新・狂人ブログ~暁は燃えているか!~

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 角田光代原作のサスペンス小説を、「孤高のメス」成島出監督、「サマーウォーズ」奥寺佐渡子脚本で映画化。

 
 とにかく、何をさしおいても女優陣、特に主要人物を演じる3人の演技がハンパなく素晴らしい。この御三方の存在自体が、本作に魂を吹きこむアイデンティティであり、物語を形作る柱であり、作品世界を集約、象徴する具体であったと断言してしまいたい。
 成島監督らしい、人の業がもたらす悲劇の連鎖を描いた重厚なストーリーと、その心の闇を見透かせるような、美しい景観とのコントラストもまた文句なしだが、彼女達の存在なくして、本作の完成はありえなかったに違いない。この芝居を観るためだけに、映画館へ足を運ぶ価値は十二分以上にある。

 
 若手女優の中でも実力派で知られる井上真央は、生まれてすぐに誘拐、4歳になるまで犯人の女に育てられた主人公・恵理菜)を好演。
 家族を含めた周囲の人々と距離を取り、冷たく突き放しているように見えながら、実は自分の正体がつかめず、一人苦悩する少女という難役を、濃厚なラブシーンまで披露する体当たりの演技で、見事にこなしてみせた。
(ポロリはないけどね)
 誘拐犯の日々を辿るうちに、思い出とともに失われた自分を取り戻していく繊細な変化を、立ち姿や目の動きだけで表現する技量は、「お見事」以外の言葉が見つからない完成度だった。

 余談だが、後記するお二方含め、本作に出演されたほぼ全ての女優陣は、こうした何気ない仕草や、動かない芝居が抜群。
 特に、4歳の恵理菜を演じた渡邉このみちゃんは、彼女の5、6倍以上歳上であろう、そこいらの若手俳優でもなかなか出来ないような表情をしてみせてくれた。
 演出か監督の力なのか、それとも彼女自身のポテンシャルなのかは存じ上げないが、少なくとも今の時点で、彼女は既にどこぞの某長澤まさみの5倍、某松ケンの10倍は上手いと言い切れる。


 不倫相手との子供を中絶、衝動的に恵理菜を誘拐してしまった女・希和子を演じる永作博美さんも素晴らしい。
 警察の追跡に怯え、決して本当の母親にはなりきれない絶対的な虚無感に囚われながら、それでもに精一杯の愛情を注ぎ、育てようとする女の情感を、自らの髪をハサミで切り、赤ちゃんに授乳する、井上真央に勝るとも劣らない役者魂で熱演、見せつけてくれる。ポロリこそないが。

 冒頭、わずか10秒足らずの無言のアップだけで、どこか覚りの境地に達したようなその胸中を、観客に伝える力は鳥肌モノ。こう言っては何だが、彼女のあの「デビュー当時からまったく変わらない」と称される童顔が、犯罪者であるはずの希和子を完全な悪役にさせないクッションとして機能しているようにも思う。


 事件の取材と称して、恵理菜と行動をともにするフリーライター・千草演じる小池栄子の意外な仕事ぶりもまた、(失礼ながら)あまり期待していなかっただけに、嬉しい誤算。
 常に背中を丸め、相手の顔色を窺うようにして首をすくめて歩く。相手にキツい口調で迫られた際、とっさに身構えるための、いわば小心者らしい防衛本能の現れであるが、この立ち姿一つで、出てきた瞬間に「あ、こいつ処女だな」と観客に分からせる演技力には、ただただ脱帽。
 加えて、相槌もまともに打てないコミュニケーション下手の千草が、恵理菜との旅を通じて、ともに心を許し合う間柄になっていく様子を、しゃべる速度や歩調の合わせ方で表現していくセンスは、ポロリはないがまさに特筆に価する。
 彼女にそこまでの力があった事にも驚いたが、今まで豪胆で凛とした役のイメージの強かった彼女の、それとはまるで正反対の難役を挑む肝っ玉にも、無条件の賞賛を送りたい。

 さすがは、島田紳助氏をして「今いる若手タレントの中でも、ダントツに頭がいい」宮迫博之氏を「間違いなく天才」とそれぞれ言わしめた御仁。実はデビュー当時から写真集・DVDを買い集めるファンだが、これから今まで以上に注目しなければなるまい。


 一部では「あの場面で終わるのは納得いかない」という声も聞くが、恵理菜が本当の意味での家族の愛に目覚め、子供を無条件に愛する当たり前の母親になるための、言うなれば「根源」みたいなモノを手に入れたあのシーンこそ、ラストに最も相応しいと、小生は感じた。
(考えてみれば、本作には「真っ当な母親」と呼べる女性が、ほとんどいなかったように思う)
 
 物語としての好き嫌いはともかく、あの御三方の演技は一見の価値あり。もちろん、他の出演者も非常に良い仕事なので、そちらも要チェック。

 でもポロリはないけどねっ!!


 そんなわけで、小生の、この映画に対する評価は…、

 ☆☆☆☆★

 星4つ!!ポロリがあったら星5つもありえ(以下略)


 ところで、本作を観た多くの人は「一番の悪者は、どう考えても不倫した恵理菜の親父だろ」と感じるに違いない。かくいう小生もそうだ。
 が、誤解を恐れず言えば「いやいや、何かにつけてキャンキャン吠えまくる、あんなカミさんいたら、男は気が滅入るよ。あれは、自分が悲劇のヒロインだと思い込む、典型的な劇場型被害妄想女だな。不倫がいい事とは言わないけど、そりゃ他の女に逃げたくもなるぜ」という男の側からの見解も、少なくないと思われる。
 はっきり言うと、あの母親は男に一番嫌われるタイプの女だ。我が強すぎて、結局自分の事しか見えてない。おそらく本作は、男性と女性では見る部分が大きく異なるのではないかと、勝手に推測してみる。

 つーか、この映画で一番の役得は、井上真央と豪快なディープキスをぶちかました劇団ひとりのような気が…。



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