【講演会のご案内】


10月9日(日)10時30分~12時
『「イスラム国」の野望!』
場所:放送大学大阪学習センター
(JR寺田町またはJR天王寺駅より7分)
詳細未定


10月9日(日)午後3時~5時
講演『「イスラム国」の野望!』
大阪市内 詳細未定


2017年1月21日(土)午後2時~4時
三重県 菰野町よもやま歴史サークル
『ユーラシア史の中の世界宗教』
詳細未定

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2016-07-26 11:16:02

書評『アフガン・対テロ戦争の研究』

テーマ:書評

ターレバンを操るパキスタン


2017年1月のオバマ大統領の任期切れが近づいている。そのオバマは、イラクとアフガニスタンの戦争への米国の関与を終わらせるとして2008年に大統領に当選した。だがアフガニスタンでは戦争が続いている。2001年に始まった米国のアフガニスタン戦争は既に15年目に入っている。米国が経験した最長の戦争記録を日々更新している。現在1万人近くの米兵がアフガニスタンに残っている。そしてオバマ退任後も、その大半が残留の予定である。それだけアフガニスタンの情勢は、緊迫している。


この緊迫した時期にアフガニスタンの情勢を振り返り展望する書物が出た。本書『アフガン・対テロ戦争の研究』である。しかし、本書の真の主役はタイトルに現れていない。パキスタンである。パキスタンは、インドと対抗するために戦略的な後背地としてアフガニスタンでの自らの影響力の確保を常に目指してきた。その道具として利用してきたのがターレバンである。パキスタンは、この過激派組織を常に支援してきた。米国の対ターレバン戦争に協力している振りをしながらも、決してターレバンとの関係を断絶することはなかった。


しかし、この政策は高い代償を伴った。国内へのターレバン的な過激思想の浸透である。フランスのイスラム研究者ロイ・オリビエの表現を借りれば「パキスタンのターレバン化」の進行である。パキスタンはターレバンを操ってきたつもりであった。しかし今では隣国での過激派を使った火遊びの火の粉が自国に降りかかっている。自国民の急進化に困惑している。パキスタン国家のアイデンティティーをめぐって、穏健な勢力とイスラム急進派との間の綱引きが行われている。その結果が、この国の将来を左右する。この国は、世界最大のイスラム教徒人口の国である。しかも唯一の核武したイスラム国家でもある。新たな資料に依拠して、大胆な仮説を交えながら、淡々と積み上げられた記述は、恐ろしい結末を暗示している。


『アフガン・対テロ戦争の研究』
著者 多谷 千香子
(岩波書店 6480円)


※公明新聞に掲載された書評です。

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2016-07-25 10:04:48

書評『中東から世界が崩れる』(日経新聞)

テーマ:書評

放送大学で国際政治を教える著者が、中東で深まる混迷の要因と展望を解説する。細部にあえて踏み込まず「わかりやすさ」を重視している。


特に注目するのは、米欧など6カ国との核合意を経て経済制裁の多くを解除されたイランと、世界最大級の石油生産国サウジアラビアだ。このうちサウジを指して著者は「国もどき」と呼ぶ。イランのように長い歴史を持ち体制が確立した国家でなく、少数の王族が支配し「近代国家」の要件が伴わないというのだ。


サウジは従来、外交の舞台で目立たないように行動してきた。だが、国王の息子である若い副皇太子が国防や経済で大きな権力を握った。石油価格の下落とともに、冒険主義にもみえる軍事作戦や、実現性の低い経済改革に乗り出したと、著者は懐疑の目を向ける。仮にサウジが不安定になれば、イランの台頭とあわせて、中東全体が揺らぐという強い懸念を表明している。


中東は新たな「列強の時代」に入ったようだ。中東と距離をおく米国、その空白を突くロシア、中国といった域外大国のほか、エルドアン大統領に権力が集まるトルコ、軍部が力を持つエジプト、独立を目指すクルド人などがパワーゲームを展開する可能性を示す。中東の動きを世界情勢の一部と捉え、幅広い視点から理解するのに役立つ書だ。(NHK出版新書・780円)


※7/24に日本経済新聞に掲載された、『中東から世界が崩れる』の書評です。



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2016-07-04 10:00:00

気にかかるマレーシアの治安(2)

テーマ:マレーシア

さて、マレーシアに話を戻すと、2014年3月に不思議な事件が起きている。


クアラルンプール空港を飛び立った北京行きのマレーシア航空370便が消息不明となった。その後、1年以上もたった15年7月、まったく違う方向のインド洋の東部で、つまり東アフリカの方面で同機の機体の一部が発見された。飛行記録を収めたブラック・ボックスは発見されておらず、真相は依然として闇の中である。


この事件と空港の職員がコンピューターをサボタージュしていたという事件と関連があるのかどうかも不明である。しかし、マレーシアの空港をめぐる保安管理への不安を高める二つの事件であった。マレーシアに関する不安の第三の根拠をあげると、マレーシア航空の安全管理への姿勢である。


同じ年の7月には、オランダのアムステルダム発のマレーシア航空17便がウクライナ上空で撃墜された。親ロシア勢力の対空ミサイルによる撃墜との説が有力である。先に述べた同年3月の失踪事件に次ぐ不幸であった。不運と言えば不運である。だが、戦争状態にあるウクライナ上空の飛行をつづけたマレーシア航空の判断は、適切だったのだろうか。疑問を抱いてしまう。この空域の飛行を取りやめた航空会社もあった。


マレーシア出身者が「イスラム国」で訓練を受けているだろうとの推測、空港の管理の甘さ、同国の航空会社の姿勢、この三つを足すと、やはりマレーシアの治安が気にかかる。


-了-


※『まなぶ』2016年年7月号、58~59ページに掲載されたものです。



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