第66期王将戦挑戦者決定リーグ戦/3回戦「羽生三冠-渡辺竜王を振り返ろう」
今回は昨日行われました頂上決戦
第66期王将戦挑戦者決定リーグの3回戦
注目の「羽生善治三冠-渡辺明竜王」の模様を
振り返らせていただきます。
2手目△3四歩。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: なし
△羽生三冠: なし
本局の先手は渡辺竜王。
その初手は角道を開ける▲7六歩から。
対します、羽生三冠も同じく2手目に角道を開ける
△3四歩と返して、対局はスタートとなりました。。
6手目△8五歩。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: なし
△羽生三冠: なし
次に両者は息を合わせて飛車先を決め
いざ「横歩取り」を目指す序盤の出だしに。。
15手目▲3四飛。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 歩3
△羽生三冠: 歩2
そのまま定跡手順の進行となり
互いに飛車先で歩を交換して迎えた上図の局面で
渡辺竜王が2筋に浮いた飛車で、お隣り3筋の歩を
かすめとり、戦型は両者得意の「横歩取り」に決定。。
模様を誘導した格好の羽生三冠は、次に
3筋に回った先手の飛車先を角で受けました。。
(16手目△3三角)
23手目▲5八玉。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 歩2
△羽生三冠: 歩2
羽生三冠が飛車を8四の地点に引いてから
スッと玉を立てたのをみて(22手目△5ニ玉)
渡辺竜王も同じく玉を立て、「相中住まい」に。。
25手目△3八金。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 歩2
△羽生三冠: 歩2
続けけて羽生三冠は銀も立て(24手目△7ニ銀)
自陣の右側に「美濃囲い」を築きました。。
対する渡辺竜王はオーソドックな金開きに構え
双方、「横歩取り」の流行形に駒組みを進めます。。
30手目△8六歩。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 歩2
△羽生三冠: 歩
先に仕掛けたのは、羽生三冠。
1筋の位を確保した直後に(28手目△1五歩)
渡辺竜王の飛車の横利きが止まった(29手目▲3六歩)
瞬間を狙い、8筋の歩を突き合わせました。。
上図から、以下
▲同歩~△同飛に下図33手目▲3五歩と進行。。
33手目▲3五歩。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 歩3
△羽生三冠: 歩2
再び8筋で歩の交換が成立すると
渡辺竜王は3筋の歩を突いて飛車の横利きを通し
7筋の「横歩」にヒモをつけますが。。
34手目△8八飛成。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 歩3
△羽生三冠: 角、歩2
羽生三冠は構うことなく飛車を突進。。
早くも角と飛車の交換を敢行しました。。
36手目△5五角打。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 飛、歩3
△羽生三冠: 歩2
大駒の交換が成立した直後
羽生三冠は生角とラインを合わせて天王山に
手にしたばかりの角を投入。。
40手目△1九角成。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 飛、歩4
△羽生三冠: 香、歩
羽生三冠は先手の左辺の駒組みを乱してから
角を1筋に飛び込ませて香車を捕獲し馬を作りました。
45手目▲4五桂。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 飛、歩4
△羽生三冠: 香
馬を起点に圧力を強める羽生三冠に対して
渡辺竜王は狙われた桂馬を4筋に跳ね反撃開始。。
後手の玉頭と角に当る好手に思われましたが。。
しかし。。
46手目△3七歩成。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 飛、歩4
△羽生三冠: 香
羽生三冠は角を逃げずに3筋の歩を成り込み
強く、攻め合いを求めました。。
渡辺竜王は角を捕獲し(47手目▲3三桂成)
以下、△4八「と」金~▲同金~△3三桂~▲2三歩に
△3一銀~▲3四歩~△1七馬~▲4六飛車をみて
下図56手目△2五桂と進行。。
56手目△2五桂。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 飛、角、歩4
△羽生三冠: 銀、桂、香、歩
そのまま注文通りに激しい攻め合いとなりますが
攻防の主導権は仕掛けた側の羽生三冠がにぎり
少しずつ形勢を引き寄せます。。
64手目△3七銀。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 飛、角2、銀、歩4
△羽生三冠: 金、桂、香、歩2
羽生三冠は見切りよく馬を切った流れで
気持ちよく、王手・飛車取りの大技を仕掛けます。。
72手目△3九飛。
上図での持ち駒
▲渡辺竜王: 角2、歩3
△羽生三冠: 金、桂、香、歩2
寄せにいつもの鋭さがない渡辺竜王を横目に
羽生三冠は十分に読みを入れてから、裸の先手玉へ
手にした飛車を打ち込み王手。。勝負を決めに出ました。
【 投了図・84手目△6四桂 】
投了図での持ち駒
▲渡辺竜王: 角、金、銀、歩3
△羽生三冠: 角、銀、香、歩3
羽生三冠はそのまま渡辺玉を厳しく追い込み
上図の局面で、渡辺竜王は無念の投了を告げました。
今期最初の頂上決戦を快勝でものにした
羽生三冠は2年連続挑戦権獲得へ見晴らしよく
リーグ戦開幕2連勝を飾りました。。
一方、渡辺竜王は1勝2敗と黒星先行。。
これで公式戦も3連敗となり、得意の冬の陣へ向け
「不正疑惑問題」と相まって元気のなさが気になります。。
□□□
不正疑惑もトーンダウン。。