「孫文の義士団」感想 | 新・狂人ブログ~暁は燃えているか!~

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 20世紀初頭、後に清朝を打倒し、共和制国家を樹立させる「辛亥革命」の先導者となる革命家・孫文を暗殺から護るべく、命がけで戦った名もなき義士達の姿を描く大河アクションストーリー。


 シンプルに評する。凄い!これは面白い!!久しぶりに中華大陸の底力を見た。今後この映画は、アジア映画界の一つの基準となるに違いないと確信する。

 数世代続いた王朝時代の末期、今まさに一大転換期を迎えようとする中国の国情を背景にした、重厚で芯の通った歴史ストーリーを主軸としながら、誰でも楽しめるアクション活劇を絶妙な配分で融合、相乗させ、ストレスフリーで一気に駆け抜ける娯楽作品へと高めている。
 また、登場人物一人一人のバックボーンを丁寧に拾い、明らかにする事で、観客の感情移入度を増加、同時に血の通ったヒューマンドラマとしての昇華にも成功している。

 中でも特筆すべきは、時代背景やキャラクター相関に重点を置いた前半と、孫文の登場から瞬く間に怒涛のカンフーバトルへと変貌する後半の、完璧すぎるバランス感覚とスイッチングのセンス。
 これにより、物語自体により濃厚な深みが生まれ、各キャラクターのエピソード、及び戦闘シーンにも気持ちが入り、さらに一本の映画で2本分のストーリーを堪能したような満足度も得られるという、一石二鳥どころか三鳥、四鳥当たり前の効果を発揮。まさしく映画そのものが持つ潜在能力を100%、否、120%引き出す、画期的なアイディアと賞賛したい。
 どこのどなたかだ考案したのかは存じ上げないが、まったく天才の所業と言わざるを得ない。さすがは「音速拳」を二千年前に通過した国、あなどれん…(違)。


 孫文を護るために集まった義士達の多くが、実は革命や国情などほとんど理解しておらず、文字どおりただ義のため、忠心のため、あるいは復讐のため、自戒のために戦うというもの、非常に面白く、リアリティがある。
 かつて井上陽水氏が名曲「傘がない」を発表した際、世の識者達はそれを「足払いの歌」と評したという。
 たとえ国の大事であろうが、様々な社会問題があろうが、今自分にとって重要なのは、恋人に会いに行くための傘がない、という歌なのだが、結局市井の民にとって、革命だの何だのより優先されるべきは、今自分の足元がどうなっているか、にすぎない。
 今自分の大切な人が助けを求めているなら、それに進んで応える。その想いの集合が、結果的に国一つのも動かす原動力にすらなりえるのではないだろうか。
 ために小生には、あの義士達の姿が、今なお危険な状態の続く福島原発で、命がけの仕事を行ってくださる作業員の皆様と、たぶって見えてしまった。
 彼らは決して、名もなき志士ではない。我々が知らないだけで、彼らにも家族があり、友があり、愛する人があり、それをテメェのタマを的にしてでも守ろうとする勇者なのだ。実は真の民主制とは、一人一人がこの想いを行動として表すことで、はじめて意味を成すものなのかもしれない。

 国の一大事に、未だ政権争いだのなんだのやってる税金泥棒どもは、本作と「ゴーカイジャー」観て猛省しやがれ!
 もちろん、一般の人にも超オススメ。必見!!

 なお断っておくが、これは自己中心に行動してよい、という意味ではないし、まして世のため国のためなら死んでよい、という意味でもない。念のため。
 
 
 そんなわけで、小生の、この映画に対する評価は…、 
 
 ☆☆☆☆★+

 個人的には、臭豆腐の生き様に胸が熱くなった。男泣き必至の星4つプラス!!






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 ちなみに、清朝末期の物語といえば、やはり「蒼穹の昴」がオススメ。続編の「中原の虹」も面白いよ!!

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