★1巡目★
<プロローグ:プロローグの名の下に縛りを無視するファンガツ(戦闘シーン入れろよ)
第1話:ユーキャンの通信講座で穴あけ能力検定に合格しててよかったな
第2話:涙の数だけ強くなれるよ。でも『涙』という漢字が書けないの
第3話:小林製薬の糸ようじ、フランス語でいうと‘コヴァーヤスィ・イトゥヨウズィーノ゛
第4話:井森美幸16歳、まだ誰のものでもありません。
第5話:さるぼぼは知らんけど、巨ゾン師匠で激しく吹いたよ
第6話:クッタスに仕返し
第6.5話:アンデッドとキャラメルの箱
第7話:「イクと締まる神社(キュキュッとね)!」
第8話:HIWAI`S 69 MOVE(死ね)

★2巡目★
第1話:黄色は緑色を握りつぶして汁が出た。


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誰もいない公園のブランコが風に吹かれて動いている。
かつては子供たちの笑い声で満たされていた公園の風景も
今はただ 色のない世界へと 隔離された世界へと。

妹のババン子はMAMAん子を探しに家を飛び出して行ってしまった。
私には引き留めることは出来なかった。
ババン子が出ていったドアは冷たい鉄の固まりにすぎなくて。
そこから動けなくて声を失った。声を出すことが不可能になった。



君のために歌を歌おう 泣くことすらできない無感情の君へ
君のために歌を歌おう 自分の声すら忘れた無感情の君へ♪





幼いころの記憶。
MAMAん子は、ババン子と手をつないで歩いていた。
私は、そんな光景を後ろから見ていた。
太陽の逆光で大きな影と小さな影が仲よく並んで歩いているのを
眺めているだけだった。一緒に横に並んで歩くことができなかった。
それを見て歩いてたら何かにつまづいて転んでしまった時があった。
膝から血が出て痛かったけれど、泣かなかった。
MAMAん子は転んだ私の方を振り返り、
真っ白なハンカチを差し出して心配そうに笑った。
「早くこれで血を拭いて。アネン子。おうちに帰ったらバンドエイド貼ろうね」
そういって左手を差し出す。
私はMAMAん子の手を振り払った。
やさしくなんてしてほしくなかった。
そんな顔して見てほしくなかった。

MAMAん子の右手にはババン子。
MAMAん子の左手には私がいてもいいの?



(おかあさん・・・わたし・・・。



MAMAん子は、仕事をしていた。
マンビララ・コーポレーションで生物兵器の研究・開発に携わっていた。
なぜそんな事を知っているのかと聞かれれば、
答えなくてはならないけど今はそんなことを話す気にはならない。
仕事で帰らない日なんてざらにあったし、
休日も仕事モードのMAMAん子の姿を思い出したくない。
私やババン子をほったらかしにして、ひどいと思う。
MAMAん子が大事な仕事が入ったと家を空けて半年が過ぎた。
一度だけ携帯電話に着信があった。
「アネン子!今から遠い親戚の家に行きなさい。その家にいてはダメ!
学校は閉鎖されているし、事態は飲み込めないかもしれないけれど、
そこから逃げて。あと・・・ババン子の事よろしく頼んだわよ・・・」
そこで電話が切れた。
それ以来通信手段が一切稼働しなくなってしまった。
何かが起きていた。
確かにテレビは映らなくなってしまったし、街の人たちの姿も見かけない。
やがてババン子が「MAMAん子を探しに行ってくる」と、家を出てしまって
私は一人この家に残された。



ろくでもない世の中だなって だからなんだ そんなの知ってるさ
難しく考えてしまうのは そこに理由が欲しいだけなんだろう?
怖いことから 目を伏せたくなることから やさしい人から
逃げ出したいなんて スキにしろよ 勝手にしろ
君のために歌を歌おう 絶望という名の檻に囲まれた君へ
君のための歌を歌おう 罪という名のパジャマを着て眠る君へ♪




私はこの家を出て行かない。
だって出て行ったら、
やがて帰ってくるMAMAん子やババン子の帰る場所が無くなってしまうから。
今の私は生きている実感がない。時間という概念もない。
外が明るいと公園へ行き、暗くなると家に戻る。
一定の法則があるわけじゃない。そこに何も見いだせない。



(おかあさん・・・わたし・・・おかあさんの・・・。



この家の匂いを嗅ぐと安心する。
この家のすべてのものに家族の匂いが沁みついている。
ありふれた日常のすべてを、この家は記憶している。
「アネン子!早くご飯食べて学校に行きなさい!」
「なんで私の服を着るの?ババン子は自分の服あるでしょ?」
「私の買ってきたシャンプーとアネン子のシャンプーかぶっちゃったねー」
「じゃーん!今夜のメニューはカレーです!」
「早く電話切ってよ。私だって友達と電話で喋りたいんだよ?」
「ちょっと!楽しみにしていたドラマの録画消しちゃったの誰!?」
今までたくさん話した。たくさんケンカもしたし、たくさん笑ってもいた。



(おかあさん・・・わたし・・・おかあさんの・・・笑っ・・・



公園に行くとさっきまで誰もいなかったブランコに黄色い被り物をした人がいた。
クシャミをしたその黄色い人と目が合った。
久しぶりに聞く他の人のクシャミ。私以外の人がいるのに驚いた。
私は黄色い人に近づき、
「良かったら家であたたかい飲み物でも飲みませんか?」と、聞いた。
黄色い人は微かに頷いた。
黄色い人は家に来た。

声が出なかったはずなのに、自然と声が出せるようになった。
何故、今まで話せなかったのだろう。私の声はこんな声だったんだ。

卓上コンロの上にあるヤカンからコーヒーを煎れた。
黄色い人は本棚に立てかけてある写真立てを見てこう言った。
家族で写ってる1枚きりの写真。
「この子知ってるよ。さっきまで一緒にいた」
私は黄色い人を知らないけれど、黄色い人はババン子の事は知っている。
近くにババン子がいるのを知ると私は玄関で靴を慌てて履き外に飛び出した。
鉄の固まりの扉を開け、ひんやりとした空気の中にぬくもりを求めて。



どこにいるの?どこに?
ねぇ、どこにいるの?




国道の向かいの歩道を歩く親子。
そこにいたのは紛れもなく・・・
MAMAん子とババン子だった。手をつないで歩いている。

あ、泣きそうだ。けれど泣くのを堪える。

向こうも私に気が付いて手を振る。

(おかえりーーーーー) 心の中で手を振る。
やっと会えた。やっと帰ってきた。やっと泣ける。でも泣くのを堪える。

私は走って二人の所へ行こうとしたら、また何かにつまづいて転んでしまった。
足元を見ると潰れた緑色の柚子が2つ転がっていた。

あの時と同じシチュエーションで白いハンカチを出すMAMAん子。
あの時と同じ、左手を差し出してくれた。
私はMAMAん子の手を握りしめて今度は離さないように強く握った。

背後を人が通った気配がした。
通過するほんの数秒の間に誰にも聞こえないくらいの小さい声で、

「泣きたきゃ泣けばいいじゃん」 

と、ダイレクトに私の耳に聞こえてきた。
振り返ると、黄色い被り物はしてなかったけど、
声は確かに黄色い人だった。
そうか。泣いていいんだね。
小さい子供の様に涙を流しながら大きな声で泣いた。
ノドの奥から絞り出すように。叫び声に近い泣き声で。

今まで言えなかったこと、今なら言える。きっと言える。




「おかあさん・・・わたし・・・おかあさんの笑った顔が・・・もっと見たい。
おかあさん・・・もうどこにもいかないで」





言いたいことの1/1000も言えないくせに
誤解されてもしょうがないって 甘えてるのはいつも君の方だろ?
そんな君のことを僕は 思い出すことは たぶん ないのだろう
充分すぎるほど忘れた頃に 偶然僕たち出会ったとしたら
何を話そう? 何を見よう? 何を求めよう? 何から始めよう?

君のために歌を歌おう やっと泣けた君にエールを
君のために歌を歌おう 本当の事をやっと言えた君に最後の歌を♪


              ギター・ヴォーカル 被検体旧001・喪服前進
                        


その時、二人の男性が白い息を吐きながらこの光景を目にしていた。






終わらない歌を歌おう ♪ 全てのクズ共のために♪
                原曲 THE BLUE HEARTS


終わらない話を続けよう♪ 全てのクズ共のために♪
                                            

第3話へつづく。
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