2003/2/10

テーマ:
2003年2月10日の日記。
未だ東京に住む前。新鮮。

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10日

 東京二日目。
 今日はいろんな初体験がありました。ある意味、あっちの初体験よりよかったかもしれないと思うような初体験です。

1新宿ぶらぶら節

新宿をぶらぶらしました。もちろん新宿は初めてではありませんが、見た人々が初めてでした。まず、新宿駅東口を出ると、ソウルフルな声でなにやら聞き取れないセリフを連呼する浮浪者を見かけました。誰に話し掛けているのか全くわかりませんが、「おい、おまえの%&‘$#!&?+??」みたいなこと言われても人々も心得たもので反応しません。また東口には映画の壁看板がいっぱい並んでるんですが、その中の一枚が映画ではなく「歌舞伎町ホスト連合 yan-yan」という、人気ホストユニットみたいなのの看板です。何を訴えたいのかわかりませんが、それぞれの顔を名前が書いてあり、キャッチコピーは「この看板の前で皆さん待ち合わせしてください」です。怪しすぎて待ち合わせできません。

さて、新宿にきたのは何のためかと申しますと、「ドンキホーテ」に行くためです。ドンキホーテはディスカウントショップ業界では多分日本で一番有名なチェーン店で、あのダウンタウンの松ちゃんもしょっちゅう買い物に来てるとのこと。友達曰く「ドンキはアメ横のデパート版」。ならば、行かないわけにはいきません。突撃しました。
まずビビるのが店内の狭さ。ほんと、手ぶらでいかないと通れないんじゃないかってくらい物が溢れてます。入り口を入るやいなやコスプレ衣装のオンパレード。バニーガール、ミニスカポリス、看護婦、チャイナドレスなどなど所狭しと並んでいます。2階にはブランド物の時計やら小物があふれ、3階は電化製品といった具合ですが、共通して言えることは、まずアメ横よりは怪しさ度数が低いということです。これにはがっかりしました。めったにお目にかかれない珍品やバカグッズ、エログッズに出会えるかと思ったらそうでもなく。あと、あまりにモノがありすぎてどこに目をやったらよいのか困ります。慣れれば突っ込みどころ満載なことに気付くのかもしれませんが、今回はあまり突っ込みたくなるような商品に出会えませんでした。まぁ、ディスカウントショップだけあって、電化製品なんかは普通の電気屋に比べれば確かに安かったですが。結局方位磁針つきのカラビナ(カギとかつけてベルトループに引っ掛けるフックみたいなやつ)を買うにとどまりました(後で気付いたんですが方位磁針は壊れてました)。


2秋葉原オタク

 次に訪れたのは秋葉原です。僕、別にパソコンオタクじゃないんでそういうところには全く興味がありません。じゃあ何でいったのかといえば、いわゆるオタクって呼ばれる人々はホントにいるのか?ということを確かめたかったからです。それは一昔前に女子高生がシブヤにギャルはいるのかを確かめたかったのと似た心境です。電気屋が建ち並ぶストリートを歩いていると、まず行き交う人々のファッションが大変個性的です。あまり書くと不快にとられる人もいるかもしれないのでXY座標で表現します。(X,Y)=(-11,125)って感じです。判断はお任せします。ストリートを歩く人々の会話も他の街とは違います。まず、アルファベットが多く出現します。「ユーエスビー」だとかそんな類の、かといって聞きなじみのないアルファベットの羅列です。次にゲームソフトの名前と思われる単語がよく使われます。年齢層は下は18くらい上は40くらいまでがこの類の会話をよくしています。あとストリートに出てる看板はアニメが多いです。ロリ顔の女の子のイラストが至る所で使われてます。これが「萌え」ってやつなのかと思いました。


3乗り逃げ・顔なし・やっさん

 さて、亜空間アキバから脱出し仙台に帰ろうと思いたどり着いた東京駅。丸の内線の地下鉄を降り、自動改札によろよろと疲れた身体を引きずっていきました。その自動改札の10m手前で、事件は起きました。
 ふと改札の向こう側に目をやると、なにやらホームレスがもじもじとしています。「東京はホームレスが多いなぁ」と思ったその瞬間、そのホームレスは何を思ったか改札に猛ダッシュで突っ込んでくるではありませんか!!?(けど、スリッパかなんかを履いているらしくあまり速くはなかった。)そのホームレスは自動改札機脇の駅員の前の通用口(ここだけ車椅子とかが通れるように手動になっている)に勢いよく突っ込み、駆け抜けました。
 
 駅員「あっ!?お客さ~ん??」
 あっけにとられながら、ホームレスに向かって手を伸ばす駅員。
 
ホームレス「ねぇんだよっ!!」
 
 彼はそのまま10mほど走り、「ったくよぅ…」と言葉にならないような呟きをもらしながら歩き去りました。
 これが乗り逃げか!?乗り逃げってやつなのか!!?と思うと同時に、不謹慎にも笑ってしまいました。だって乗り逃げするやつが駅員に「ちょっと」と呼び止められて、乗り逃げの理由(金がない)ってことを即座に答えるこの構図、素晴らしすぎます。いやぁ、東京ってすごい街ですね。

 で、新幹線に乗ろうと八重洲中央口でボーっとしていると、今度は別のホームレスが改札わきの柵のところで「あ~っ、あぁ、あ」と、まるで「千と千尋」の「顔なし」のように呟いてます。そのホームレスからねじれの位置にある別の改札では関西人と思しきオッサンが駅員相手に「なんでやねんっ!!なんでやねんっ!!」とやすし師匠再来といった感じで指差しながらいちゃもんつけてます。疲れた僕はもう、どうでもよくなりました。東京なんて、やっぱ東京なんて・・・。そう思いながら頭に流れるのは桑田圭祐の「東京」なわけで・・・

 仙台ってそういった意味では落ち着いた街ですね。
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たぶん21歳

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たぶん21歳のころにフリーペーパーに書いた物語。
いまから10年前は近いようで遠い。

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velvet blues11

 「トゥナアァァァァァイ~アィムロックンロォォォォルスタアァァァァァ!!」
 夜8時ごろ、川縁を歩きながら頭の中に聞こえた。下手なアマチュアバンドのボーカルが、恍惚と興奮の表情でうたってた。へたくそ、青柳。
 今日はジーンズを穿きたかったから、いつもの黒いズボンはやめた。ジーンズを穿いたら、今度はオールスターが履きたくなったので、2年ぶりくらいに靴箱の中からボロボロの黒いオールスターを出した。夏のくせに異様に涼しかった8月に申し訳なく思ったのか9月の今日はほんのりじっとり暑いので、もらいもんの尚絅女学院高校のQちゃんTシャツを着た。このTシャツ、オバQくさいがあくまでそうではないキャラが胸のあたりにプリントされていて、パチもんなところが結構気に入っている。誰が見ても今日の俺は明らかにやる気がない。
 3本目の缶ビールを片手に、街灯もまばらなドブ川沿いに歩いていると吐き気がする。けど、吐かない。いつもにも増して残暑残る郊外の川沿いは儚い。濃紺の筋が黒い川の流れの上に浮かんで、耳に入る蝉の鳴き声は侘しい。

 俺は、何も知らない。若干、酔っ払っているだけだ。

 下品な落書きがされた白いガードレールを見た。0990-××××-○△□×サイコーだったらしい。これは何か役に立ちそうな気がする。携帯を出してメモっておいた。思わずそのまま通話ボタンを押してみようかと思った。そうすれば、この侘しさも儚さも一層の厚みを増すような気がした。けれど押さなかった。後でネタにされてもあんまりうれしくない。菅野美穂似の子にしてくれと言ったのに、実際出てきた女の子はメイクの仕方を最近覚えたような幼児体型のともさかりえリミックスみたいな子だったので、金返せと心の中で叫んだあのキャバクラみたいなところにつながったらイヤだ。実際は菅野美穂より釈ちゃんのほうが大好きだ。優香も好きだ。
 「トゥナアァァァァァイ~アィムロックンロオォォォルスタアァァァァァ!!」
 またきこえた。もうオアシスはやめてくれよ。不細工ギャラガー兄弟め。川沿の侘しさを吹き飛ばすようにダンプカーが道路を走ってくる。蝉の声も、ドブのせせらぎもエンジン音にかき消されて、ハイビームのライトが暗闇を切り裂いて進んでいく。俺はダンプが視界から消えるまでずっと目で追っていった。すぐに消えた。

 そして、静寂。

 排ガスのにおいが鼻をむずむずさせる。ぴくぴくと少し痙攣ぎみな頬を右手で撫でて、そしてつねった。本気でやると痛いので軽くつねった。いたいふりをした。「いってえ」手は抜いたが、痛いのでこれは夢じゃない、けど別にどうでもいい。夢でもかまわない。いつのまにかもたらされた静けさに浸る。静寂で深みを増した夜の下で、俺はQちゃんマガイのTシャツを着て、ひとりドブ川のそばでビールを飲んでいる。怖れ知らずだと思って、ちょっと笑った。

 なんとなくやってみたかっただけだ。だから俺は、何も知らない。

 排ガスが風に流れた後は、それほどの侘しさも儚さも感じなかった。むしろ心地よい夏の風だけに気を止め出した。延々川縁を歩くことで、俺は自分に艶がつきはじめていることがわかった。だが、それ以上は、何も知らない。考えなくなったというよりは、知ろうとしていないから、知らないんだ。

 子供のころからルー・リードが好きだった。
 うそです。

 そう、正直に言えるようになった。と同時に知ろうとしない性向が如実に現れてきた。『麻薬をしない勇気、大切にしようね』も知らなければ、気持ちいいセックスもいまだ知らない。寝るときに足の下にクッションをおくと足の疲れが取れることは最近知った。左手の薬指にはめた指輪が結婚指輪だということは18ぐらいのときに知った。別にどこにしててもいいんじゃないかなぁ。牛鮭定食の鮭は実は鱒だってのを知ったのは、20のころ2,3回遊んだ女の子が教えてくれたからだ。
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