少し前になりますが、
4月上旬の日経夕刊の「十字路」の、
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの
五十嵐敬喜氏の記事内で、
1995年当時のわが国の名目GDPの水準を100とすると、
2008年は103、世界的な金融危機の影響を受けた09年には
96まで落ち込んでいる事実を提示し、
名目GDPの大半を占める家計の所得は企業所得の分配で
あることから、10数年間にわたってわが国の企業収益の総額が
全く増加してこなかったことを指摘しています。
では、調査機関等の
将来のGDP予測はどの程度の予測となっているのでしょう。
孫引きですが、
(社)日本不動産鑑定協会資料内記載の、
(社)日本経済研究センターの予測によれば以下の通りです。
GDP中期予測 (年平均伸び率)
※2009年1月時点データ | 2001-2005 | 2006-2010 | 2011-2015 | 2016-2020 |
GDP(実質) | 1.3 | 0.3 | 1.7 | 1.5 |
GDP(名目) | -0.0 | -0.3 | 1.8 | 1.8 |
GDP長期予測 (年平均伸び率)
※2002年3月時点データ | 2000-2005 | 2005-2015 | 2015-2025 | 2000-2025平均 |
GDP(実質) | 0.1 | 2.2 | 1.8 | 1.6 |
GDP(名目) | 0.3 | 3.3 | 2.0 | 2.2 |
不動産の鑑定評価においては、
賃料の上昇率の予測や、
利回りの査定、
運用利回りの査定等で、
GDP予測は、予測の資料として、
まず重視すべきものになります。それ以外に、
10年内の予測であれば、投資家アンケートにおける、
賃料予測などを勘案して、判定していきます。
冒頭の、この10数年間のGDP成長率の実績や、
今後の日本の人口減を勘案すれば、
鑑定評価で、GDP成長率を参考に、
各数値の査定をする場合は、
上記の公的機関のGDP成長率は
やや割り引いて考えなければ、
いけないと考えます。