酔いがさめたら、うちに帰ろう。

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監督・脚本　東陽一
主題歌　誇り高く生きよう/忌野清志郎

出演　浅野忠信、永作博美、香山美子、藤岡洋介、森くれあ、高田聖子、利重剛、市川実日子、
柊留美、甲本雅裕、西尾まり、光石研、蛍雪次朗、北見敏之、志賀廣太郎、遠藤賢一、大久保鷹、
堀部圭亮、渡辺真起子

（あらすじ）

戦場カメラマンの安行（浅野）が吐血して救急車で運ばれる。
これまでにもあったことで、母・弘子（香山）は
安行の別れた妻で、漫画家の由紀（永作）に連絡する。

彼の吐血の原因は過度のアルコール摂取が原因だった。
安行と由紀が宏（藤岡）・かおる（森）という子宝に恵まれながら
離婚した理由も、彼のアルコール依存症だった。
だが、由紀はその後も彼を放っておけず、子供たちも変わらず彼を慕っている。

由紀の薦める三笠（利重）のクリニックで治療を始める安行だったが、
始めた矢先に飲酒し、怪我をしてしまった。

安行は精神病院内にあるアルコール病棟に入院することになる。

病室に空きがなかったため、初めは精神病棟で過ごす事になる安行。
不思議な光景を目にする。

アルコール病棟では
ざっくばらんな女医（高田）の診察を受け、クセモノの患者たちと過ごす。
手作り弁当を持って見舞いに来た由紀らと楽しい時間を過ごし、外出も許可され、
自分にはなかなか出されなかった好物のカレーが出されるようにまでなった。

退院後は由紀たちと暮らすことにした安行だったが、
退院出来たのは、彼が既に末期がんに冒されていたからだった。
安行も由紀も、それを知って複雑な思いにかられる。

家族４人で海に行く安行たち。
楽しい時間を過ごしながら、由紀は手を振って去って行く安行の幻を見る。

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（感想）

鴨志田穣の自伝小説を映画化。
妻・由紀は西原理恵子のこと。

８０年代、旬の女優たち（烏丸せつこ、田中裕子、桃井かおりなど）を脱がせ、
ネオ・エロな話題作を撮り続けていた東監督。

そんな東監督がまだ健在だということに感慨を覚えた。

今作はエロの要素は皆無。

主人公のアルコール病棟での体験記を中心に、
家族愛をユーモラスに描き、可笑しくて悲しい作品に仕上げている。
ベテランの技量を感じる演出だった。

何と言っても浅野忠信で、酒を飲まなければ本当にいい人なのに、
しょーもな・・・┐(￣ヘ￣）┌って思いながら
それでも放っておけない感じがする主人公を素の様に好演していた。

永作も香山も嫌いなんだけど、今回は好感の持てる役どころだった。
もう少し斉藤由貴が若かったら、西原の役は彼女にぴったりだったと思う。

病院でのシーンは、とても興味深く、
治療の中で、主人公がなぜアルコール依存症になったのか？という原因を
心の中に探っていくわけだが、
深い心の傷が起因になるとはいえ
「アルコール依存症は誰にも同情されない病気です」と医師が言う台詞が印象的。

他の入院患者たちを個性派俳優の面々が演じているのだが、
志賀がいつものイメージと違う役柄でインパクト大。

人生に起きる様々な出来事って、捉え方次第だと思う。
そんな事を感じさせてくれる作品だった。

★★★関連作品レビューへのリンク★★★

浅野忠信　