今日は利用者が亡くなってからについて少し話をしたいと思います。

 

 

スウェーデン語で「Fonus」と呼ばれる葬儀屋。

私たち介護士が彼らと接するのは、主に遺体搬送時。

死亡診断をされた利用者を施設から遺体安置所へ搬送する時には、

必ずこのFonusへ連絡します。

 

ちなみに、スウェーデンでは葬儀をすぐに行いません。

葬儀が行われるのは利用者が亡くなってから約2週間~1か月後。

何故そんなに後に葬儀をするのかと言うと、

人を集めたり、準備をしたりするには時間が必要で、その準備が整うのが大体1か月後ということです。

(最初に聞いた時はびっくりしました。1か月後?!って^^;)

 

利用者が亡くなり、家族も最後のお別れをした後、私たちはFonusに電話をして、

利用者のパーソナルナンバーと住所を言い、遺体を引き取りに来てもらいます。

すぐに来てくれる場合もありますが、搬送が何件も重なっている場合だと、

朝亡くなっても、夕方になることもあります。

 

Fonusの人たちは、基本的にいつも2人の男性で、

スウェーデンでは珍しい黒いスーツにネクタイをしめた正装で必ずやってきます。

スウェーデン人は冠婚葬祭以外でスーツにネクタイという服装をしないので、

仕事としてスーツを着ているのは、彼ら以外に今まで見たことがありません^^;

まぁ、仕事の内容が葬儀なので、当たり前と言えば当たり前かもしれませんが。

(私の「仕事=スーツを着ない」という思考回路が、すでにスウェーデン化してますね^^;)

 

スーツの彼らがストレッチャーを持って、利用者の部屋へ行き、

数秒、黙とうを捧げたあと、貴重品を全て外し、足首に付けられたパーソナルナンバーのタグを確認し、

遺体をストレッチャーに移し、上からカバーをかぶせ遺体搬送車まで運ばれます。

 

 

この時が、私たち介護士と利用者の最後の別れになります。

どんなに心の準備をしていても、何度経験しても、この時ばかりは、

Fonusと利用者が出ていったあと、ドアがパタンと閉まると、ウルウルしてしまいますね。

もう会えないんだという寂しさと、安らかに眠って欲しいという思いが入り混じります。

 

ただ、そんな私たちの思いをFonusの人たちも察しているんでしょうね。

彼らは何人もの遺体を搬送してきて、搬送時に周りにいる人のことも考えなければいけないので、

いつも優しい言葉をかけてくれたり、少しジョークを言って笑わせてくれたりします。

スーツに身を包んだスウェーデン人の優しい言葉は、毎回心に沁みます^^