欧州野球狂の詩

日本生まれイギリス育ちの野球マニアが、第2の故郷ヨーロッパの野球や自分の好きな音楽などについて、ざっくばらんな口調で熱く語ります♪


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 2試合で1勝1敗という結果に終わった日欧野球から、早くも1週間以上が過ぎた。このブログではこれまで何度もこのシリーズのことを取り上げてきたけれど、野球好きな1人の日本人としても欧州野球ファンとしても、心から楽しめる充実したものになったことについて、今思い返してみても改めてよかったと心から感じている。2015年シーズン開幕直前に行われたあの試合に立ち会えたことは、おそらく俺にとって一生忘れえない経験となるだろう。


 一方で、この2015年春は日本球界の未来に大して、やや危ういものもどこか感じさせるものになっている気がするのは、俺の気のせいだろうか。いや、おそらくそれを薄々感じ始めているのは俺だけではないはずだ。実際過去のブログ記事へのコメントなどで、「日本球界はこのままで大丈夫なのか」という疑問を既に複数回ぶつけられている。事実今回の日欧野球を始め、「日本野球が時代の変化についていけてないのではないか」という疑念を抱かせる出来事が見受けられるんだ。


 例えば日欧野球での日本の戦いぶりに関して、戦前の日本側のメディアの扱いやファンの間での見立てはどうだっただろうか。このブログでも「抗議した」とお伝えしたNumberをはじめ、その大半はおそらくこういう物だったはずだ。「欧州代表の選手たちは野球だけでは生活ができず、他に仕事をしながら野球をやっているセミプロの寄せ集めで、日本側から見れば圧倒的な格下。現役大リーガーはおろかマイナーリーガーもいない。当然2試合とも日本が圧勝して終わるだろう。はっきり言ってこんな試合はやるだけ無駄ではないか」と。


 こうした評価からは、「確かに今は大半が欧州でプレーするセミプロだが、多くの選手がかつてマイナーでバリバリやっていた経験の持ち主である」という視点、そして「2013年WBCでキューバや韓国を破るなどしてベスト4入りしたオランダを中核としつつ、その弱点となる部分を各国のトップ選手で補う形で作られた精鋭集団である」という視点が完全に抜け落ちてしまっている。彼らの実力は先の2試合で十分に発揮されたし、戦前の下馬評が全く誤ったものであったことを思い知らされた人も多かったはずだ。


 その下馬評に踊らされたせいかどうかは分からないが、今回の日本代表の戦いぶりも現地で見ていて非常にお粗末に感じた。2試合とも当然圧勝するという空気があったにもかかわらず、いざ試合が始まってみると「日本が勝つために最低限やるべき野球」が全くと言っていいほどできていなかった。もちろん、代表チームとして集合したのが直前だったからエンドランなど攻撃面での連携については割引いて考える必要はあるけれど、それでも追い込まれてからファウルで粘るとか、バントの構えで相手守備陣を揺さぶるとか、そういった個々のレベルでの創意工夫がまるでなかったんだ。


 実際の日本代表がどうだったかと言えば、どの打者も漫然と長打狙いで大振りを繰り返すだけで、「チームとしてどういう方針で攻撃を進めていくのか」という方向性は全く感じられず。スモールボールと言いながらその中身は緻密さのかけらもなく隙だらけ。これでは第1戦、第2戦ともに欧州の投手陣にいいように料理されたのも当たり前だ。何せ、国際舞台での経験値は彼らの方が圧倒的に上であり、「如何に相手の隙を突いて勝利を手繰り寄せるか」という野球を彼らは嫌と言うほどやってきているんだからね。


 そしてこれ以上に問題だと俺が思うのは、この2試合でこうした問題点がはっきりと浮き彫りになったにもかかわらず、どの大手メディアも全くと言っていいほどそれを指摘せず(少なくとも俺の目にはそう見える)、またファンの中にも試合の中身と関係ない部分で言い訳や現実逃避を重ね、この結果と正面から向き合おうとしない人間がいるということだ。誰が何と言おうが、日本代表が欧州代表に相手に1試合は負けたのは覆しようのない事実だ。第1戦は欧州側の独り相撲のおかげで逆転できたようなものだから、内容的には2試合とも負けていたと言ってもいいだろう。


 これに対する反論として「欧州代表と言っても半分は中南米出身だし」とか「欧州代表そのものは正式なナショナルチームではないし、今後WBCなどで戦うわけでもないのだからそこまで大事ではない」という声を頂いたが、はっきり言ってそれらは事の本質ではないしどうでもいい。俺が問題だと言いたいのは、「相手の情報が少ない一発勝負の舞台において、相手の戦力についての情報を正確に把握する」「結果として思い通りの戦いができなかったことに対して、きちんと正面から向き合いどこが不十分だったのか反省する」という、至極当たり前の作業を行う体制が全く整っていなかったということ。これは相手の選手がどこ出身であろうが、あるいは対戦相手が国家代表であろうがなかろうが関係ない話だ。


 悪い冗談でもなんでもなく、現場はもちろんファンもメディアもこういうことをいつまでもやっていたら、日本野球の世界の中のプレゼンスは近い将来とんでもなく低いものになってしまうんじゃないだろうか。俺はその点について物凄く危惧している。欧州野球ファンとしては、もちろん今回欧州代表が記念すべき勝利を収めたのはとてつもない朗報だ。しかし同時に、あまりにもふがいなさすぎる日本代表の戦いには危機感を覚えるよ。これが本当に「世界最強に向けて結束」するチームのあるべき姿なのか。俺はその点については甚だ疑問と言わざるを得ない。


 もちろん、「これからの野球界においては、WBCやプレミア12をはじめとする国際大会で勝つことが全てだ」などという暴論を振りかざすつもりはない。代表戦はあくまでも国内リーグの延長線上に存在するものであって、「国内の戦い」も「世界の戦い」も車の両輪として欠かすことができないという持論はこれまでも何度も述べているところだ。しかし、野球界そのものが国内リーグと国際大会の双方を両立するという方向にシフトしているのであれば、当然その一員である日本球界もそれに対応していかなければならない。あのダーウィンだって言ってるじゃないか。「この世で一番強いのは、環境の変化にしっかりと適応できる能力を持つ生き物だ」と。


 また敢えて俗っぽい言い方をするけれども、「国内リーグは隆盛を極めているけれども代表チームは弱い」という構図は、傍目に見ると極めてダサい。国内リーグの質に関してはそれぞれ戦っている環境が全く違う以上、結局のところ相対的にしか比べることができないわけで、「どの国の野球が一番強いのか」を絶対的な形で決めるためには各国の精鋭を集めて代表戦をやる他ない。だからこそ国際大会は重要な存在なのであって、いくら俺たち日本人が「自分たちの国はレベルの高い選手たちがたくさんいる強豪国だ」と威張ってみても、肝心の日本代表がそれを裏付ける結果をきちんと出せなければ、その言葉は単なる独りよがりの自己満足になってしまうと思うんだ。


 日本は東アジアにおいてはもちろん、世界全体で見てもアメリカと並んで野球界のトップを占める双璧的な存在であり、他の国々をリードしていかなければならない立場にある。曲がりなりにも今はWBSC世界ランキング1位の座を占めているわけだから、これからはなおのこと世界の中で重要な存在として他国からは見られるだろう。であれば、今やるべきなのは現実逃避や言い訳を重ねることではないはずだ。今や野球界における国際化の波は、日本人の認識よりもずっと速いペースで押し寄せてきている。悠長に時間を無駄遣いしていられる余裕などない。


 何より大事なのは、現場もファンもメディアも余計な先入観を捨てることだ。対戦相手が「野球不毛の地」というイメージが根強い欧州だったこと、中核であるオランダに2年前のWBCで大勝していることなどが、日本側に「楽勝」と言うイメージを植え付けてしまっていたかもしれないが、それが日本側のレーダーを狂わせてしまっていたのは結果を見ればよくお分かりだろう。「今、自分たちが戦おうとしている相手はどんなチームであり、どんな選手がいてそれぞれどんな特徴を持っているのか」を可能な限りフラットな目で見て正確に把握することが、ごく当たり前ながら一番大切な作業なんだと思う。


 そしてこういう厳しい結果になった際には、ファンやメディアがシビアに「どこが問題だったのか」「次の試合の際は、今回の結果を踏まえてどのように戦うべきか」を指摘し合えるような文化を作っていくことも必要じゃないだろうか。もちろん過剰な叩きや煽りに走るのは論外だけど、ふがいない結果しか残せなかった現場の尻を叩くのは俺たち「外野にいる人間」の役割であるはずだ。「今回は日本側はシーズンに向けて調整中の若手ばっかりだったしね」と本題から目を背けたり、「あんな奴らに負けるなんて」と発狂したりするのは、結局誰のためにもならないと言うのをみんな肝に銘じるべきだと思う。


 日本代表は国内的には世界に冠たる野球大国だけど、世界の舞台でどれだけ結果を残しているかと聞かれたら、実は大会を制した経験というのは極めて限られている。シニア代表が世界大会で優勝を果たしたのは、俺の知る限りでは公開競技時代の五輪とWBCでの2連覇の時だけ。IBAFワールドカップでは、結局日本は最後まで一度も栄冠には手が届かなかった。WBCで2度勝ったと言っても、最後に勝ったのはもう6年も前の話。世間一般と比べて世代交代が早いスポーツの世界では、6年前の出来事は最早昔話にすぎない。その昔話が、今の日本球界から感じられるある種の「驕り」につながっているのだとしたら、俺はそれに対してはっきりとNoと言うよ。


 俺たちの代表チームは過去に中国やブラジルに苦戦し、五輪ではオーストラリアにも負けた。この春も欧州代表に白星を献上した。WBCのタイトルだって、2年前にはドミニカに持っていかれているんだ。日本代表は今も昔も絶対的な王者なんかじゃない、世界ランク1位と言えども挑戦者なのだという事を思い出してほしい。過去に掴んだ栄光はあくまでも過去の話。そこに囚われた井の中の蛙のままでは、きっと近い将来はとんでもなく暗いものになっていると思う。これから日本が強くなるためには何をすべきか、まずそこをもう一度真摯に見つめ直してみませんか?

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 早くもプレミア12と並び、当ブログにとっての今年の一大注目イベントとなっている日欧野球の開催日が、3月10日と11日になるそうだ。この試合を実施することによる、日本側へのメリットについて個人的に考察する記事(http://ameblo.jp/systemr1851/entry-11973297540.html )をアップしたところ、その末尾に書いたヨーロッパ選抜の仮想ロースターがネット掲示板で話題になるなど、少なからずこの試合に注目し好意的に見てくれているファンの方々もいる。ヨーロッパ野球をこれまで追いかけ続けてきた1人にとっては、こうした流れは心から喜ぶべきものなのは間違いない。


 しかし、残念ながらこの歴史的イベントに対して批判的な人々がいることもまた事実のようだ。昨日の正午頃、日刊ゲンダイがこんな記事をリリースした。


プロ野球開幕直前に「侍J」強化試合 12球団が大ブーイング

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/156214


 読んでいただければお分かりかと思うが、内容はまさに前回の記事でも触れた「こんな大事な時期に余計なことしやがって」という恨み節そのものだ。「目玉になる選手もいないし、収益が見込めると思えない」「わざわざレベルの低い相手とやらせて、ケガでもしたらどうするのか」等といいたい放題だ。しかし、世の中のあらゆる事象にかみつくのが大好きなゲンダイにとっては、こうした報道姿勢はある意味通常営業なのかもしれないが、日欧野球の実現を願ってきた立場の人間からするとこうした報道は到底許せるものではない。


 というわけで、この場を借りてゲンダイの記事とそれに同調する人々に対して、曲がりなりにも国際野球の世界に自らも関わっている立場から反論したいと思う。上述の記事を書いたゲンダイの記者さん、もし万が一この記事を読んでくれていたならどうぞそちら側からもレスポンスしてください。産経VS朝日並のバトルもこちらとしては大歓迎です。


 まずは冒頭の「WBCならまだしも、開幕直前にケガでもしたらどうするの?」という文言。いかにも「強化試合を開催すれば必ずケガ人が出る」とでも言いたいような物言いだけど、これは明らかにおかしな理屈だ。そもそもアスリートのケガなどという物は、バイチャンスでいつ何時起きてもおかしくないものなのであって、それが強化試合だろうがオープン戦だろうが、はたまた実戦とは離れた普段の練習の中であろうが全く関係なく、確率の問題で起こるものだ。スポーツそのものがある意味故障のリスクとの戦いである以上、強化試合「だけ」を槍玉に挙げるのはお門違いという物だろう。


 「WBCならまだしも」という部分にしても、開催日程を考えればおかしな批判と言える。過去3度のWBC開幕日は、2006年の第1回大会と一昨年の第3回大会は3月2日、2009年の第2回大会は3月5日だ。今回の日欧野球が行われる予定とされる10日と11日は、ちょうど過去のWBCの日程に当てはめるなら1次ラウンドの後半あたりに相当する。この両日が平日であるにもかかわらずわざわざ日程をここにぶつけてきたのは、会場となる東京ドーム側の日程上の都合もあるにせよ、明らかにこの2試合が2017年WBCに向けたコンディション調整のシミュレーションとしての側面を持っているからだ。


 以前の記事でも書いたとおり、国際大会で勝つうえで重要なのはどれだけしっかりとした準備ができるかだ。様々な事情はあったにせよその準備を欠いたまま負けたのが、ディフェンディングチャンピオンとしての役割を果たせなかった日本代表自身であるということを、まさかみんな忘れたわけではないだろう。きちんと消火訓練や避難訓練を受けていない人が、いざ火災や地震に遭遇した時にパニックになって適切な対応が取れなくなるのは当たり前の話だ。そういう事態を避けたいからこそ、そして日本はドミニカに王座を奪われた挑戦者の立場だという自覚があるからこそ、中間年にあたるこの2015年の春に欧州選抜を呼んでくるわけであって、「WBC本番でもないのに」等という批判は笑止千万と言わざるを得ない。


 そしてこの記事で個人的に一番カチンときたのが、パ・リーグ球団の某首脳が語ったとされるこの言葉だ。「相手がキューバというならまだしも、レベルの低い欧州選抜では死球とかスライディングで故障のリスクが増す」。では逆にお聞きしたいが、こう言い放ったとされるこの御仁は果たして本当に、自分の目でヨーロッパの野球を見たうえでこう発言したのか?ここまで断定的な言い方をするからには、実際に渡欧して向こうの野球を観察してきたというくらいの根拠はあって欲しいところだ。


 だが、残念ながらパ・リーグ球団の首脳がそうしたことをやってきたというような知らせは、俺は少なくとも過去6年間欧州野球ブロガーをやっていて、一度たりとも聞いたことがない。そもそもこの指導者の個人名を記事中で明示できない時点で、本当にゲンダイが取材に行ったのか自体も極めて怪しく思えてくる。しかしいずれにせよはっきり言えるのは、相手の実態をろくに知ろうともせずにレベルが低いなどとイメージだけで切り捨てるのが、あまりにも傲慢であり相手へのリスペクトを欠いた態度であるということだ。


 長きにわたりヨーロッパ野球を見続けてきた1人としてはっきり言わせてもらうが、今や欧州といえども独立トップクラスでもない日本人が、すぐに通用するほど甘い世界ではない。各国の国内リーグに助っ人ととして採用される選手が、昨日までマイナーのAAA級やAA級でプレーしていたなんてのは当たり前。最低でも、アメリカの大学リーグでレギュラーとしてバリバリやっていたようなクラスの選手でなければ、最初から相手にもしてもらえないのがこの世界だ。各国の代表クラスの選手にも、アメリカのマイナーや独立、中南米のウィンターリーグで豊富な経験を積んだ面々がざらにいる。大陸最高の国際大会であるヨーロッパ選手権は、開催されるたびにその前の大会を凌駕するレベルでコンペティティブになり続けているんだ。


 確かに彼らは、NPBやMLBのスターたちと比較すれば世界的なビッグネームでは決してない。日米と比べれば、野球というスポーツ自体がかの地ではマイナーな存在であることも認めよう。しかしだからといって、現状を何一つ知らない人間に安直なイメージだけで切り捨てられるのをやむなしとできるほど、ヨーロッパ野球のレベルは低くはない。昨年の都市対抗覇者である西濃運輸が、補強選手を欠いたとはいえ欧州の中堅国であるフランスに1度ならず2度も敗れた。それも2度目は快勝を許しての黒星だ。日本球界関係者なら、これがどれだけ重い意味を持っているかは容易に想像ができるはず。プロと社会人の違いはあるにせよ、この事実を知った上でなお「欧州はレベルが低い」と煽ったのであれば、先の御仁もある意味大した度胸をお持ちだ。知らずに発言したなら滑稽としか言いようがないが。


 この記事における最大の問題点は、結局国内志向の日本球界の都合でしか物事を見られていないということだ。これはベースボールブリッジとして活動を続けていく中で、欧州球界の現場でプレーする選手たち本人から直接聞いた声だが、ヨーロッパを主戦場とする彼らにとって日本球界はアメリカと並ぶ世界屈指の野球大国であり、とてもハイレベルなプレーをする憧れの国。話を盛るわけでもなんでもなく、文字通り俺とやり取りした全員が「俺はゆくゆくは日本でやりたいんだ」と語ってくれたし、冒頭に挙げた仮想ロースターに名前を載せればたちまち選ばれた本人たちから高評価が殺到した(わざわざ「俺を君が考える欧州選抜に加えてくれてありがとう」と礼を言ってくれる選手さえいたんだ)。それだけ日本でやりたい、日本代表と戦いたいと本気で思っている選手はたくさんいるんだよ。


 でも、今までのヨーロッパ野球にとってそれは叶わぬ夢でしかなかった。より高いレベルの国々と試合をすることで普及につなげようと思っても、肝心の日本とアメリカはどちらも国内完結志向で代表戦の文化がない。そのために、野球を欧州の地でメジャーにしていくためのブレークスルーの機会に、彼らはずっと飢えていたんだ。だからこそ、この日欧野球は彼らにとってやっと手を届かせることができた最高のチャンスであり、文字通り球界全体の命運をも賭けるといっても過言ではない超ビッグイベント。前回の記事では、各国の現役代表選手をえりすぐったドリームチームとしての欧州選抜の私案を公開したけれど、それが本当に実現しても不思議ではないほど彼らにとっては大きな意味があるゲームなんだ。


 日本プロ野球のファンからすれば、このマッチアップが余計な催しに映ってしまうのは確かに分からなくはない。でも、あなたがたが「わざわざやる意味がない」とか「時間の無駄」と嘲るこの試合に、本当に大きな意義を見出している人間も実際にいるということをどうか理解して欲しい。かつてのアジアシリーズの時もそうだったように、格下に対して胸を貸すことに対してあれこれと理由をつけて誠心誠意臨もうとしない態度。これは同じ日本の野球ファン自身が批判していた、アメリカのWBCに対するものと全く同じじゃないのか。もし今後も同じスタンスを取り続けるならば、かつて自らがアメリカに浴びせてきた批判を今度は俺たちが他国から浴びることになるよ。この国はとっくの昔から、東アジアの盟主としてアメリカとともに国際球界を主体的にリードしていかねばならない立場にい続けているんだからね。

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 福岡ソフトバンクホークスは、元オランダ代表右腕のリック・バンデンハーク投手(29、三星ライオンズ)の入団をこのたび正式に発表しました。昨季は韓国球界で最優秀防御率と最多奪三振の二冠に輝いた右腕は、欧州本土出身投手としては非常に稀なMLBでもプレー歴を持つ1人。バンデンハークのソフトバンク入りについては、数年前にも週刊ベースボールで有力候補として取り上げられたことがあり、今回それがついに実現したことになります。そんな彼がNPB入りを果たすまでの足跡を、今回は振り返ってみることにしましょう。


 リック・バンデンハーク(本名:ヘンリクス・ニコラス・バンデンハーク、Henricus Nicolas van den Hurk)は、1985年5月22日にオランダ王国北ブラバント州アイントホーフェンで生を受けました。子供の頃は、父親がコーチを務めるクラブであるオースターホート・ツインズでプレー。ここでのプレーがマーリンズのスカウトだった故チコ・イェスルン氏(2006年に死去)に認められ、16歳だった2002年のオフに国際フリーエージェントとしてマーリンズと契約します。


 なお、バンデンハークは元々は捕手だったものの後に投手へのコンバートを経験。持ち前の強肩を高く評価される一方で、打撃に難があったのがその理由となっていました。これと全く同じ理由での捕手から投手への配置転換は、現在はドジャースとオランダ代表で守護神として君臨するケンリー・ヤンセン(ドジャース)も経験しています。詳しくは後述しますが、奇しくも2009年WBCではこの2人がバッテリーとして大活躍することに。ヤンセンの投手転向はこの大会が終わってからのことですが、何とも面白いめぐりあわせではあります。


 バンデンハークは入団から2006年までの5年間は、一度もA級より上の階級でプレーすることはありませんでした。2005年には右腕の手術も経験するなど、長きにわたり「下積み」としての生活が続きます。手術明けから戦線復帰した2006年は、ルーキー級GCLマーリンズとA+級ジュピター・ハマーヘッズで計8試合に登板。GCLマーリンズでは5試合に先発して15イニングを投げ、被安打4でわずか2失点。ジュピターでは3試合で10イニングを投げて被安打5、3失点、15奪三振という成績を残し、限られた出番ながらも翌年以降の飛躍を予感させるプレーを見せました。


 そしてAA級カロライナ・マッドキャッツに配属された2007年、ついにバンデンハークにその時がやってきます。4月9日、後にマーリンズの先発ローテの柱の1人にもなるリッキー・ノラスコがDL入りしたのをきっかけに、一軍からコールアップ。21歳でのデビュー時はナショナルリーグで最年少のプレーヤーでした。翌日のブルワーズ戦で先発しメジャー初登板。雨天中断の影響で投球回が4回2/3にとどまり、初先発初勝利こそ寸前で逃してしまいましたが、被安打5、奪三振5、3四球で1失点とデビュー戦としては上々の投球を見せます。この年には、マイナーの有望株が集う球宴であるフューチャーズゲームにも世界選抜の一員として登板。見事勝利投手になりました。


 しかし一方で、調子を乱すことも多くこの2007年からメジャーとマイナーを行き来する生活が始まります。4月24日にはブレーブス戦で1回6失点と大炎上し、即座にAA級に送り返されるという屈辱も経験しました。同じブレーブスと相まみえた6月5日には、7回にユネル・エスコバルに二塁打を浴びるまでノーヒットに抑える快投を披露し、見事メジャー初勝利を手にしたものの、11日後には再びマイナーへ。ポジションがなかなか安定しない生活はその後も長きにわたり続くことになります。


 2009年3月、そんな一軍半の右腕が一躍脚光を浴びる機会がやってきます。第2回WBCに出場するオランダ代表の一員として、当時のロッド・デルモニコ監督から招集されたのです。このチームでは、バンデンハークはエース格と目されたアルバ出身のシドニー・ポンソン(当時FA)に次ぐ、先発2番手として起用されます。当時現役大リーガーが1人もいなかったこともあって、ポンソンやユージーン・キングセール(当時)らと並ぶ貴重なMLB経験者であるバンデンハークは、アップセットを起こすための重要な戦力として大きな期待(と言っても、その期待を向けていたのはオランダ球界関係者か、もしくは当時ごくわずかだった国際野球マニアぐらいだったでしょうが)を集めていました。


 何はともあれその期待に、バンデンハークは見事に応えてみせます。開幕戦となった8日のドミニカ戦で、エース・ポンソンが粘りの投球を見せて3-1で優勝候補を破る大番狂わせを達成。これに触発されたかのように、バンデンハークは続く9日のプエルトリコ戦で3回1/3を投げ被安打3、1失点という好投を披露します。終盤に守護神レオン・ボイドが打たれてしまい試合自体は落としたものの、MLBでもトップクラスのスラッガーを揃えたプエルトリコ打線を抑え込み、初戦に続く大金星獲得を大いに期待させる見事な投球でした。その後、ご存知の通りオランダはドミニカ相手に2度目の大番狂わせ(サンファンの奇跡)を成し遂げて2次リーグに進出。バンデンハークにとっては普段の本拠地であるマイアミが舞台となりましたが、ここでのアメリカ戦は2回4安打3失点(自責点1)で敗戦投手となっています。


 この大会が終わった後の同年11月、バンデンハークはプエルトリコウィンターリーグのカロライナ・ジャイアンツに派遣され、3試合に先発して18イニングで13奪三振、防御率2.50(勝敗はつかず)という成績を残します。しかし、その後も一軍になかなか定着できない日々が続き、生活の不安定さから成績も向上せず。2010年7月31日にはウィル・オーマンとのトレードでオリオールズに移籍しました。その後2012年2月3日にリリースされると、非常にドタバタした移籍劇に巻き込まれます。同じ月の22日にブルージェイズと契約するも即座にウェーバーにかけられ、3月21日付でインディアンスに移籍。しかし8日後の29日にはそのインディアンスにてDFAとなり、マイナー契約を拒否したことから自由契約の身分となります。結局、4月11日にパイレーツとマイナー契約を結び秋に一軍昇格も果たしたものの、この年限りでMLBの舞台を離れることに。MLBでの通算成績は5シーズンで8勝11敗、防御率6.08というものでした。


 フィールドでは山あり谷ありの生活を送るこの頃のバンデンハークを語るうえで、決して忘れてはいけないものがあります。それは、ヨーロッパの野球少年・少女たちに対して現役大リーガーたちが実施する、無料の野球教室「ヨーロッパビッグリーグツアー(EBLT)」です。2010年に初めて行われたEBLTは、バンデンハークの故郷であるオランダはもちろんベルギー、フランス、イタリア、チェコ、イギリスと非常に多くの国々でクリニックを開催。過去に参加した大リーガーは、カーティス・グランダーソン(メッツ)、ロジャー・バーナディーナ(ロッキーズ)、プリンス・フィルダー(レンジャース)、故グレッグ・ハルマン(元マリナーズ)など総勢13人を数えます。このイベントはバンデンハークの実父が運営委員長となり、またオランダ代表の現役選手たちも協力者として参画するなど、米欧両球界が文字通り一緒になって作り上げる企画となっています(2014年はバンデンハーク自身の意向により休止)。


 2012年にアメリカの地を離れたバンデンハークが、次に選んだ舞台は韓国。2013年から三星ライオンズの一員となり、KBO史上初めてのオランダ人プレーヤーとして歴史に名を刻みます。この年は24試合に登板して7勝9敗、防御率3.90という成績。2ケタ勝利も勝ち越しも逃しましたが、MLBデビュー以降では初めて1年間安定した環境でシーズンを全うすることに成功しました。そして今年、28歳で迎えたシーズンでついに才能が開花。25試合登板で13勝4敗、防御率3.18、180奪三振という好成績で、自身初の2ケタ勝利に加えて2つの投手主要部門でのタイトルを獲得したのです。


 そして来年、バンデンハークの戦いの舞台はアジア最高峰の日本に。ご存知の通り、ホークスは今オフに松坂大輔をメッツから獲得。エース格の攝津正を筆頭に、投手陣にはジェイソン・スタンリッジ、ブライアン・ウルフ、大隣憲司、武田翔太、岩嵜翔といった好投手がずらりと並び、競争を勝ち抜くのは決して簡単ではありません。中田賢一や寺原隼人といった実績豊富なベテランも控えています。更に、ウルフやスタンリッジは外国人枠を争う相手でもあります。韓国で昨シーズン最多勝を獲得しながら、今年巨人では結果を残せず退団したクリス・セドンのような例もあり、韓国経由の助っ人が未知数とみられている面があることも事実です。


 それでも、適応に苦しんだとはいえメジャーで5シーズン投げた経験を持つバンデンハークは、残した実績だけで言えば純然たるヨーロッパ出身の現役ヨーロッパ人投手の中では、間違いなく最高と言っていい存在です(日本でプレーするヨーロッパ人投手としてはオリックスのアレックス・マエストリが有名ですが、彼はカブス時代はAA級どまりでメジャー昇格を果たすことはできませんでした)。遅咲きとはいえ、最速156kmの速球とスライダー、カーブ、チェンジアップを操るポテンシャルには間違いがなく、欧州野球ファンとしても当然活躍を期待せずにはいられません。


 契約は2年間で出来高を合わせて総額3億円、背番号は今年まで柳田悠岐が背負っていた44に決まりました。ヨーロッパ人選手がNPBにおいても戦力として認知されるようになってきた今、彼の活躍は日欧両球界において大きな意味を持つはずです。ヨーロッパ、アメリカ、アジアの3大陸を渡り歩いてきたジャーニーマンが、新天地でどこまで結果を残せるか?その活躍ぶりにかかる期待は、きっと5年前の春よりもずっと大きいはずです。

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