欧州野球狂の詩

日本生まれイギリス育ちの野球マニアが、第2の故郷ヨーロッパの野球や自分の好きな音楽などについて、ざっくばらんな口調で熱く語ります♪


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(1)オーストリア代表の予備ロースター30名が発表

 オーストリア野球連盟(ABF)が、今夏地元ウィーンにて行われる予定のヨーロッパ選手権予選Bに出場する、オーストリア代表の予備メンバー30名の顔ぶれを発表しました。


 今回のメンバーは、ともにチェコ・エキストラリーガのフロッシ・ブルノに所属するサミュエル・ハックルとベンジャミン・サルツマンの2人を除き、全てオーストリア国内でプレーする面々。本大会まではまだ4か月以上の時間がありますが、坂梨弘幸監督はこの段階から早くもメンバーを絞り、時間をかけて強化にあたっていく予定。この間にはアタナン=プッシュハイムで毎年開催されているフィンクストンボールや、ハンガリー・スロバキアの両代表チームとの3か国対抗戦「ダヌベカップ」といった大会が控えており、ここでの結果をもとに本大会の選出メンバー20人が決定されることになります。候補メンバーの顔ぶれは以下の通り。


・ヤン・アルテネダー(ウィーン・ニューシュタット・ダイビングダックス)

・リチャード・アルツィンガー(ウィーン・メトロスターズ)

・ポール・アストル(シュワッツ・タイガース)

・クレメンス・チチョッキ(ハードブルズ)

・ピーター・フェラック(ウィーン・メトロスターズ)

・ヨアキム・フリック(ドーンビーン・インディアンス)

・モーリツ・ハックル(ストックシティ・カブス)

・サミュエル・ハックル(フロッシ・ブルノ)

・ファビアン・ヒルンシャール(シュワシャット・ブルーバッツ)

・ベンジャミン・ハスティ(ウィーン・ワンダラーズ)

・ヨヘン・ケール(シュワッツ・タイガース)

・ミヒャエル・ケラー(トライスキルヒェン・グラスホッパーズ)

・ディディエ・レトーゼ(ウィーン・メトロスターズ)

・ティエリ・レトーゼ(ウィーン・メトロスターズ)

・ドミニク・レフラー(ウィーン・メトロスターズ)

・シュテファン・ルデッシャー(ウィーン・メトロスターズ)

・アミン・マニー(ウィーン・ワンダラーズ)

・フェルディナンド・オベッド(ウィーン・ニューシュタット・ダイビングダックス)

・ライアン・ラップ(ハードブルズ)

・ベンジャミン・サルツマン(フロッシ・ブルノ)

・マティアス・シャイツァー(ウィーン・ニューシュタット・ダイビングダックス)

・トビアス・シェルマー(カフスタイン・バイキングス)

・ミヒャエル・シュナイダー(ストックシティ・カブス)

・クラウス・シーザー(ウィーン・ニューシュタット・ダイビングダックス)

・ヤコブ・シモンセン(ウィーン・メトロスターズ)

・ドミニク・タリール(ストックシティ・カブス)

・クリスティアン・トムシック(ウィーン・ワンダラーズ)

・ヒューバート・ヴァイサー(ウィーン・メトロスターズ)

・デビッド・ウォルフマイヤー(グラマシュテッテン・ハイランダーズ)

・フェリックス・ジマール(ウィーン・ワンダラーズ)


ソース:http://www.mister-baseball.com/austrian-baseball-federation-releases-preliminary-roster-blevel-european-championship/


(2)ダヌベカップ2015の会場が決定

 そのオーストリア代表が戦うダヌベカップの2015年大会が、6月27日にオーストリア・ローアバッハで開催されることが決まりました。


 今回の大会では、地元のクラブチームであるローアバッハ・クレイジーギースがホストチームの大役を務めることに。(1)でも触れているとおり、地元オーストリアの他スロバキアとハンガリーというドナウ川流域の国々が参加します。クレイジーギースにとっては、新しいクラブハウスと球場のスタンドの設置を祝う杮落しのイベントという意味を持つことに。もちろん、オーストリアはユーロ予選Bに向けてこの大会を貴重な準備の場と位置付け、戦っていくことになります。


ソース:http://www.mister-baseball.com/2015-danube-cup-played-rohrbach-austria/


(3)ボン・キャピタルズが主催試合のライブストリームを実施へ

 ドイツ・ブンデスリーガのボン・キャピタルズが、今シーズンから主催全試合を球団ウェブサイトにてライブストリームで中継することになりました。


 球団からはまだ公式なアナウンスはされていませんが、地元ボンの新聞がこの情報をキャッチ。それによると、球団ホームページ(www.capitals.de )内に「Caps-TV(キャップスTV)」と呼ばれる中継ページを設け、4月5日のハンブルグ・スティーラーズ戦から稼働を開始する予定とのことです。主催試合の中継の試みとしては、先駆者であるレーゲンスブルグ・レギオネーレの「レギオネーレTV」がありますが、このキャップスTVも彼らのように存在感のあるサービスになればいいですね。我々日本のファンにとっても嬉しい知らせと言えるでしょう。


※ハンブルグ・スティーラーズについては、これまで当ブログにおいては「HSVスティーラーズ」と表記してきましたが、球団の公式名称が変更されたという情報を頂いたことから、今回よりこの名称を使わせていただきます。ご了承ください。


ソース:http://www.mister-baseball.com/bonn-capitals-live-stream-home-games-website/


(4)ハイデンハイム・ハイデコッフェがアメリカ人内野手を獲得

 ハイデンハイム・ハイデコッフェが、今季からの新加入選手としてトーマス・ディベネデット・ジュニア内野手(29)を獲得したことを発表しました。


 レッドソックス傘下のマイナー球団のオーナーで、サッカー・セリエAに所属するASローマの会長も務めていたトーマス・ディベネデット氏の息子である同内野手は、こちらもレッドソックス傘下に所属していた元マイナーリーガーであり、イタリアではIBLにかつて在籍していたASDレッジョエミリアでプレーした経験を持っています。ディベネデットは今オフ初旬に契約したアーロン・ダンズモア内野手とともに、アンドリュー・スミス(退団)とチャーリー・カラミア(指導者としての仕事を優先)の両内野手の穴を埋めることになります。前任者であるカラミアとは、奇しくも同じイタリア系アメリカ人同士という共通点も。


 更に球団は、今春の日欧野球にも欧州代表の一員として参戦したルーク・ソマー投手兼外野手と、ドイツ代表の元一番打者でドナルド・ルッツ内野手(レッズ)の実兄でもあるサッシャ・ルッツ外野手の両者が、開幕には間に合わないもののシーズン途中からチームに合流すると発表しました。ともに選手としての力量には疑いがないだけに、彼らが戻ってくるまでにどれだけチームが貯金を作っておけるかがカギを握りそうです。


ソース:http://www.mister-baseball.com/heidenheim-heidekoepfe-sign-thomas-di-benedetto-jr/


(5)FFBSがミズノとパートナーシップ契約を樹立

 フランス野球・ソフトボール連盟(FFBS)は、日本の最大手野球メーカーであるミズノとボールサプライについてのパートナーシップ契約を結んだことを明らかにしました。


 ミズノが担当するのは、フランス国内の選手権における公式試合球の供給。国内トップリーグであるディビジョン1を含む全ての国内選手権のファイナルシリーズの他、昨年から始まりフランスが準優勝に輝いた国際大会「吉田チャレンジ」の第2回大会でも、ボールサプライヤーとしての大役を果たすことになります。件の吉田チャレンジや日欧野球、そして今回のパートナーシップ樹立と少しずつ日欧両球界が接近するようになってきたここ最近。今回の動きが日仏両国にとって有意義なものになることを祈ります。


ソース:http://www.mister-baseball.com/french-baseball-softball-federation-partners-mizuno/

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※今回の記事は、世界中の野球情報について英語で発信するウェブサイト「My World of Baseball」の記事「2015 Top Ten European Prospects」(http://myworldofbaseball.com/wordpress/?p=3509 )を和訳したものとなります。


 My World of Baseballでは毎年、国別のプロスペクトランキングを必ずヨーロッパ人限定のリストから発表している。このリストに掲載されている選手たちのMLBでの合計安打数は多くはないが、そもそも純粋なヨーロッパ人選手が一軍の切符を掴む機会がまだ多くはないことも事実だ。キュラソー出身の有資格選手が非常に少ないことから、今年のこのリストは作成するのが非常に難しかった。昨年版のこのリストのトップ2だった、イグザンダー・ボガーツとジョナサン・スコープは一軍デビューを果たし、ランキングの掲載基準を満たさなくなった。ドナルド・ルッツも一軍でのプレーを経験したが、こちらは新人王資格を逃さない程度の頻度であったために今回もこのリストに名前が掲載されている。


 WBCや台湾で行われたU-21の大会などを通じて、ヨーロッパ出身の若手選手のプレーを数多く確認することができた。そのため今回のリストは、実際にプレーを目で見ることができた選手たちに偏っているということを予めご承知おき頂きたい。


1.オザイーノ・アルビース(オランダ)

 キュラソーとアルバ出身の2人の選手がリストから抜けたことで、昨年プロデビューしたキュラソー生まれの若武者がリストのトップを占めることとなった。2013年にブレーブスと契約した彼は、昨シーズンルーキー級でデビューを果たし打率.364、28四球、23三振を記録した。これは彼の将来にエキサイティングなものを感じるのに十分な数字だ。27回の盗塁企図数のうち、22回を成功させるスピードを持っていることも示した。守備面では53試合で13失策を犯したが、プロデビューを果たしたばかりの17歳であることを考慮すれば想定の範囲内だ。そもそも、同世代の若者の多くはまだ高校でプレーしているのだから。


 今シーズンは、彼はレギュラーA以上の階級でスタートするべきだ。同郷のアンドレルトン・シモンズが一軍のレギュラーとして君臨しており、アルビースを遊撃に据えるためにシモンズが将来FAとして退団することを容認するか、あるいはアルビースに新たなポジションを与えるかという選択に関しては、球団側にはまだ十分な猶予があると言っていいだろう。


2.マルティン・ガスパリーニ(イタリア)

 ガスパリーニは2013年にロイヤルズと契約し、ヨーロッパ人プレーヤーとして過去最高金額となる130万ドルの契約金を手に入れた(それまでの最高記録はマックス・ケプラー=ロシツキーの80万ドル)。アルビースよりも5か月若いガスパリーニも、依然としてまだ多くを学ぶ段階の17歳だ。彼もルーキー級でプレーはしたものの、こちらはアルビース程のインパクトは与えられなかった。打率.228、4四球、34三振、OPS.581という数字は、打撃面にまだまだ多くの改善の余地があることを示した。


 また、守備でも22試合で15失策と数字だけを見れば決してシャープなところは見せられていないが、彼が遊撃手として大成するに足るあらゆる才能を有していることは間違いない。ロイヤルズは今季、引き続きガスパリーニをルーキー級に据え置くことになるだろう。そこでは、同い年の選手たちとプレーする機会にも恵まれるはずだ。


3.クリス・リード(イギリス)

 リードはロンドン生まれだが、高校時代はカリフォルニアで野球をプレーした。スタンフォード大でプレーしていた時にドジャースの興味を引き、2011年にドラフト指名を受けて入団を果たしている。大学時代は守護神という役回りだったが、プロ入り後は先発左腕として育成が進められている最中だ。投手としては90マイル台前半の速球に、スライダーとチェンジアップを組み合わせるのが身の上。豪腕ではないだけに、奪三振ではなく相手打者の芯を外す投球がカギとなる。


 AA級では被打率.226とその才能の一端を垣間見せたが、超のつくほどの打高で悪名高いAAA級パシフィックコーストリーグでは滅多打ちに遭い、防御率10.97、被打率.378と散々だった。球団は今季も彼をAAA級で投げさせ、リードの血をドジャーブルーに染め上げる前にリーグでの成功を収めさせたいという意向のようだ。


4.アーロン・アルサー(ドイツ)

 彼の父親はドイツのサッカー選手だったが、息子のアーロンは渡米後に野球を選択した。非常に大柄な体格の為にストライクゾーンも大きく、それが多くの三振を喫する遠因にもなった。昨季はAA級で打率.236にとどまり、110の三振を記録。しかし、フィリーズの一軍でデビューを果たすだけのポテンシャルは見せた(結果は5打数無安打)。持ち前のリーチの長さを活かせれば、非常に高い長打力を発揮できる素質は持っているが、そこにまだ改善の余地がある。


 彼は非常に強肩で、ライトを務められるだけの能力は十分持っていると言える。ただし、打撃面で結果を残せなければライトとしてプレーするチャンスもなかなか与えられないだろう。今季、球団は彼を再びAA級でプレーさせる意向だ。ここでどれだけ成功を収められるかが今後に向けてのカギとなってくるだろう。


5.ドナルド・ルッツ(ドイツ)

 ルッツはニューヨークで生まれたが、子供のうちにドイツに渡り同国のユースリーグで野球を学んだ。2013年にレッズの一員としてメジャーデビューを果たした時、彼はドイツで野球を身に着けた選手として史上初の大リーガーとしての称号を手にすることになった。アルサー以上の巨漢ということもあって、一塁手としての守備の俊敏性には欠けているのが残念なところだ。主砲のジョーイ・ボットが故障で離脱した時、レッズが選択したのはルッツのプレー機会を増やすことではなく、もう1人の有望株であるブライアン・ペーニャに一塁を守らせることだった。


 ルッツ自身は左翼も守るが、ここでも彼の動きの遅さがその守備力を平均以下のものとしてしまっている。唯一の彼のツールは長打力ということになるだろう。その打撃でも、2014年は一軍で51打席に立って打率.176、OPS.523とお世辞にも満足できる成績は残せなかった。今季はAAA級で開幕を迎え、スピードと打撃の確実性の強化に取り組む予定だ。フルシーズンで出ればシーズン20本以上の本塁打を打てるポテンシャルはあるが、それでも打率は.250に満たない水準となるだろう。


6.マックス・ケプラー=ロシツキー(ドイツ)

 ケプラーは依然としてプロスペクトという評価を得ているが、少しずつその期待値が低下してきているのも事実だ。2009年にツインズと契約した際の契約金は先にも触れたとおり80万ドルで、これはガスパリーニに抜かれるまでヨーロッパ人選手としては過去最高金額だった。2012年にプロデビューを果たすまで、彼はフォートマイヤーズの高校に通っていた。高校の野球部のコーチにとって、チームで最も優秀な選手がプロ契約の存在の為に彼のチームでプレーできないという状況を想像してみてほしい。


 当初はセンターとしてプレーできるスピードがあるという評価だったが、結果的には左翼により適性があることを示すこととなった。また、ツインズは彼を一塁手としてもテストしている。ルッツのように、ゆくゆくは一塁と左翼を兼任するプレーヤーになれるだろう。ただし、打撃面では長打率が.539→.424→.393と年々低下しているのが気がかりだ。今年は彼のキャリアにとってクリティカルなシーズンとなるのは間違いない。新たな所属先となったマリナーズは、彼をAA級に配属する予定だ。ここでどれだけ長打力を発揮できるかが、彼のキャリアに響いてくることになるだろう。


7.スペンサー・キーブーム(オランダ)

 キーブームの父親はオランダ出身だが、17歳の時にアメリカに渡った。スペンサーは元々2013年WBCでオランダ代表の捕手を務める予定だったが、トミージョン手術を受けシーズンほぼ全休を余儀なくされたため、残念ながら本戦でロースターに名を連ねることはできなかった。2012年にナショナルズからドラフト5巡目で指名された彼は類まれな守備力とリーダーシップを有しており、昇格争いにおいて少々打撃が弱くても目をつむれるだけの能力を秘めている。


 昨シーズン、A級ハーガースタウンでフルシーズンデビューを果たした彼は、打率.309、9本塁打、OPS.852とまずまずの成績を披露した。今季は1つ上の階層であるA+級ポトマックでも、プレーする機会を与えられるべきだろう。


8.ジョナタン・イセニア(オランダ)

 イセニアはキーブームが果たせなかった、2013年WBCでのオランダ代表入りを実現してみせた。もっとも故障の影響で、その年のルーキーリーグでは13試合しか投げられなかったのだが。昨シーズンは所属するオリオールズによって先発に配置換えされ、被打率.178、奪三振率9.68と適応力を見せている。90マイル台前半という速球のため、相手打者を力でねじ伏せるような投球は難しいのが実情で、一軍昇格が目前に迫った時には再びブルペンに戻ることになるだろう。今季はフルシーズンでのデビューを飾る予定だ。


9.ラース・ハイヤー(オランダ)

 マリナーズは2011年、彼と契約金17万ドルで契約を結んだ。今年、彼はマイク・キックハムとのトレードでカブスに移籍した。長身であることから、80マイル台後半~90マイル台前半という彼の速球はより威力を増す可能性を秘めている。他の球種として備えているのはカーブとチェンジアップだ。昨年はA-級でプレーし好成績をマークしたが、対左打者の被打率.301をもっと低く抑えられていたなら、彼のシーズンはより良いものとなっていただろう。残念ながら、彼のチェンジアップは左打者に対する有効な武器とはまだなっていない。


 また、44奪三振に対して34四球という与四球率にもまだまだ改善の余地がある。9イニング当たりで5人の打者に四球を与えている計算だ。右打者に対しては被打率.183と素晴らしい成績を残しており、明るい材料を持っていることも事実。左打者への攻略法を確立することと四球の多さを改善できれば、一軍でも先発ローテーションの後半で投げることは夢物語ではない。


10.マルティン・チェルベンカ(チェコ)

 チェルベンカは2009年にインディアンスと契約し、2011年にプロデビューを果たした。過去4シーズンでの通算打率は.191で、ルーキー級でも.181とバットでは結果を残せていない。しかし、2015年は彼にとってブレークスルーを果たすシーズンとなるかもしれない。昨年台湾で行われたU-21ワールドカップで、その課題の打撃で勝負強さを発揮した彼は、チェコ代表の5位入賞に大きく貢献してみせた。スプリングトレーニングでどのような時間を過ごすかによって、今年はフルシーズンでプレーできる可能性も出てくるだろう。
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 2試合で1勝1敗という結果に終わった日欧野球から、早くも1週間以上が過ぎた。このブログではこれまで何度もこのシリーズのことを取り上げてきたけれど、野球好きな1人の日本人としても欧州野球ファンとしても、心から楽しめる充実したものになったことについて、今思い返してみても改めてよかったと心から感じている。2015年シーズン開幕直前に行われたあの試合に立ち会えたことは、おそらく俺にとって一生忘れえない経験となるだろう。


 一方で、この2015年春は日本球界の未来に大して、やや危ういものもどこか感じさせるものになっている気がするのは、俺の気のせいだろうか。いや、おそらくそれを薄々感じ始めているのは俺だけではないはずだ。実際過去のブログ記事へのコメントなどで、「日本球界はこのままで大丈夫なのか」という疑問を既に複数回ぶつけられている。事実今回の日欧野球を始め、「日本野球が時代の変化についていけてないのではないか」という疑念を抱かせる出来事が見受けられるんだ。


 例えば日欧野球での日本の戦いぶりに関して、戦前の日本側のメディアの扱いやファンの間での見立てはどうだっただろうか。このブログでも「抗議した」とお伝えしたNumberをはじめ、その大半はおそらくこういう物だったはずだ。「欧州代表の選手たちは野球だけでは生活ができず、他に仕事をしながら野球をやっているセミプロの寄せ集めで、日本側から見れば圧倒的な格下。現役大リーガーはおろかマイナーリーガーもいない。当然2試合とも日本が圧勝して終わるだろう。はっきり言ってこんな試合はやるだけ無駄ではないか」と。


 こうした評価からは、「確かに今は大半が欧州でプレーするセミプロだが、多くの選手がかつてマイナーでバリバリやっていた経験の持ち主である」という視点、そして「2013年WBCでキューバや韓国を破るなどしてベスト4入りしたオランダを中核としつつ、その弱点となる部分を各国のトップ選手で補う形で作られた精鋭集団である」という視点が完全に抜け落ちてしまっている。彼らの実力は先の2試合で十分に発揮されたし、戦前の下馬評が全く誤ったものであったことを思い知らされた人も多かったはずだ。


 その下馬評に踊らされたせいかどうかは分からないが、今回の日本代表の戦いぶりも現地で見ていて非常にお粗末に感じた。2試合とも当然圧勝するという空気があったにもかかわらず、いざ試合が始まってみると「日本が勝つために最低限やるべき野球」が全くと言っていいほどできていなかった。もちろん、代表チームとして集合したのが直前だったからエンドランなど攻撃面での連携については割引いて考える必要はあるけれど、それでも追い込まれてからファウルで粘るとか、バントの構えで相手守備陣を揺さぶるとか、そういった個々のレベルでの創意工夫がまるでなかったんだ。


 実際の日本代表がどうだったかと言えば、どの打者も漫然と長打狙いで大振りを繰り返すだけで、「チームとしてどういう方針で攻撃を進めていくのか」という方向性は全く感じられず。スモールボールと言いながらその中身は緻密さのかけらもなく隙だらけ。これでは第1戦、第2戦ともに欧州の投手陣にいいように料理されたのも当たり前だ。何せ、国際舞台での経験値は彼らの方が圧倒的に上であり、「如何に相手の隙を突いて勝利を手繰り寄せるか」という野球を彼らは嫌と言うほどやってきているんだからね。


 そしてこれ以上に問題だと俺が思うのは、この2試合でこうした問題点がはっきりと浮き彫りになったにもかかわらず、どの大手メディアも全くと言っていいほどそれを指摘せず(少なくとも俺の目にはそう見える)、またファンの中にも試合の中身と関係ない部分で言い訳や現実逃避を重ね、この結果と正面から向き合おうとしない人間がいるということだ。誰が何と言おうが、日本代表が欧州代表に相手に1試合は負けたのは覆しようのない事実だ。第1戦は欧州側の独り相撲のおかげで逆転できたようなものだから、内容的には2試合とも負けていたと言ってもいいだろう。


 これに対する反論として「欧州代表と言っても半分は中南米出身だし」とか「欧州代表そのものは正式なナショナルチームではないし、今後WBCなどで戦うわけでもないのだからそこまで大事ではない」という声を頂いたが、はっきり言ってそれらは事の本質ではないしどうでもいい。俺が問題だと言いたいのは、「相手の情報が少ない一発勝負の舞台において、相手の戦力についての情報を正確に把握する」「結果として思い通りの戦いができなかったことに対して、きちんと正面から向き合いどこが不十分だったのか反省する」という、至極当たり前の作業を行う体制が全く整っていなかったということ。これは相手の選手がどこ出身であろうが、あるいは対戦相手が国家代表であろうがなかろうが関係ない話だ。


 悪い冗談でもなんでもなく、現場はもちろんファンもメディアもこういうことをいつまでもやっていたら、日本野球の世界の中のプレゼンスは近い将来とんでもなく低いものになってしまうんじゃないだろうか。俺はその点について物凄く危惧している。欧州野球ファンとしては、もちろん今回欧州代表が記念すべき勝利を収めたのはとてつもない朗報だ。しかし同時に、あまりにもふがいなさすぎる日本代表の戦いには危機感を覚えるよ。これが本当に「世界最強に向けて結束」するチームのあるべき姿なのか。俺はその点については甚だ疑問と言わざるを得ない。


 もちろん、「これからの野球界においては、WBCやプレミア12をはじめとする国際大会で勝つことが全てだ」などという暴論を振りかざすつもりはない。代表戦はあくまでも国内リーグの延長線上に存在するものであって、「国内の戦い」も「世界の戦い」も車の両輪として欠かすことができないという持論はこれまでも何度も述べているところだ。しかし、野球界そのものが国内リーグと国際大会の双方を両立するという方向にシフトしているのであれば、当然その一員である日本球界もそれに対応していかなければならない。あのダーウィンだって言ってるじゃないか。「この世で一番強いのは、環境の変化にしっかりと適応できる能力を持つ生き物だ」と。


 また敢えて俗っぽい言い方をするけれども、「国内リーグは隆盛を極めているけれども代表チームは弱い」という構図は、傍目に見ると極めてダサい。国内リーグの質に関してはそれぞれ戦っている環境が全く違う以上、結局のところ相対的にしか比べることができないわけで、「どの国の野球が一番強いのか」を絶対的な形で決めるためには各国の精鋭を集めて代表戦をやる他ない。だからこそ国際大会は重要な存在なのであって、いくら俺たち日本人が「自分たちの国はレベルの高い選手たちがたくさんいる強豪国だ」と威張ってみても、肝心の日本代表がそれを裏付ける結果をきちんと出せなければ、その言葉は単なる独りよがりの自己満足になってしまうと思うんだ。


 日本は東アジアにおいてはもちろん、世界全体で見てもアメリカと並んで野球界のトップを占める双璧的な存在であり、他の国々をリードしていかなければならない立場にある。曲がりなりにも今はWBSC世界ランキング1位の座を占めているわけだから、これからはなおのこと世界の中で重要な存在として他国からは見られるだろう。であれば、今やるべきなのは現実逃避や言い訳を重ねることではないはずだ。今や野球界における国際化の波は、日本人の認識よりもずっと速いペースで押し寄せてきている。悠長に時間を無駄遣いしていられる余裕などない。


 何より大事なのは、現場もファンもメディアも余計な先入観を捨てることだ。対戦相手が「野球不毛の地」というイメージが根強い欧州だったこと、中核であるオランダに2年前のWBCで大勝していることなどが、日本側に「楽勝」と言うイメージを植え付けてしまっていたかもしれないが、それが日本側のレーダーを狂わせてしまっていたのは結果を見ればよくお分かりだろう。「今、自分たちが戦おうとしている相手はどんなチームであり、どんな選手がいてそれぞれどんな特徴を持っているのか」を可能な限りフラットな目で見て正確に把握することが、ごく当たり前ながら一番大切な作業なんだと思う。


 そしてこういう厳しい結果になった際には、ファンやメディアがシビアに「どこが問題だったのか」「次の試合の際は、今回の結果を踏まえてどのように戦うべきか」を指摘し合えるような文化を作っていくことも必要じゃないだろうか。もちろん過剰な叩きや煽りに走るのは論外だけど、ふがいない結果しか残せなかった現場の尻を叩くのは俺たち「外野にいる人間」の役割であるはずだ。「今回は日本側はシーズンに向けて調整中の若手ばっかりだったしね」と本題から目を背けたり、「あんな奴らに負けるなんて」と発狂したりするのは、結局誰のためにもならないと言うのをみんな肝に銘じるべきだと思う。


 日本代表は国内的には世界に冠たる野球大国だけど、世界の舞台でどれだけ結果を残しているかと聞かれたら、実は大会を制した経験というのは極めて限られている。シニア代表が世界大会で優勝を果たしたのは、俺の知る限りでは公開競技時代の五輪とWBCでの2連覇の時だけ。IBAFワールドカップでは、結局日本は最後まで一度も栄冠には手が届かなかった。WBCで2度勝ったと言っても、最後に勝ったのはもう6年も前の話。世間一般と比べて世代交代が早いスポーツの世界では、6年前の出来事は最早昔話にすぎない。その昔話が、今の日本球界から感じられるある種の「驕り」につながっているのだとしたら、俺はそれに対してはっきりとNoと言うよ。


 俺たちの代表チームは過去に中国やブラジルに苦戦し、五輪ではオーストラリアにも負けた。この春も欧州代表に白星を献上した。WBCのタイトルだって、2年前にはドミニカに持っていかれているんだ。日本代表は今も昔も絶対的な王者なんかじゃない、世界ランク1位と言えども挑戦者なのだという事を思い出してほしい。過去に掴んだ栄光はあくまでも過去の話。そこに囚われた井の中の蛙のままでは、きっと近い将来はとんでもなく暗いものになっていると思う。これから日本が強くなるためには何をすべきか、まずそこをもう一度真摯に見つめ直してみませんか?

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