
グレッグ・モットーラ監督、サイモン・ペグ&ニック・フロスト脚本・主演。コミックヲタクのイギリス人二人と謎の宇宙人ポールの、奇妙なアメリカ旅行を描くSFコメディ。
一発ウケ狙いのイロモノB級映画的な外見とは裏腹に、確かな仕事ぶりとヲタク愛がキラリと光る良作。SF映画ファンを自称するなら、間違いなく必見の一本。
基本、キャンピングカーによる下ネタ満載のドタバタ珍道中でありながら、追っ手の追跡から逃れる緊張感をプラスする事で、ストーリー全体の引き締めと底上げに成功。
追跡者を絶妙なタイミングで退けていく爽快感と、ちょっとした出来事や小道具が次へと繋がっていく見事な演出、さらにヒネリの効いた気持ちのいいオチまで付いて、104分間まったく飽きさせない。
また、「E.T」や「エイリアン」といった、過去の名作をおちょくるギリギリでかわした、際どいブラックジョークも小気味良く、SFファンならお馴染みの、しかし「えっ、この人が?!」とひっくり返るような、意外すぎる大物ゲストの参加も相俟って、ただの内輪ウケヲタ映画に止まらない、懐の広さを見せつけてくれる。
妙にチョイ悪オヤジ(死語)臭く、ついでに胡散臭いリトルグレイ型宇宙人・ポールの存在感もさることながら、ヘタレなヲタク二人組、狂信的クリスチャンの女とその父親、ちょっと(かなり?)マヌケな捜査官等、個性的すぎるほどに個性的な登場人物達の言動(主に暴走)を中心に物語を進行させつつも、決してご都合主義に走らず、それでいてしっかりとした人間(?)ドラマとしても完成させている脚本力、構成力は、ただただ脱帽。
シッチャカメッチャカやりたい放題やっているように見えて、実は基本に忠実。細部にまで神経を行き届かせた、まさに職人技の賜物と評しておきたい。
アイディアさえあれば、人間はまだまだ面白い作品を生み出せるのだと改めて確信した。
余談だが、この手のコメディ映画は、日本人と笑いのツボと文化が違うため、何が面白いのかさっぱり分からない事が多い。しかし、いわゆるカートゥーン的な動きではなかったおかげか、はたまた全世界共通の「ヲタクあるある」ネタがふんだんに盛り込まれていたおかげかはさておき、本作のそれは日本人でもすんなり入り込める、非常に受け容れやすい内容になっていると思われる。
少なくとも小生は、場内で窒息寸前になるまで、笑いをこらえなければならない場面が数箇所あった。
以前松本人志氏が、とあるテレビ番組で「外人は凝ったネタより、分かりやすい『天丼』の方がウケる」みたいな事を仰られていたが、例えば作中の、ポールを見た人間が気絶するシーン、二人がゲイカップルと間違えられるシーンなどは国籍に関わらず、ある程度の教養さえあれば即座に理解できると察する。
製作者のセンスによるものなのか、あるいは努力の成果なのかは存じ上げないが、実はこれこそ、本作の掲げたテーマの一つである「異文化人との邂逅と交流」を体現しているのではないかと、妄想を爆発させてみる(笑)。
さておき。
エンカウント、サスペンス、アクション、ヒューマンドラマ、ドギツいブラックユーモア、その他諸々をうまく組み込みつつ、シンプル且つ無駄のない、しかもSF作品に対するリスペクトと、ヲタク万歳!要素が多分に含まれた、ある意味非常に贅沢な愛すべき作品。
とにかく、機会があれば是非ともご鑑賞を。これはSFファンの新たなるマストムービー!!
そんなわけで、小生の、この映画に対する評価は…、
☆☆☆☆★
星4つ!!
ところで、ポールを声を演じるのは「グリーン・ホーネット」のセス・ローゼン。という事は、吹き替え版はやはり山寺宏一さんが担当されるのだろうか。
個人的な見解を言うと、できれば彼の声は若本規夫さんか藤原啓治さんにお願いしたい。ちなみに例の二人は、おそらく島田敏さんと平田広明さん、あるいは古川登志夫さんと予想。
あのエージェントは、定番の小山力也さんで確定だろうけど(笑)。
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