【墜空】


お久し振りでございます。皆様お元気にしておりますでしょうか?
遅くなりましたが、明けまして。今年この一年、皆様へと良い風が吹きますよう………


という訳で(どんな訳だ)久々の更新でございます。
本当ならば停滞しているお話達の続きをと思っていたのですが、半年以上お話を書いていなかったので鈍った頭を回転させるべく今回は短編を一つ。
このお話、実はキュヒョン氏sideと兄さんsideといった二つを書こうと思っていたのですが……またそれは時間の許す時に。


ではでは参りましょうっ!!お久し振りだよ兄さんキュヒョン氏織り成す恋愛ホニャララだーーーい(は?)今度も甘く出来てるのかな?いやいや偶には甘さ控えめバッチコーイ!!なーんてどっちも好物だよっと言ってくださるギュイェ好き様はどぞっ!!









彼へと雲という名を与えた両親は、彼の未来を予見する力でもあったのだろうか?

掴もうとしても掴み取れず、なのにその存在感は決して消え失す事がない。見る目によっては幾様にも姿を変えて、数多の心を魅了する………
その姿を隠すモノは無く。闇夜の空すら支配する、そんな静かで大きな存在。全ての目から隠したいのに、それは叶わぬ世迷い言……

そんな雲の様なあの人を。

自由に浮かぶあの雲を、隠し奪えないのなら。
雲と対なす空になりたい………


そう思い至った瞬間に。



雲の名を持つあの人へ、僕の心は堕ちていた。






【墜空】






「これ、借りていいですか?」

気だるげにソファへ身を沈めて。手にしているのは面白味の欠けた陳腐なゴシップ雑誌。そこへと列んだ文字を、貴方は本当に読んでいますか?

「借りてもいい、ですよね?」

返事が無いのは何時もの事。二度目の言葉にチラリ動いたのは視線だけ。
俯く顔は動かないのに、目だけを動かすなんて……何時もながらの反則だ。涼やかな切れ長の目は、受け取り用によっては睨みを利かせる鋭い瞳。
だけれど自分に向けるソレは違うモノだと知っている。だってほら………

「お前の場合、貸してじゃなくて『欲しい』だろ。」

睨みを利かせる瞳に反して、口元は緩やかな笑みを称えて。綻ぶ頬は彼の嘘を如実に表す。

「僕は『貸して』と言ってるだけですよ?」

言いながら突き出す自分の腕には、彼の愛用する腕時計が一つ。コレを彼が気に入っているのは知っている。大事にしているからこその、だからおねだり。

「それで何個目の戦利品だ?」

「戦利品だなんて、人聞きの悪い。」

いつもの押し問答。だがコレをするのは、彼とだけ。
他の兄達へは借りてもいつも返している。なにより欲しいだなんて1ミリも思いはしない。
思う筈が、ない。彼の他には………

「なら、買い取るか?」

「やですよお金で解決だなんて僕は快く譲って欲しいだけなんですから。」

「って心の声ダダ漏れてるぞお前。」

ほら目元の嘘も、いとも容易く落としてしまう。
興味のナイ手元の陳腐な羅列より、目の前の空の方がよっぽど魅力的なのに。貴方はなぜ僕という空にはまだ浮かばない?

そう言えたらば……どんなに楽なのだろうかと。
弱い自分は何時も心に思うだけ。
こんなんじゃ、何時まで経っても彼を浮かべる広い空には、決して成れない……

「………出掛ける時間。」

「え………………あっ。」

堕ちる思いを止める声は、いつも彼が発してくれる。
そんな時は何時だって、誰もが見惚れる笑顔を乗せて。

「デート、だろ?」

チャンミナと。なんて心臓に悪い事を言いながら、クスクス笑う姿は美麗。自分を弟とでしか思っていない彼からしたら、単なるソレは冗談だろう。
だけれどデートと名のつくモノは、全て貴方とだけだと自分は決めている。

「ほんと、悪い雲………」

「は?」

「………………行ってきます、ジョンウン君。」

「おまっ!兄貴に対してっ」

小さな反撃一つ残して、声を背中に宿舎を後にした。





「ただいま………」

深夜の二時に帰って来れるのは奇跡に近い。親友と呑めるのは最近稀だから、帰宅は明け方なのだと自分も周りも勝手に決めつけ外出をした。なのに思わぬ早い帰還を果たした理由は、酔いに負けてしまったせい。

「返事なし………か。」

玄関にあった靴は、自分の他には一つだけ。他のメンバーは確か仕事で遅いと聞いた。
だから敢えて帰還を告げる言葉を告げたというのに、だ……

「お年寄りは、寝てる時間ですもんねぇ……」

どうやら自分は思いの外酔っ払っているらしい。漫画の様に独り言を呟くなんて、酔ってなければ普段の自分には出来ない事だ。
意志とは反してユラユラ揺れる身体にも、思わず笑いそうになる。

「僕がご帰還、ですよ~……」

コツリ付けた額の先には、冷たい扉が無言を貫く。

「……………酔っ払いは…これだから………」

自虐めいた言葉は、自分の中で仄かに残った正常な思考だろうか?
そうだ。酔って此処へと入る時、何時もこの言葉を言っている気がする………
それにすら笑いそうになりながら、カチャリ静かにノブを回した。



「不法侵入………」

軋むベットの音と共に背を向けた目前の身体へ回した腕。それと同時に響いた声に、酔いとは別の熱が上がった気がした。

「不法じゃないです……お邪魔しますって、言いました……」

背中へと額を軽く押し付けて、無意味な抵抗を試みてみる。

「ベットに入る時に、だろ。」

付けた額から彼の低い声が響きを通して自分の身体へ流れこむ……この感覚が好きだから、酔った時にはこれが癖となってしまった。

「不法侵入に加えて睡眠妨害の罪にも問われたいか?」

「ならヒョンは………嘘つき罪に問われちゃいますね…」

我ながら何を言ってる酔っ払いと思ってしまう。だって起きていたなら返事をすればいいのに。寝ているフリをするなんて、嘘つき以外のナニモノでもないじゃないか。
告げた言葉に背中が微かに震える振動で、相手が笑っていると気付いた。

「ったく……酔うと何時もコレだ……」

困った奴だと笑う手が、腰へと回した腕へと触れた。

「……………窃盗罪……」

直ぐにその手が腕時計を外すのだと気付いて拒めば、「寝るなら外せ。」軽くいなされ外されていく。俺のだろうと言われない辺り、やっぱり優しい兄は健在らしいが。優しい兄なんて、要らない………

思っても、出るのは違う言葉ばかり。

「暗いのに、器用ですね……」

「何時間も暗い中で起きてたら、目も慣れる。」

「………相変わらずの不眠症……」

というかだから起きてたならお帰りくらい、言ってくれても良いものだろう。
思っていたらアクビだろう小さな息が漏れる音が闇夜に静かに響いた。

「眠いんですか?」

「背中にカイロを背負ったからな……酒の臭いは余計だが。」

酒臭いと暗に言われて思わず苦笑した。そういえば、彼は酒の臭いが余り好きではない。叩き出されないのは、何故?
何時もよりも酔った思考が、淡い期待を胸に広げる。

「折角帰って来たんだし、遊びましょ?」

「子供かお前は……朝が早い。」

今日は朝一番で目前の相手は収録があった気がする……けれど今はまだ、寝たくは、ない………

「子供ですよまだ僕は……子供だから………酔うと我が儘が言いたくなる………」

これは相当酔っているのかもしれない、そう思う。普段の計算尽くした我が儘とは違う………抑え切れない言葉が出そうで、目前の身体に回した腕へと思わず力が入っていた。

「っ……腰骨折るつもりかお前は……」

はぁ……小さな溜め息の音。同時にポンポンと宥める様に手の甲を叩かれて、気付けばその手を抑えて指を絡めていた。

「……………キュヒョナ……?」

今日初めての、自分を呼ぶ声……
『お前』とばかり言われるからか、こうして名前を呼ばれると。余計に抑制が利かなくなる……

「僕の欲しいモノ、くれたら……」

物なんかじゃない、それは今まで言えずにいた……

「本当に本当の……一番欲しいモノを、くれたら……」

そうしたら、眠らせてあげます。

「……盗賊よりもタチが悪いな……お前。」

今度は何が欲しいって?この前良いって言ってた服か?店で出してる新作眼鏡か?

そんな事ばかり聞いてくるから、酔った頭が痛みを発した。

「『物』じゃなくて……『モノ』が欲しいんです。」

言った瞬間、マズイと思った。
だって………

「………欲しいなら……判るように、ちゃんと言え。」

ただでさえ今日は思考が勘違いを起こしているのに、こんな風に言われたら。

「……………が、欲………しい。」

「………聞こえない。」

こんな風に言われたら………酔っ払いは、バカみたいに期待するから。



「………ヒョンの、心が………」

言えずにいた想いを………もう、止められない。


自分を好きだと、他の好きとは違う【好き】というその心が………



「僕を好きになる貴方の心が………欲しい………」



「……………………それは……無理だ。」



言われた瞬間、先程よりも強い力で目前の身体を抱き締めていた。

嗚呼だから酔っ払いは嫌いなんだ。
酔ってバカ言う輩にだけはなりたくない……だから酒にも強くなったというのに、だ。

なんで………なんで今まで我慢していた言葉をココで出してしまった?
今までの関係を崩す位なら……弟としてでも好かれていたいと、そう願って黙っていたのに。
今この瞬間数秒前の言葉を全て消し去りたい……

そう、願い祈った闇夜に小さな二度目の溜め息。



「だから腰骨、折りたいのかって……」

低く小さな声の響きは何処か優しく穏やかなモノ。なのに腕を剥がす力は声に反して最強で。

「元々ある【好き】を今更、どう【好き】に変えろって?」

「……………………は…?………え………は??」

自分は酔い過ぎてどうにかなってしまったか。
というか何を言われたのかが判らず理解も出来ない言葉の吸収すら出来ない。

「やっぱり子供だな……お前は……」

闇夜に慣れた視界には、白く綺麗で見惚れる顔が間近で呆れた様に微笑む。

「知ってるか?欲しい欲しいは子供の特権。大人になっての欲しいはな………?」



思うだけじゃ、手に入らない。



「相手の【想い】が欲しいなら、伝える言葉は別にあるだろ。」



【モノ】は【物】じゃナイのだから。



「求めるなら………先ずは与えろ。」




やっぱり自分は、この雲を手に入れるにはまだまだ子供なのだと思う。
幾様にも形を変えて、こうも人の心を簡単に魅了して。何を考えているのかも、その心すらも掴ませないのに。

なのに…………

「あ、なたが………好き………なんです…………」

なのにこんなにも、容易く他人の想いを掴む。

「僕は貴方が………」

「貰ったから…………俺も、やる。」


言われて落ちてきた唇に、一気に酔いが冷めていく。
ずっと抱いていた想い。苦しくて辛くて切なくて。どうしたら彼をとあんなに悩んで考えて……
結局自分で動けないまま、相手に促される体たらく。挙げ句発した言葉も途中で雲へと遮られてしまい。


「チャンミナに頼んで正解、だったな。」


ニヤリ笑って離れていった唇に、痛んだ頭へ第二の痛みが訪れる。



「【欲しい】だけじゃ、手に入らない……だろ?」



本当に悪い雲だと思う。
盗賊はどっちだろう?
堕とそうと想って願って拱いて。結局堕ちていたのは自分の方なのかもしれない。

「だからあんなに、発破かけられたのか……」

少し前に共に呑んでいた親友……もとい悪友の顔が浮かぶ。そのせいでこんなに酔って体たらくを晒しているのだが。
それより何より今は………


「もう一度、していいですよね…?」

直ぐに離れていってしまったあの熱を。

「好きだから……貴方の全部が、好きだから。」

だから。


「貴方からの好きを、もう一度。」


「………キス一つ強請るのに、いきなり与えるモンが多すぎなんだよ、バカ………」


涼やかな切れ長の目が好きだ。冷めたフリして本当は何時だって見守ってくれる心も、呆れたフリして笑う笑顔もこうして強い口調で怒りながら、それでも静かに熱を寄せてくれる貴方も……
その全てが好きなのだと。

今まで言えずにいた全ての想いを………


言葉と共にその心へと。



自分の手の中へと堕ちてほしいと願った雲。空となって、雲と対になりたいと願ったけれど。





貴方を浮かべる空であるより。雲に堕とされた空というのも、ありなのかもしれない。







END







久し振りに書いたらば、着地点を見失っている様な……?(汗)強気兄さんと弱気なキュヒョン氏ってぇ今回の構図……突発で書いたので、暇つぶしと流し読んでいただければ。

ではではまたお会い出来る事を願いつつ………

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【Lips(前編)】


暑い日が多くなった昨今。皆様どの様にお過ごしでしょうかお久しぶりです胡蝶にございますよって、あ、知ってる?
いつの間にやらGWも終わった中。今日も今日とて私はギュイェワールドへと頭からドップリ浸かっていたりたり(笑

はてさて今回は久しぶりな短編を書いてみました。
というのもこの度アメンバ様が400という数字へと達しまして……最近では滞る更新である此処を、それでも訪問して下さる皆様へと感謝と御礼を。
とは言っても私の出来る事はお話を書く事位なので……

皆様へと私とウチの二人から「ありがとう」を心から。あ、でも期待はしないでくださいましね私の書くモノなのでヘンテコワールド全開やもしれませぬ故←



それでは参りましょうっ!!
久しぶりな短編は前後編だよっ!今回の二人はどんななの?勿論えっちぃ場面もあるよね?なーんて私同様、何処までも貪欲に二人を好きだと叫べるえっちぃ方はどぞっ!!(おまっ










【Lips(前編)】



穏やかな風が流れる春を過ぎ、そろそろ陽射しが体を強く差し始める夏の訪れを感じる頃。

突如訪れた二日間の休暇をメンバー達はそれぞれに満喫していた。ドライブと託けて朝から出掛ける者も居れば映画やショッピングをと午後から出てしまった者も居る。
そんな中でイェソンは自室にて。ベットヘッドへと背を預けたまま緩く訪れる午後の空気を満喫していた。その耳はイヤホンという名の機械で覆われて、膝の上へと乗せた雑誌を目で追いつつ口元は仄かに小さな音を奏でる。

イェソンという人物は同時に数種類の動作を行える体質らしく、その光景を見る度に「楽しめてるのか?」「疲れそう…」等と皆が口々に言っていたりするのだが。
今まさにその光景を目前に軽く溜息を吐く人物が一人。

(また歌ってる………)

部屋のど真ん中。その床へと腰を下ろし、同じ様に床へと置いたノートパソコンのキーをパチパチと鳴らしながら。キュヒョンは毎度の事ながら目前で繰り広げられる光景に一つ溜息を吐き出した。
普段から休日は共に同じ部屋で過ごす事の多いキュヒョンとイェソン。今日も今日とて当たり前の様にイェソンの自室へとパソコンを持ち込み同じ空間を静かに共有していたりするのだが。

(誰の歌だろ……)

キーを叩く音に紛れて聴こえてくる声は本当に僅かな音。だがその音は静かな室内へと緩やかに落ちていき、キュヒョンの耳へと心地良く響いていく。
毎度ながらのイェソンの行動に半ば呆れはするものの、彼の声が知らない歌を奏でるだけで興味の対象となり得るのだから不思議だ。
それはキュヒョン自身がイェソンの声とその歌唱力。そして人へと音で伝える表現力を高く評価しての事なのだが、それをイェソンへと伝える事はない。

「ヒョンは嫌いな音楽とか無いんですか?」

自分の声が届くだけの音量で聴いている事は知っている。だからと不意に聞いた事へも、イェソンは数種の動作を行いながら当たり前の様に答えてくれるのだ。

「音にはそれぞれ想いがある。それを嫌うのは、ソイツの身勝手な感情でしかない。」

要するに嫌いな音楽はナイ。という事かと毎度ながらのこ難しい言い回しにキュヒョンは軽く肩を竦めた。
イェソンという人物は本当に音楽を……音を愛して止まない人間だ。肌に合わない音も恐らくはあるだろう。それでも音楽とは一つ一つの音を愛して止まない者が作っているから。それを嫌うという行為は同じ音を愛する者としては許し難い行為でしかない……

一つの筋を貫くそんな兄を、だからキュヒョンは普段は彼をからかったりしているが心の奥底では尊敬している。そうして吸収出来る事の多いこの相手の傍に居る事が心地良く、何時も同じ空間を共有しているのだけれど。

また独自の世界へと戻ってしまったイェソンの仄かに響く声へと顔を上げたキュヒョンは、ふとある一点へと視線を釘付けにされた。

(……………なんか……)

それは時折訪れる、奇妙な感覚。
普段は信頼する大切な兄だと思っている彼の……
イェソンの二人きりの時に見せるその唇の動き。

(やっぱ………美味しそ……)

そう。時折そんな事を思い目が離せなくなる時がある。別にイェソンへと特別な感情を抱いている訳では無い。寧ろ少し変人めいた彼を時々面倒だと感じる事すらあるというのに、だ。

なのに何故か魅入ってしまう、その唇………



「……ソコって、何時も手入れしてるんですか……?」



また掛けた声は音量を大きくしてしまったのだろう。イェソンの耳に届く事は無く答えの無いまま虚しさだけを室内へと落としていく。
それも何時もの事なのだけれど……
だから普段は直ぐに頭を切り替えられる事柄な筈なのに。

「言わないなら……確かめちゃいますよ…?」

この日は何故か切り替える事が出来なくて……

そうそれは本当に気まぐれな感覚。
ただ彼の……イェソンの唇を。


瞳を捕らえて離さない、仄かに音を奏でる唇の。その感触を感じてみたかった。

たた、それだけだったのかもしれない…………






「っ!?」

歌へと入り込んでいたからだろう。瞳を閉じて音を奏でていたイェソンは、その柔らかな感触に思わずその瞳を大きく押し開いた。そうすれば目前にはボヤけた影が一つ……
至近距離でのその姿に一瞬何が目前を遮っているのかすら判らなかった。
だが自身の唇から感じるその感触……

それを感じたと同時。

視点の合わないまま閉じる事の出来ないその黒い瞳へと。やっと認識出来たのは、見慣れた弟の澄んだ瞳。


「………ッ…………」


自分の唇へと何が触れたのか認識した瞬間、イェソンの喉がコクリと空気を飲み込む。それを合図に触れ合わせていただけの場所が離され、少し視点の合う様になった目前の相手をイェソンは呆然と見つめた。

「『…………………』」

「…………は?」

パクパクと動く弟の唇に素っ頓狂な声を上げる。
音量を上げたイヤホンからはイェソンの惹かれる声が奏でられているというのに、その声すら今は遠く聴こえる気がした。

そうして目前の相手。キュヒョンはまたその口を開くのだ。今度はイェソンが読み取れる程の、ゆっくりとしたその動きで……



「『キス、していいですか?』」


「…………え………?」



返事は一瞬。問い掛けとも言えるソレはそのままキュヒョンの唇へと吸い込まれていく。
何がどうしてこんな事態になっているのだろう?
深く考えてしまうとイェソンは脳以外を動かす事を忘れる。塞がれた唇で弟の名を呼ぼうとして、開いた瞬間に差し入れられた生暖かいモノにビクリと肩が揺らいだ。


「…………ッ………ンッンンッ……」


『キュヒョン。』と呼んだつもりだったのに声は言葉を成さない。代わりに自分の耳へと聞こえてくるのはやはり好きな歌声と、その合間に耳へと響く自身の鼻に抜ける声。

ゆっくりと絡め取られた舌は逃げる事を忘れる程の痺れを来たしていく。
角度を変える度に深くなっていくキスは、その合間に柔らかく唇や舌を吸われて。
乱れ始めた息に苦しさからイェソンはやっとキュヒョンの胸元を軽く叩く事に成功した。

その講義に舌の裏側をゆっくりと舐め取られて、同時にイヤホンをユルリと外されながら。



「やっぱり、柔らかい。」



眩暈のする様な甘さと息切れの合間にやっと聞こえた弟の声は、何処か艶を含んだ響きを模していた。







※さてはて短編と銘打ちましたが長くなりそうなので前後編に分けます。
後編は、ねぇ?(何だよ

危うい場面がドドーーーンッ!!なると思われますので限定とさせて頂きますレッツえっちぃ世界へGOっ←止まれ
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