Ｊ・エドガー
監督・音楽 クリント・イーストウッド
脚本 ダスティン・ランス・ブラック
出演 レオナルド・ディカプリオ、ナオミ・ワッツ、アーミー・ハマー、
ジュディ・デンチ、ジョシュ・ルーカス、エド・ウェストウィック、
リー・トンプソン、マイルズ・フィッシャー、ジェフリー・ドノヴァン
（あらすじ）
１９６０年代、ＦＢＩ長官ジョン・エドガー・フーバー（レオナルド）は
キング牧師が自分を批判したことを苦々しく思っていた。
彼の中では共産主義は「悪」だった。
彼は自身の伝記をスミス捜査官（エド）口述タイプさせることにする。
-１９１９年、アメリカでは共産主義者のテロ活動が活発になっており、
エドガーの尊敬する上司だったパーマー司法長官宅も爆破されてしまった。
これをきっかけに過激派を逮捕して国外追放するチームが形成され、
２４歳のエドガーはその責任者となった。
彼の出世を母・アンナ（ジュディ）は激励した。
彼の父親は全く無力な存在。
エドガーは司法省でヘレン（ナオミ）に一目惚れし、プロポーズするが断られる。
だが彼女を自分の第一秘書にした。
エドガーは国会図書館をインデックス化しており、
この経験から
犯罪者たちの指紋などのデータを集め、捜査に利用する構想を抱く。
新任のクライド（アーミー）を採用したエドガーは
彼と友情以上の感情を分かち合うようになり、副長官に任命する。
１９３２年、チャールズ・リンドバーグ（ジョシュ）の息子が誘拐され、
事件解決のために
ＦＢＩの権限を大幅に認めさせることに成功したエドガー。
息子は遺体で発見されたものの、犯人逮捕を果たした。
以後は、その権限を縮小させようとした歴代の大統領たちをも黙らせる
極秘ファイルを収集してきた。
エドガーは自分が女性嫌いであることを自覚しながら
そのことをアンナに批判され、
女優との結婚を考え出すが、クライドに激怒される。
悔いた彼は、生涯彼とのメンタル的同性愛関係を続け、独身を通した。
-この頃、クライドは体調が優れなかった。
また、エドガーが自身に都合がいいように口述していることを知り、
そのことをたしなめ、高齢だし、引退時期では？と述べる。
エドガーはキング牧師不倫の証拠をつかみ、
ノーベル平和賞辞退に追い込もうと
同胞からを装って脅迫文を出したものの効果がなかった。
新大統領となったニクソンも
エドガーに屈しないタイプで、彼は不安に思っていた。
そんな中、エドガーは急死した。
ニクソンは表向きは追悼スピーチをしながら、
極秘ファイルを見つけるよう指示を出す。
だが生前エドガーに頼まれていたとおり、
極秘ファイルはヘレンが処分していたのだった。
（感想）
ＦＢＩを作った男の話、というので興味を持った。
これがとても楽しめた。
ＦＢＩが出来るまでの道程も興味深かったけど、
彼を英雄視するわけでなく、
権力を持ってしまった人間が陥る傲慢さ、
それに必ず付きまとう脆弱性という
物凄いベタな人間性というものを淡々と描いている感じ。
偉業を成し遂げた人なので
もうちょっと色をつけてあげてもいいのでは？と思うくらい
冷めた視点で客観的に。
観客が観て面白い伝記映画というのは
大体、描かれている本人は気に入らないものなんじゃないかと思うんだけど、
これはまさにそうだった。
知られたくないであろう側面だらけで。
「これを撮った人、才能あるなぁ」と思いながら観ていて、
エンド・クレジットで
監督がクリント・イーストウッドだとわかり
「ああ、さすが！」って思った。
音楽もイーストウッドで、自分は彼が作る映画音楽、とても好きだ。
キャストたちは、イーストウッドは自身も俳優だっただけに、
役者の才能・演技力を引き出すのが上手いと再認識出来る名演を見せている。
レオナルド・ディカプリオがメイクを施し、
無理を感じさせない老け役を好演、
つくづく、彼はもっと認められるべきだと思う。
彼の秘書役のナオミ・ワッツも的を得た芝居をしているし、
副長官役のアーミー・ハマーもディカプリオと肩を並べるくらいの演技だった。
母親役のジュディ・デンチもイメージ通りの安定した演技で
「このお母さんに育てられたら
こんなふうになるのもしょうがない」的な高圧的な母親役を演じていた。
この母子のあり方にも非常に関心を引かれた。
興味をそそられる題材、かつ人間ドラマで
自分はとても気に入った作品だった。
☆☆☆関連作品レビューへのリンク☆☆☆
クリント・イーストウッド
ヒアアフターインビクタス 負けざる者たちダスティン・ランス・ブラック
ＭＩＬＫ ミルクレオナルド・ディカプリオ
インセプションシャッター・アイランドアーミー・ハマー
ソーシャル・ネットワークジュディ・デンチ
パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉ＮＩＮＥジョシュ・ルーカス
サイコ・リバースマイルズ・フィッシャー
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