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2012年01月07日 07時20分10秒

雑感 たまには過去を

テーマ:雑感
かつて自分が書いたものを読み返すと、まるで他人が書いた文章を読んでいる気分になる。

先日、あまりに退屈だから近所のブックオフに行ったところ、店頭では書籍の半額セールが実施されており、店内はお客さんでごった返していた。
比較的目につきやすい場所に、村上春樹の『1Q84』が多数並べられており、少々複雑な思いであった。若い頃、生活に困ると、すぐに手直にあるものを売ってお金にした経験がある自分が偉そうなことをいうことなどできないが、売られた本を見るのはちょっとだけ寂しい気がする。

そういえば、2010年には、僕も『1Q84』を購入し、下に並べたように、少しばかりの感想文を書いた。
『1Q84』はまだ僕の手元に置いてある。
たまには過去を振り返るのもよい。

Ev'rything's gonna be alright:1Q84 (一) 村上春樹
http://ameblo.jp/syo-hyo/entry-10633634323.html

Ev'rything's gonna be alright:1Q84 (二) 村上春樹
http://ameblo.jp/syo-hyo/entry-10635643124.html

Ev'rything's gonna be alright:1Q84 (三) 村上春樹
http://ameblo.jp/syo-hyo/entry-10641243496.html

Ev'rything's gonna be alright:1Q84 (四) 村上春樹
http://ameblo.jp/syo-hyo/entry-10645162781.html

Ev'rything's gonna be alright:1Q84 (五) 村上春樹
http://ameblo.jp/syo-hyo/entry-10646348377.html
2011年12月28日 21時51分06秒

雑感 小林多喜二の手紙を購入する

テーマ:雑感
「時々特高刑事におびやかされている。銀行も長いことないとは思っている。然し、どういう噂か知らないが、まだ銀行はやめていない。やめさせるまで、出る積りだ。君が一日八時間も画の方へ時間がとれることをきいて、君をなぐりたくさえなる。俺達の生活を思ってもみろ(斎藤次郎宛一九二九年一月九日)」

書簡を読むのが好きで、それが高じて書店の店頭で、「手紙」という文字を見つけるとついつい手に取って、気に入ればそのまま買ってしまう。昨日、横浜にあるブックオフに入ると、棚に「小林多喜二の手紙(岩波文庫)」が500円で売られていた。僕は社会主義運動にも、プロレタリア文学にもまったく興味がないので、彼の著作を読んだことがないのであるが、以前から彼の書簡が気になっていたのだった。こうして中古本の店頭で出会うのも何かの縁であると思い、そのまま購入した(今日は、フィッツジェラルドの書簡をAmazonのマーケットプレイスから購入した)。
帰宅して読み始めたところ、ページの間に、フェリス女子大学の赤色と桃色の出席票がそれぞれ一枚ずつ挟まれていたのを見つけた。栞代わりに使ったものだろうか?
出席票か、懐かしいなとふと自分の学生時代を思いながら、前の持ち主は女子大生だったのか。そして、どうでもいいことが自然に次々と頭に浮かぶ。近頃の女子大生が小林多喜二を読むのも近年起こった「蟹工船」の影響かも知れない。何を思っての社会主義、共産主義であろうか。ここ十年ばかり、若い世代にとっては仕事が見つからない、給料が上がらないといった氷河期が続いている。その一方で、高給に恵まれている一部の若者が世間を暗躍している。平凡に生きている若者の心中に渦巻く不満や苛立が行動をともなった思想ともいうべき社会主義の方面に発露することはいたって自然なことである。

僕はその出席票をゴミ箱に捨て、小林多喜二の手紙を読み始めている。僕は特高刑事におびやかされることはないし、突然自分から辞職でもしない限り、当面仕事を失うことはないだろう。僕は一切の思想といったものを信用していない。僕は社会の変革であるとか、改革であるとか、革命であるとかといった体のいい言葉を信じていない。僕はこれまで自分が培ってきた習慣の上にあぐらをかいているだけである。僕は日常生活に根ざした常識だけを信じている。
2011年12月20日 23時03分51秒

雑感 漫ろ

テーマ:雑感
年の瀬が近づいたせいでもないが、漫ろな気持ちで、本棚を眺めている。八月に試験が終わって後、すぐに無心になって「芥川龍之介全集」を読み始め、十一月の半ばまでかかって小説作品をすべて再読したあと、懲りもせず再び受験勉強を始めることにした。そのため、おおっぴらに本を読むことに後ろめたさを感じてしまう毎日となってしまった。とはいえ、ごそごそと本を手に取ってはちらちらとのぞき、拾い読みしているのではあるが。たとえば、村上春樹のエッセイ「走ることについて語るときに僕の語ること」や「雑文集」。

一方、読みたい本がたまっている。たとえば、サン・テグジュペリの「城砦」。これは、サンテックスが晩年まで執筆し続けた作品であり、黙示録的世界に自身の思想をちりばめたものである。三分冊となっており、結構な分量である。現在絶版となっているはずだから、入手が困難ではなかろうか。十二年前に偶然三省堂本店で購入したが、読み始めては挫折、読み始めては挫折を繰り返して、そのまま放置してしまっている。つい先日読み始めたが、やはり挫折。なぜか読めない。サンテックスを読み解くための重要作品であるにも関わらず。
今年の五月には「戦時の記録」全三巻をいっきに読破したので、その勢いを借りたかったのだが。

「ローマ帝国衰亡史」全十一巻。これは一昨年古書店からまとめて購入し、テンポよく読み進めていたのであるが、三月十一日の大震災により読書はおろか、体中の気力まで失われてしまい、そのまま放置してしまっている。第五巻まで読み進めたが、登場するローマ皇帝の名前がどれも似ていて覚えるのが面倒である上に、時代が下るにつれ皇帝であると僭称する者が乱立。たとえ正帝であっても、数年ごとに暗殺されたり、失脚したりした結果、わが国の首相のごとくころころ代わってしまうので、人間関係がさっぱり把握できず、落ち着いて読めない。背教者と呼ばれたユリアヌス帝のところまでは面白く読めたのであるが。

ドストエフスキー。ほぼ毎年、彼の長編小説のどれか
(「罪と罰」「白痴」「悪霊」「未成年」「カラマーゾフの兄弟」)を読み返しており、今年は「ローマ帝国衰亡史」と平行して、「罪と罰」を読み返していたのだが、江川卓訳の岩波文庫版の上巻が終わったあたりで、これも震災にて中断。気持ちが落ち込むニュースばかり目にしている中で、いまだドストエフスキーの世界に浸る気分には到底なれず、完全に放擲してしまっている。

こうして、ふと今年を振り返ると、やはり、三月の震災前と震災後とでは、何かが違ってしまっている。

一歩外に出ると、街は震災前の状態に戻っているように見える。十一月頃からはクリスマスソングが流れ出し、街路にはイルミネーションが灯っている。駅の中や地下街、小売店、百貨店の店頭には、光が溢れており、食料品店の店頭にも商品が所狭しと陳列されている。近所のスーパーマーケットの通路にはミネラルウォーターの箱が小山のように積み上げられ、乾電池がずっと安売りされている。週末になると公道を暴走する連中がどこからともなく湧き始めた。僕は、節電が叫ばれていた時期には手さえ触れなかった、わが家のオーディオの電源を入れ、毎晩ジャズを聴くようになった。毎月数枚のCDを購入するようになり、ジャズばかり聴いている。

だが、何かが違っている。
最近では募金箱を見かけることも稀となり、「がんばれ日本」というコピーさえ目にしない。今年の漢字が「絆」であることを知り、多くの人がそういえばそんな言葉がテレビからよく流れていたと思い出したのではないか。東京電力のHPに掲載された電気予報など誰も見ていないだろうし、関西電力が呼びかけている節電の声もむなしく響く。福島第一原子力発電所を廃炉にするまでには三十年以上の歳月と、一兆五千億円を超えるコストがかかると試算されている中で、原発事故が収束したと宣伝する政府の声も同じくむなしい。短期間に集中的に国民の脳に刷り込まれた金子みすゞの「いいえ、誰でも」や、奇妙なキャラクターが数多く登場した「ポポポポーン」もすでに忘却の彼方である。

僕の気持ちが漫ろであるのは、師走のためばかりでもない。無論、試験勉強のためでもない。
僕の感じるのは、ただむなしさといらだたしさである。
昨日から、森鴎外の「雁」を読みはじめた。
2011年09月10日 00時06分38秒

雑感 『まさに死のまち』

テーマ:雑感
「重箱の隅を楊枝でほじくる」ということわざがある。「非常に細かいことまで問題にして、口うるさく言うことのたとえ」だそうだ。
鉢呂経産相の『まさに死のまち』発言をめぐるマスコミと、野党の対応こそ、まさに「重箱の隅を楊枝でほじくる」の表現がふさわしい。

日中、仕事をしながら、ふと画面に映し出されているYahoo!ニュースに「原発周辺市町村『まさに死のまち』鉢呂経産相が発言」という文字があった。
「?」と思ったが、さすがに仕事中、仕事に関係のないニュースを読むわけにもいかず、そのまま無視したのであったが、帰宅して、テレビニュースを見ると、この「まさに死のまち」がえらい問題となっているのに驚いた。

asahi.comは、この問題を下記のように報じている。
「鉢呂吉雄経済産業相は9日の閣議後会見で、前日に野田佳彦首相らと視察に訪れた福島県の東京電力福島第一原子力発電所の周辺市町村について、『市街地は人っ子一人いない、まさに死のまちという形だった』と述べた。」
「経産相は野田首相の発言を引用し『福島の再生なくして、日本の元気な再生はない』とも述べたが、いまだ多くの人々が放射性物質がもたらす健康への被害を懸念し、住み慣れたふるさとをはなれざるをえない状況のなか、原発事故の被災地を『死のまち』と表現したことは今後問題になる可能性がある。」
asahi.com:原発周辺市町村「まさに死のまち」 鉢呂経産相が発言
http://www.asahi.com/politics/update/0909/TKY201109090226.html

鉢呂吉雄経済産業相の発言のどこがどう問題なのだろうか?
リベラル政党である民主党が嫌いな僕が、鉢呂吉雄経済産業相を弁護するのもなんだが、義憤を感じたので、弁護する。
彼は、原発周辺の市町村を視察した後に、(1)原発周辺の市町村は『まさに死のまち』のようだと言ったのであり、(2)原発周辺市町村が『死のまち』であると言ったわけではない。
(1)と(2)とではえらい違いであるが、この違いを理解できないほど、マスコミや政治家は頭脳が劣化しているか?
たとえば、顔色が悪い人に向かって、「あなたは、まるで死人のような顔色をしていますね」というのと、「あなたは死人ですね」というのとでは、意味が全く異なる。こんなこと小学生でもわかることだろう。

マスコミは、言葉を通して、世界の実相を伝えることが仕事である。政治家は、言葉により構成された法律を作ることが仕事である。この程度の言葉の理解さえままならない彼等が、世界の実相を伝えようとし、法律を作ろうとしているのであるから、世も末と言わざる得まい。『まさに死のまち』。

それにしても、自分の発言が批判されると、すぐさま自分の発言を撤回し、陳謝するとはどういった了見だろうか?
つっこまれたからといって、すぐに謝ればよいというものでもなかろう。謝る前に少しは考えていただきたいものだ。

asahi.com:鉢呂経産相「死のまち」発言を撤回、陳謝
http://www.asahi.com/politics/update/0909/TKY201109090364.html
2011年08月16日 22時47分30秒

雑感 再会

テーマ:雑感
「久しぶりに、飲まない?」
Facebookにもらったメッセージの主は、僕が児童書の出版社に勤めていたときの同僚であった。同じ会社に勤めていた頃から、彼とは不思議とうまが合い、時間が許す限り一緒に酒を飲み、語り合った仲である。彼は、西荻窪に、僕は三鷹に住んでいたこともあり、会社の帰りに飲み歩いたものであった。
「もちろん。飲みに行こう」

僕たちは、互いに思うところがあり、ほぼ同じ頃に児童書の出版社を退職した。1995年の頃であった。彼は玩具業界を専門とする広告代理店に、自分は医学書の出版社に、それぞれ職を求めた。彼はその後、中国語を習得し、香港に貿易会社を立ち上げ、いわゆる、社長さんとなった。一方、自分は職を転々とすることとなった。

彼と会うのは、十年ぶりのことだ。十年と一言でいうと、まさに一言に過ぎないのだが、十年という月日が過ぎ去った後、互いが互いをどう思うのかという、興味が湧いた。

人なつっこい笑顔をたたえて、品川駅の中央改札口にたたずむ彼は、オレンジ色のポロシャツを着ていた。その極彩色が、いかにも彼らしかった。

「中国で仕事をすることは、とんでもないぐらいのストレスを背負い込むこむことだよ」
「日本は世界で一番住みやすい場所」
そんな言葉を耳にすると、つくづく自分が日本に住む日本人でよかったと痛感する。

本能の赴くままに生きている中国人。普段見聞きするニュースからも分かるように、自分の正しさを一方的に主張する中国人の姿からも、想像にかたくないと思う。先のことを考えない生き方ができるのも、歴史を背負わない、または、歴史がない人たちの集まりが、すなわち、支那大陸だからである。支那大陸にあるのは、時間の集積だけである。それは、歴史では、ない。

会社経営は大変であることを聞きながら、ずっと、小者である僕は中原中也の詩を思い出していたのであった。
互いに大変な毎日であるが、なにはともあれ、今日、この時間を楽しもう。悲しみや、苦しみもあるだろうが。そんな話をしながら、美酒を飲み交わし、握手して別れた。

道化の臨終
さればわれ、明日は死ぬ身の、
今茲(ここ)に 不得要領……
かにかくに 書付けましたる、
ほんのこれ、心の片端〈はしくれ〉、
不備の点 恕(ゆる)され給ひて、
希(ねが)はくは お道化(どけ)お道化て、
ながらへし 小者にはあれ、
冥福の 多かれかしと、
神にはも 祈らせ給へ。

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