告するのだが、僕の結果は芳しくない。

ビリではないが、誇れるものでもない。

以前は違った。

トップの時もあった。

いつも上を目指して、脇目も振らずに走っていた。

フットワークの軽さと、大振りなジェスチャーが良いと言われた。

あの頃は熱意に満ちていた。

けれど、いつからか営業の楽しみがなくなり、再生機になった。

どんな担当者に会っても同じことを繰り返した。

声の抑揚は付けていたけど、それも微々たるもの。

相手に伝わるはずない。

腐る程ある派遣会社の中で、企業担当者が依頼を出したいと思うのは魅力的な営業マンだ。

会社の名前じゃない。

この人なら信頼出来る、という人物でなければ貴重な戦力の人選など任せようとは思わない。

僕はその対象から外れつつあった。

1度の失敗が僕を変えた。

慢心していた。

全て自分で出来ると思っていた。

そんな時にトラブルが起きた。

新規開拓で訪問した企業から派遣の依頼を受けた。

事務と経理、合わせて7名の依頼。

3年目を迎える僕には実績を示す良い機会だと思った。

これで月間トップに立てるかもしれない。

先方が同時に依頼を出している競合の派遣会社が2社あった。

その2社は既存で取引を行なっていた。

けれど、今回ばかりは良い人材がいれば即決する。

スピード勝負。

僕は期待に応えるため夜中まで人選をしたが、先方が望むスキルを持ったスタッフはいなかった。このままだと競合に先を越されてしまう。

僕はスキル不足の人材にも視野を広げて、人選に当たった。

その甲斐あり、今回の依頼に了承してくれるスタッフを見つけることが出来た。

先方もこちらのスピーディーな対応を評価してくれた。

そして成約した。

最初の1ヶ月目は慣れない環境のため、スキルは求められない。

平穏だった。

けれど、2ヶ月が経ち、3ヶ月目に差掛かろうとしたとき、スタッフ、現場責任者共に不満を漏らし始めた。

「こんな業務、聞いてない」

「スキルがなくても大丈夫だって言ってたのに」

スタッフ側の言葉だった。

「あのスキルだと仕事が進まない」

「いつもグループでいるから扱い辛い」

自分なら対処出来ると思い、スタッフにはスキルアップを促し、クライアントにはもう少ししたらスキルアップする旨を伝えた。

けれど、懸命に動けば動く程、空回りした。

焦り、いきり立つ自分を見てスタッフは派遣先の変更を申し出た。

更に焦る自分がいた。

そして、彼女には八つ当たりをして、悲しませてしまった。

挙句の果てにはスタッフが逃げ出した。

彼女は最後まで僕を支えようとしてくれた。

けれど耳を貸さなかった。

根拠のないプライドがそれを邪魔した。

そして、今はこのザマだ。


★続く★