「たいせつなこと」

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「たいせつなこと」
マーガレット・ワイズ・ブラウン さく/
レナード・ワイスガード え/

うちだややこ やく (フレーベル館)


「さんびきの ちいさい どうぶつ」と同じ作者です。

好きになると作品全てをチェックしたくなる傾向は

小さい頃からです。

読み物も、漫画も、音楽も。


ヒットが出ると作家の作品全てをチェックするのは

書店員の大事な仕事です。

第2、第3のヒットが過去の作品に見つかるかもしれません。

そうやって掘り起こすことで、新刊ベストセラーばかりではない

お店のカラーにあったオリジナルなベストセラーを作れます。

そのバリエーションが豊富であるほど

深みのある棚作りができるのです。


書店員時代は手つかずだった絵本ジャンルに

いよいよハマって集めだしたら、

生来の性質と書店員の手法がコラボして

バチバチ火花を散らして炸裂。


重要作家は棚の柱になります。

重要作家の重要作品は宝物です。


わたしがプライベートに作りかけている絵本棚。

マーガレット・ワイズ・ブラウンは最も重要な柱のひとつです。


お宝がてんこ盛り。


一冊一冊の作品がキラキラ光るお宝だけど

作者のつながりで読んでいくと

生みだされた背景、作者の世界観が見えてきて

すると一冊の味わいがさらに深まってくる。

絵本にハマった初期に、子どもに読みながら

途中でどうしても泣けて読み続けられなかった

「ぼく にげちゃうよ」


永遠のベストセラー

「おやすみなさい おつきさま」


ものすごく可愛い視点からとらえた

ものすごく大きなスケールの世界観が描かれている

「ちいさな島」


名作はまだまだ続きます。

なにしろマーガレット・ワイズ・ブラウンは

現代児童文学絵本作家のフロンティアで大ベストセラー作家。

1950年代のアメリカでは書店の絵本コーナーが

彼女の作品だけでいっぱいになってしまうので

同じ名前ばかりが並ばないように

いくつものペンネームを使い分けていた。というほどの多作。


それまでは古典的なおとぎ話(むかしむかしあるところに)

が主だった子どもの本に

「HEAR and NOW (ここで今)」のコンセプトを取り入れた人。


マーガレットが鳴くなって50年後を生きているわたしにも

リアルに響く「いま ここ」。

人間にとって幸せの本質をズバリと掴んで

表現できるすごさ。

大変な美人だったそうです。

作品も人生も興味深い。


「たいせつなこと」は

絵本セラピストの勉強に通った講座で読んでもらって知った

絵本セラピー®にぴったりの、大人だからより深く楽しめる絵本。


ここで「絵本セラピー®」について少しご説明。


自分で文字を追わずに読み聞かせをうけて

目は絵に集中して耳から言葉を聞いてみると

理解知識の左脳ではなく、右脳が働いて

イメージが膨らみ感情が動くとの研究結果がでています。


シンプルな言葉が心に入ると

意識していなかった深いところから

これまでの経験の記憶や感情が浮かび上がってくる。

忙しい日常を過ごすためのフタが

絵本を介することでふと緩んではずれると

自分自身の本心からのメッセージを

受け取ることがあるのです。


数人が集まり、和やかに絵本を楽しみながら

落ち着いて自分の心の声に耳を傾ける。

浮かんできた気持ちを言葉にして

その場で共有することで

新たな気付きや癒しを体験する。

それが絵本セラピー®です。


絵本「たいせつなこと」は


そのものにとって「たいせつなこと」が

たんたんと描かれています。

「グラスにとってたいせつなのは 

むこうがわがすけて見えること」


「りんごにとってたいせつなのは

たっぷりまるいということ」


「そらにとってたいせつなのは

いつもそこにあるということ」


「あなたにとってたいせつなのは

あなたがあなたであるということ」


ここにある、ここにいる、ということを

全面的に肯定されるって

ものすごく大きな愛です。


「あなたがあなたであること」が

最も尊重され、最優先される。


この絵本から受ける静かな力強さは

そのダイナミックな肯定感。


甘さや感傷のないドライで超現実的な空気漂う絵が

メッセージをよりリアルに際立たせています。


読めば自分が許されて、自信がつくような気がするし

誰かの顔が思い浮かんで贈り物にしたくなったら

それはきっとその人への愛情の表れでしょう。


そういう時はぜひ

「読んであげる」ことを お勧めしたいと思います。


それから、誰かに頼んで「読んでもらう」

のも 素敵です。


自分で文字を追うのとはまた違う

とても新鮮な体験になると思います。


それと、これは絵本ナビのレビューを読んで

知ったのですが


最後のページの手書きの文字は

訳者のうちだややこさんの旦那さんの

本木雅弘さんの字なんだそうです。


ご夫婦の信頼関係が見えるようで

なんとなくあたたかい気持ち。

真摯な心が伝わる硬派な愛の絵本だなあって

本木雅弘さんの真面目な字を見てたら

思いました。
















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