月蝕の夜

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夕方家に帰って、食事ができるまで少し書斎を片付けた。全く片付かない。

食事が終わって、一度庭に出て見た。薄い雲が全天を覆っていて、まだ明るい空のどこにも月の影は見つからなかった。

部屋に戻り勉強会に出かけようとしたら、物をごちゃごちゃに動かした後なのでテキストが見つからない。数分探してあきらめた。

以前に同じようなことがあったとき一度使った手が、ちらりと脳裏に浮かんだ。

「急用ができたので今夜は休みます。」と電話をするか。

妻が覗きに来た。テキストが見つからないといったら、あきれてダイニングに戻りながら「急用ができましたって電話する?」と言った。退路を断たれた。

テキストなしで博物館に向かいながら、まだ迷っていた。月蝕も見たいし、酒を飲んでもいいし。

それでも、何とか持ちこたえて博物館の駐車場に車を入れた。建物の暗い窓が並ぶ中でチューターの学芸員の部屋の電気だけがついている。

空を見上げて月を探したが位置も分からず、何も見えなかった。

階段を上り通用口から入っていった。

テキストが見つからなくて、と言うとメンバーは事態がよく飲み込めないような顔をしたが、となりに座っていた友人が一緒に見ようと見せてくれた。


勉強会が終わり、十五分ほど雑談をした後でみんなが部屋を出た。

階段の踊り場から空を見上げると、空は晴れていて満月が輝いていた。右上の隅にまだ地球の陰が残っている。

メンバーの一人に声をかけると、彼も見上げて言った。

「おしゃべりをしていないで早く出たらもう少し観られたかもしれないね。」


みんなと別れてから一人で小料理屋に行った。

店長は一時間ほど前に外に出てしばらく見上げていたそうだ。

ビールを二杯飲んで代行運転を呼び家に帰った。


帰るなり妻が缶ビールを出してきた。それを大急ぎで飲んで、アルコールの匂いを消した。

パソコンを開けると、黄色い花の名前をポーチュラカだとopalさんが教えてくれていた。

妻に確認したら、「そうよ」とずっと覚えていたような口ぶりでいった。昨年種だか苗だかを買って育て、冬は越せないと言われて、確かに一度枯れたように見えたのだけど、この春にまた延びていていたのでそれを集めて植えなおしたのだと言う。


とりあえず、月蝕の最後の一瞬だけでも見られたからいいかなと思って、もう一度外に出て月を眺めて一日を終えた。


満月


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日が少し傾いてから

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いくつか仕事を片付けようと町に出た。


まず銀行へ。引き落としの口座に入金。

次いで図書館へ。

一月前から借りている「サラ・パレツキー」のミステリーが二冊、読みきれない。一度期間延長をしてあるのでもう返却しなければならない。

たぶん誰も借りないから、明日また借りに行くつもり。


その後、ちょっとした打ち合わせで人に会いに行く。メモのやり取りがあるので、直に会わなければならないのだけれど、電話で打ち合わせていくほどのこともないので、たいていは直接出かけて行っていなければまたで直す。

夕方にならないと帰っていないことが多いので、時間調整のつもりで、昔よく出入りした喫茶店に入って本を読んだ。

30年前には新婚夫婦だった奥さんが、一人で店番をしていた。最近何度か来てみたがほとんど客がいないような気がする。


開いた本は、今しがた図書館で借りてきた「沖で待つ  絲山秋子」。去年の春の芥川賞受賞作だった。

短い話で、読み出したらあっという間に読めて、20分で読んでしまった。

話しの仕掛けに納得いかないところがあったけど、描かれている世界は心にしみた。


会いたい人は不在だった。


明日また出かけてこよう。今日の皆既月蝕は見られるかな。

そう思いながら少し涼しくなった風を切ってバイクを走らせた。

東の空も西の空もなにやら薄い雲がかかっていて、月蝕観測は厳しいかも知れない。


夜は、博物館の勉強会でお出かけ。


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黄色い花

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昨日は東京で映画を二本観ました。


23日木曜日には東京に出て人と会って、25日土曜日には昔の職場の仲間と同窓会。一日おきに結構目いっぱい動いて、今日は少しお休みと行きたいけど、そういうわけには行かないと決意をして起きました。

書斎に、普段は物置台になってしまっているかわいそうなピアノがあるのですが、その調律師が、年に一度のお勤めで週末に来るというので、部屋の大掃除。


気合が入っているせいか、一週間少し動き回ったせいか、朝からわれながら機嫌がいいみたい。

そう思っていたら、気配を読むのにさとい妻が、洗い物をしている間に庭に水をやってほしいといいました。いつもなら無碍に断るのに、なんのはずみか引き受けて、せっせと水をやりました。


玄関脇のプランターにも水をやろうと如雨露を持っていったら、小さな花が可憐だったので、デジカメで写真を撮りました。


昼食の後でその花の名前を妻に聞いたのですが、うーん忘れた、とのことでした。


どなたか、この花の名前を教えて下さい。


黄色い花

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洗ってあげる

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夕食が終わると妻は急いで台所に立った。テレビの見たい番組があるのでその前に食器を洗っておきたいのだ。

「あれ、テレビを見ないの」と聞くと、「後で洗うのはいやだから」妻は言った。

「置いておけば洗ってあげるのに」と私。

「その『あげる』が気に入らないのよ。もう五分五分なのに何であなたに恩着せがましく『あげる』と言われなきゃならないのよ。」と妻。

「え?洗ってあげるというのは、皿さんや茶碗さんに対する丁寧な言い回しだよ。皿さん、きれいにしてあげるからね、って。」

「本当に口だけは減らないんだから。」


そして私が居間に向かい妻が台所で洗い始めた頃に、友人から電話。

私が彼のために設定しておいたWEBMAILが開けなくなったというSOS。

あわてて行ったらちょっとした操作ミス。すぐに問題は解決した。

手間賃は梨7つ。


小1時間で帰ってきたら、妻は居間でくつろいでテレビを見ていた。

梨を渡したら、お疲れ様と言った。


世はすべてこともなし。


30年の後

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30年前に職場で顔を合わせ10年間くらい一緒だったメンバーが集まった。

一番若くて54・5歳。長老はまもなく80歳。

話は長老の愚痴から始まった。目が見えない。腰が痛い。頭が働かない。

次々と近況報告や昔の思い出。

まともに話ができない。すぐに突込みが入ったり、話を横取りするものが出てくる。

幹事が時機を見て話も元に戻し、話し手がまとめて次の人へ。


参加者全員、九人の話が終わった頃に丁度、電車で帰る二人が席を立つ時間が来た。


振り返ってみると話の流れははっきりしていた。

体調の問題。年寄りの介護の話。子供の結婚と出産。そして、葬式と墓の算段。


百名山に登ることを何年か前からの人生の目標にし、あと数山を残すだけになったA氏の百番目の登山にはここにいる山登りが得意な何人かが、付き合うことになった。どの山を最後に残すかで少し盛り上がった。

私はその祝賀会に参加することにした。


川漁師になると公言していたB氏は故郷で念願の尺岩魚を上げたという。


小さな癌が見つかって欠席したC氏はどうなのだろう。


さまざまの思いを残しながら、来年の再会を約して参加者は散っていった。






暑い日の午後に

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エヤコンで部屋を冷やしながら、外を見る。

さっきまでバイクで走っていたのだから、暑さはまだ腕にも顔にも残っている。


でも。


木の陰がもうあんなに長く伸びている。


そうか

もう夏は終わったのか、と思った。


こんな、一人でぼんやりしている昼間には

少し切ない恋の話などを思い出す。

すぐにも出かけなければならないのに、

かすかに触れたような気のする、誰かの喜びや悲しみや怒りに

そっと気持ちを添えて、

自分から自分を消して、

ここにはいない人のことを考える。


さて。


もう一度、煮えたぎる熱気の中へ。




ドラマにはまる

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夏になってから、「HERO」の再放送に捕まった。

シリーズ二作目を途中から何気なく見始めて、そのまま見るようになってしまった。

木村拓哉は、お定まりの雰囲気で演技していて、あれだけだと続けてみる気にはなれないと思う。

脇にいる松たか子の値打ちが光る。


大塚寧寧と阿部寛の不倫関係もドラマにひねった陰影を与えている。関係はややコミカルに描かれているが二人ともなんともいえない味を出している。


秋の映画公開にあわせてのキャンペーだと分かっていながら、まんまとはめられてしまった感じ。


何かと出かけることの多い昼の時間なので、録画しておいて翌日の昼ごはん時とかその後で見ている。


さて

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今から用意をして、洗濯物を干したら家を出ます。

用意をするといっても、ズボンをはいてシャツを着るだけ。

昨日までの晴天とは少し違っている空模様が気になってネットの気象情報にアクセスしたら、東京は午前中「雨時々やむ」だと。

え?今は降っているのだろうか。


ちょっとびっくりしました。

水をうちながら

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相変わらずの猛烈な暑さ。

実家に行く妻は、送る私の車の中で、「朝、庭の野菜に水をやってこれなかったから、夕方には必ず水をやってね」と言った。


いろいろ用をたしたりテレビを見たりした後で、六時近くになって庭に下りた。

猫が寄ってきたので、ブラシをかけてやった。

その後蚊に刺されながら庭の野菜に水をやった。

見上げたらまだ明るい空に半月が浮かんでいた。


一人の夕食を終えた後、雨戸を立てるために窓を開けたら、夜風が涼しかった。

鈴を振るような虫の声も聞こえた。


明日は、出かけることになった。

少しは秋めいた風が吹いてくれるといいのにと思う。


夕方町の図書館から電話があった。

5月に購入依頼した本が入ったと言う。

7月にふらりと入った古本屋でうっていたので買ってしまった。

そういうと、では借り入れ予約を解除しておきます、という返事だった。

本は「Gボーイズ冬戦争 - 池袋ウエストゲートパークⅦ(2007年4月)」

残念。少しあせったか。


月はかなり明るいが、もうかなり西に傾いている。

今月の28日は皆既月食。


夕月







外為

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利殖や運用に関する電話が頻繁にかかってくる。

そういうことに全く興味や関心を持たずに過ごしてきたので、そう答えると、電話を断るための口実と思われて、相手は粘る。

お金を増やすことに興味がないはずはないと言われる。

幸運にも、まじめに働いていてさえいたらとりあえず食べるだけは保障されるという環境だったから、本当にそういうことには関心を持たなかった。


妻が少し株を始めた。

やってみると面白いし、経済の見方が変わったという。いろいろ解説してくれる。なるほど、私が学んだ頃の高校の教科書に書いてあった経済の見方とは、だいぶ違った視点で見ている。

このところ凹んでいる。その表情を見ていると面白い。

それでも私には興味も関心も出てこない。


その私が、妻の見ているテレビの経済番組や市況報道の画面を少し注意してみる瞬間が出てきた。

それは円相場。

この間のパリ旅行で使わなかったユーロが数百ユーロ手元にある。

なんとなく自由になるお金を持っていたくて、妻に言わずに別に用意して持っていったのだ。

結局使わなかったけどドゴール空港でも成田空港でも円に換えるチャンスがなくて、そのまま私のかばんの奥に眠っている。

そのほかに妻が私に預けたもののうち、1万円分ほどが残っている。妻はそれを知っていて、この間どんどん円高が進んでいるので、早く換えればよかったのにと笑っている。

私は、じっと円安の波が来るのを待っている。

一月半前に成田で円を交換したときは手数料を入れると、1ユーロ170円に近かった。

今の交換レートは150円の少し上。

手数料を引かれたら150円くらいになるかもしれない。


別に今すぐ換える必要がないというだけのことなのだけれど、初めて経済市況に興味が出てきたのがおかしくて、大事に取ってある。