忘れること

「博士の愛した数式」を誉めたレビューを読んだ。

「わたしの頭の中の消しゴム」も、どうやら覚えることが出来ないことが泣きのポイントのようだ。

これも私は見ていないが「50回目のファーストキス」という映画もあるらしい。

永く記憶できないということは、その人がアイデンティティーを本人自身の内部に確立できないだけではなく、永く記憶する力を失った人を愛しているものにとっては、愛している相手の中に自分を確立できないことでもある。

どれもこれも見ていないのでいい加減な想像だが、そのことが愛の悲劇性や純粋さを高めるのかもしれない。


私は最近物忘れがひどい。

さっきのことをもう忘れている。これらの映画のテーマは他人のことではない、と思った。


忘れること忘れられることは、人をおびえさせる。


昨夜、映画好きの友人に、借りたばかりのDVDのことを報告した。

「タクシードライバー」「愛の嵐」

いずれも以前見たことがある映画である。

「(あまり二度は同じ映画を見ないのだけれど)ただ券が手に入ったので、(わざと、一度みた映画を)借りた。今夜はちょっとロリータ趣味がかかっているかもしれない」と自分でコメントした。


一夜明けた今日になって、不意に「タクシードライバー」を借りた本当の理由を思い出した。

友人に頼まれていたことがあって少し調べ物をしていたら、ベトナム戦争と映画「タクシードライバー」を関連付ける記述に出会った。後で確かめようと思っていたのに、少し時間を置いたらもう、その文章の所在が分からなくなった。

仕方が無くて、とにかく「タクシードライバー」だけはもう一度近々観てみようと思っていたのだ。

それなのに、レンタルビデオ屋では、タクシードライバーを借りたいという気持ちだけが理由もなく心に浮かんでいたので、なんとなく借りてしまった。


今回は思い出したけれど、やがて自分がなぜそうするのかも分からず行動することがどんどん増えるのかなと、あらためて寂しく思った。

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 … …

 さんま、さんま

 そが上に青き蜜柑の酸(す)をしたたらせて

 秋刀魚を食ふはその男がふる里のならひなり。

 そのならひをあやしみなつかしみて 女は

 いくたびか青き蜜柑をもぎ来て夕餉にむかひけむ。

 あはれ、人に棄てられんとする人妻と

 妻にそむかれたる男と食卓にむかえば、

 愛うすき父を持ちし女の児は

 小さき箸をあやつりなやみつつ

 父ならぬ男にさんまの腸(はら)をくれむと言ふにあらずや。

 … …


ここまで書いて、この連の最後の三行から、不意に以前ここ で取り上げた俵万智の歌を思い出した。


 焼き肉とグラタンが好きという少女よ 私はあなたのお父さんが好き(『チョコレート革命』)


男女が入れ替わっているが、少女がそこにいる風景は同じと思えた。



           sakuraさんの記事へのコメント からのつながりでこの記事を書きました。



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ほしいもの

テーマ:

ほしいものは ほかでもない

ときめくこころ


些細なあなたの言葉に震え

触れ合う指先からはしった稲妻に撃たれて 

螺旋のようにねじれた

あの日の


いまははやどこにも無くて

想い出も消え果てるばかりの


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妻が高峰秀子の伝記を読んだつながりで、数日前のBS2で「妻として女として」を観かけた。観かけたというのは、時間が遅くなるので妻は途中でもう寝ると言い出し、私も、途中から観かけたのだが、一応録画体制をとってあるので後でいいやと観るのをやめたから。

愛人に銀座の店まで持たせた大学教授が何やら愛人と縁を切ろうとしていて、それまで表向き仲良しに見えた妻と愛人がぶつかるという話のようだが、筋は陳腐といえば陳腐な話だった。正妻に子どもができず愛人が生んだ子ども二人は本人たちが知らないままに正妻が引き取って育てている。その時の妻と愛人の約束は、何があっても子供のことは蒸し返さないということだ。

話の結末は知らないが、愛人が妻と話し合うとき、あなたには何もあげないという正妻に、私もあれだけ尽くしたのにと愛人が言うと、あなたが尽くせば尽くすだけ私を傷つけていることにどれだけ気付いていたのか?と妻が反論する。

私はそのやり取りにいつもながら強い違和感を覚えた。いつの間にか男は二人の会話の中では人格も主体性も失ってしまっている。

共存しているのならそれでいいけど、こんな風にぶつかり合い始めたら、そのときこそなぜ彼女らは男を前にして連帯しないのだろうと、若い頃からいつも思っていた。

1960年代の映画で映し出された生活様式の中には懐かしい景色が一杯あって、ALWAYSのあとに続く時代の様子がよく分かるのだけれど、ちゃんと後で見て楽しめるかどうか怪しい。

それにしても、淡島千影と高峰秀子のやり取りはなかなか見ごたえがあった。


これが「既婚者の恋」となれば、また話は違うのかもしれない。

へたれネコ

テーマ:

昨夜ダイニングの窓の外でギャオギャオと猫の大声がした。妻が窓を開けてみたら、いつも我が家の庭を徘徊している白黒のトラネコと、もう一匹が走って逃げたという。

我が家のネコはi居間の床暖房で快適に寝ていたが、声を聞くと飛びおきてダイニングにやってきた。いつもは窓の下に置いたストーブを踏み台にして窓枠にのり、窓を開けてやれば外に飛び降りていくのだが、今日は妻はすぐに閉めてしまった。我が家のネコはすぐにそこから出るのをあきらめて、居間に戻り縁側から外に出る構えでニャアニャア鳴いた。それでも放って置いたらまたダイニングに来て、外へ出たそうにしていた。

いつもに似合わず三度ばかりあくせく部屋を往復しているので、外の騒ぎに合流したいのだろうと、縁側を開けた。寒気が流れ込むのにネコは座り込んで外の闇をじっとむるだけで、縁側から動こうとはしない。あまり寒いのでガラス戸を閉めてしまった。ネコは何事も無かったようにまた床暖房で寝始めた。

妻は、「いかにも私の縄張りなのよ、おけないわみたいな振りして外に出たそうにしてたけど、結局何もしないわね。」

と、少し軽蔑したような感想を述べた。

ネコの発情期。不妊手術をしてしまったから、もうそういう気持ちにはならないのだろうか。

そうなら、へたれと呼んではかわいそうだ。

秋刀魚と大根

テーマ:

寒さがきついし天気もいいし秋刀魚も安いというので、妻は秋刀魚をたくさん買ってきた。

秋刀魚は塩水に一晩つけておき、翌日水洗いして表面の塩を落とす。後は抜け落ちないように尻尾を縛って数日から一週間干しておく。鼻先から少し血や汁が落ちるので、下は汚れてもいいようなところが良い。

生の秋刀魚より味わいが濃くなって、とてもおいしい。

奥に見えるのは庭で取れた大根の切干。大根も取れるときは一杯取れるので切干にしておくと一年中使える。

いずれにせよ、私は一切手を触れていない、全て妻の収穫物。

そうだ、秋刀魚の尻尾を縛るやり方だけは私がうまいと言うので私の仕事。尻尾を引っ張るとしまるような結び方だが、教えるよと言っても、あなたの仕事がなくなるからと、妻はおぼえようとしない。

野菜つくりもジャムやお菓子作りもそうだけど、こんな風に加工品を作っているとストレスがなくなるのだという。

とても結構なことだ。

秋刀魚と大根

北斗七星

テーマ:

朝五時半に新聞を取るため外に出た。北に向いた玄関を出てまだ暗い空を見上げたら、隣家との間の夜空に北斗七星がぴたりとおさまって横たわっていた。

目覚める直前に見ていた夢は、顔に見覚えの無い若い女性との会話だった。すでに前後の状況はすっかり溶けてしまって思い出せないが、私が何かを諭し彼女はうなづいて、「分かったわ、私は皆さんの北斗七星になるわ」と答えたのだ。私は「そこは、みんなの道しるべになると言うことなら北極星になるといったほうが適切じゃないか」とさらにえらそうなことをいい、また彼女がうなづいた。

脈絡不明の夢だけれど、実際に北斗七星に出会ったので、不思議な符合を感じた。

この時期一番目立つ星座で、毎日見ているからそんな夢を見たのだろうか。

あなたの…!

テーマ:

朝食の後、日本テレビ系の「いつみても波瀾万丈」をみていた。

登場人物は「高嶋ちさ子」。ちょっと変わった女の子という感じだったが、最後まで見てしまった。

終わりのところで出てきたオージオ化粧品のコマーシャル

韓流系らしい男が出てきて、海の中で「あなたが好きです!」と日本語で叫んだ。おや、と思ってみていたら

「あなたのハダカ、大好きです!」と続けた。

そりゃそうかもしれないが、こんなところで叫ぶのはちょっとはしたなくないかと思った。

もう一度カレが繰り返した。今度は少し違って聞こえた。

化粧品はスキンケア系の品物らしかった。


イントネーションが微妙に違っていたのだ。

栗原はるみ

テーマ:

朝日新聞を定期購読している。

本紙よりも最近では土曜日の特集が楽しみだ。私は愛や恋の話。妻は生活の特集。

今日の土曜日特集Beは「栗原はるみ」。

「私この人はいいなあと思うのよね」と妻がいうので読んでみた。

全く知らい人物だったが、才能もあり努力もし幸運にも恵まれ、結果的には幸せな人生を送っている人だということは分かった。

素敵な女性だ。

なるほど、妻はこんな生き方・人生にあこがれるのか、と思った。

私が同じように誰かの人生を「こんなふうに生きたいんだよ」とか、「こういう生き方はいいなと思う」と妻に見せるとしたら誰の人生だろう、と考えた。

しばらく考えたが、思いつかない。もう少し考えて、「藤沢周平みたいな人生がいいな」と、ちょっと思った。

成功してからの姿や作品しか知らないのだけれど、一瞬だけ、子どものように憧憬の念を持った。

牛肉

テーマ:

2月になったら、「魔法のかけっこ」をしている女性と映画を観て、その後おいしい焼肉でも食べようかと考えていた。

なんだか、牛肉を食べる気分ではなくなってしまった。

好きなんだけどなぁ。    

ぁ、牛肉が。