スズキ建築設計ファミリーのブログ

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*日本の内装材の常識「ビニル壁紙」が、世界では使われていない。
 
日本の常識は、世界の非常識?

日本の住宅の内装は、壁紙やクロスというと、ほとんど、塩化ビニル壁紙と言っていいほどです。
それが、一般ユーザーも、業者も普通と思っているのです。

新築やリフォームなどの内装で、玄関、ローカ、リビング、洗面脱衣室、トイレ、階段室、寝室、子供室、クローゼット、押入、物入れまで、壁、天井まで、ビニル壁紙で覆われています。

最近では、床まで、木質調、木目調の、塩化ビニルやオレフェンシートが、貼られた床材を使用している現場が多いようです。

最近のユーザーは、空調メーカーや家電メーカーの空気清浄機などの室内の空気清浄や殺菌、除菌などのCMの影響で、空気質にはこだわるのです。

しかし、実際の住まいの空間が、大きなビニール袋のなかで、生活していることの実感がないのです。

大きな塩化ビニルの袋の中で、生活しているという状態です。

日本の住宅は、内装材というと、ホワイト系のビニルクロス・壁紙と言う状態で、住んでいる人達もそのようなものだと思っているのでしょうか。



一般社団法人日本壁装協会の平成23年度壁紙の生産・出荷量のデータを見ると、

内需の出荷量、66644万m2の壁紙のうち、
塩化ビニル樹脂系壁紙(*1)は、61349万m2で、
プラスチック系壁紙の、4036万m2を合わせると、
65385万m2となり、
約98%が、石油化学系の塩化ビニル樹脂系壁紙か、プラスチック系壁紙が、内装材として使用されているということになります。

これが、私たち日本の内装材はビニル壁紙(*2)という現状です。

ちなみに、ドイツでは、紙のクロスが80%と言います。

塩化ビニル樹脂系壁紙(ビニル壁紙=ビニルクロス)は、コストが安いという理由と、下地の省力化により、下地の不陸、下地の変形、カビの影響が、表面にでにくく、また、石膏ボード下地が多くなり、職人の質の低下、工場生産に対して、エンボス柄などが対応しやすいなどが上げられます。

また、クロス施工の方法も、紙クロスや布クロスのように、袋貼りや重ね貼り、目地割、目地巻き込みの高度な施工技術も、塩化ビニル壁紙が普及することによって、ある意味、ウソの施工法が普及し、ビニル壁紙同士を重ねて、定規を当てて、カッターで切るような施工法が、一般的になってしまい、若い職人は、その方法がクロス貼りと思っている職人も多いようです。

ビニル壁紙同士を、重ねて、定規を当てて、カットする「合裁ち施工法」は、下敷きを用いることが正式ですが、施工コストが安く発注されるため、下敷きを用いないで施工すると、下地の石膏ボードの下地の紙までをカットすることになり、ジョイント部分の剥がれ、めくれ、目隙が起き、早いと数ヶ月で、カットした隙間から、石膏ボードが室内の湿気を吸い込み、クロス合わせ部分(ジョイント部分)が、めくれ上がってくるのです。

下敷きや、裏当てを当てて、カットするのが、「合い裁ち施工法」の正しい施工方法なのですが、それをしないクロス業者が多いのです。

もちろん、プロと言われる設計事務所にも、ハウスメーカー、建築業者の多くは、下敷きや、裏当てをしないでの、その方法が、正しい方法と思っている方は大多数のようです。

話を戻し、このビニル壁紙は、住み手の健康と理由からではなく、供給側の安くて、クレームに対応しやすく、施工能力が低くても対応可能という、供給側の理由で、総生産量は、67549万m2も生産されている状況です。(2011年・平成23年度)

この塩化ビニル樹脂系壁紙(ビニル壁紙=ビニルクロス)は、様々な化学薬品を添加して、皆さんが塩化ビニル樹脂として、脳裏に浮かべる雨樋や排水パイプなどのカチカチの硬い樹脂製品をイメージされますが、壁紙に使用される塩化ビニールは軟らかく、柔軟性が有り、シート状になっています。

実は、軟らかく、柔軟性を持たせるために「可塑剤」が添加されています。

可塑剤は、ポリ塩化ビニールの成形加工性を改良し、柔軟性を持たせるために使用されます。
つまり可塑剤の混入量によって、出来上がる製品の柔らかさが異なります。

一例をあげると、

塩化ビニルパイプ・波板製品:5~10%
フィルム・ストロー等:10~20%
電線被膜:20~30%です。

特に、塩化ビニル壁紙に多く使用される軟質ポリ塩化ビニルには、
25~50%の可塑剤が含まれ、フタル酸系の生産量が多く、
2013年年の全生産量256千トンの約80%を占め、
その中でもDOP(ジオクチルフタレート)は、約50%の129千トンで、
最も多く使用されています。
(出典:フタル酸系、アジピン酸系/可塑剤工業会,リン酸系、エポキシ系/化学工業統計)

ビニル壁紙の構成を見て見ると、
ビニル壁紙・構成図



壁紙の厚さは、平滑なものから、エンボス状で厚みのあるものまであり、約0.3ミリ~2ミリ程度のものまであります。
(①から③の部分までが、約0.3~2ミリ程度)



①ビニル樹脂層配合構成
1-1 PVC樹脂 (ポリ塩化ビニル樹脂)
1-2 可塑剤 (DOP) (ジオクチルフタレート)分子量391
1-3 安定剤 (バリウム-亜鉛系安定剤)
1-4 発泡剤 (アゾジカルポンアミド)
1-5 充填剤 (炭酸カルシウム)
1-6 難燃剤 (水酸化アルミニウム)
1-7 着色剤 (酸化チタン)

② 裏打紙(原紙) 難燃処理を施した原紙を使用

③ 接着剤(ビニル樹脂層と裏打紙を接着)

④ 壁紙施工用接着剤(石膏ボードに壁紙を貼る接着剤)

備考 ビニル樹脂層については、基本的な配合構成の変化はありません。
但し、若干の配合変更(機能性付与など)は、ありますのでご了承ください。
また、ビニル樹脂層の量(塗布量)も製品により、異なる場合もあります。

①ビニル樹脂層(発泡層)
塩化ビニル(塩化ビニル樹脂製品)

1-1・PVC樹脂(ポリ塩化ビニル樹脂)
【有害物質 → 塩化ビニル 別名: クロロエチレン】

塩化ビニル樹脂は、可塑剤の含有量が10%より多いか少ないかで、軟質と硬質の製品に分けられます。
塩化樹脂製品には、塩化ビニルモノマーが多かれ少なかれ残留していることはよく知られていることです。
そして、大量に使用されている塩化ビニル製品から溶出、又は、揮発する塩化ビニルによる汚染が問題なのです。

アメリカ産業衛生専門家会議(ACGIH)によると、労働環境の大気中の許容濃度は、5PPM(10mg/m3)です。

しかし、生涯、発ガンのリスクを100万分の1に抑えるには、大気中の塩化ビニルの濃度を0.5ppb(0.001mg/m3)以下に厳しく規制しなれればしなければならないと、オランダの発ガン物質評価委員会が指摘しています。

燃やした際には、猛毒と言われる「ダイオキシン」を発生させるのです。
その影響は、すぐには表われず、後々の世代に奇形をもたらすと言った、何よりも恐ろしい、忘れた頃に結果を招いているのです。

また、症状として、急性毒性としては、弱い麻酔作用を示すのみですが、慢性的に長期間吸入すると指先の骨が短くなったり、皮膚に独特の亀裂が生じてきたりしてきます。

他にも、本物質を扱う工事労働者に、肝血管肉腫、肝臓ガン、脳腫瘍、リンパ腫等が多発することが免疫学的に確かめられており、IARC(国際ガン研究機関)のグループ1の発ガン物質に指定されています。

その上、塩化ビニル系の壁紙は、有害な化学薬品を添加しています。
前述したように、その添加物の中の一つとして、「可塑剤(かそざい)」が添加されているのです。
特に、日本で多く使用されている「軟質ポリ塩化ビニルには、25~50%の可塑剤が含まれ、フタル酸系の生産量が多く、「DOP(ジオクチルフタレート)」は、最も多く使用されています。

DOP(ジオクチルフタレート)は、DEHP(ジ-2-エチルヘキシルフタレート】のことを多くは言います。

ポリ塩化ビニルの歴史
1835年 ポリ塩化ビニルが初めて合成。
1931年 ドイツで工業生産。
1941年 日本で工業生産。
1954年 東京都水道局が水道用パイプとして使用。
1974年 アメリカで工場労働者に塩化ビニルモノマーが原因と考えられる血管ガンが見つかり、ポリ塩化ビニルの安全性に疑問。

ポリ塩化ビニル誕生から、約135年後に、安全性に疑問が生じているように、環境や健康問題は、問題に気づくまで長い時間を要し、取り返しがつかなくなることもあります。

1-2・可塑剤(DOP)(ジオクチルフタレート)
【有害物質 → DOP 別名: ジオクチルフタレート】

DOP(ジオクチルフタレート)の毒性としては、生殖毒性が有り、雄のラットへDOPを投与した結果、睾丸萎縮が見られ、また、メスへの投与では、胎児死亡や催奇形性が見られるとのことです。
このような物質を、「環境ホルモン」と呼びます。

催奇形性(さいきけいせい)とは、動物(もちろん人間も含まれる)の胎児に作用して、奇形を発生させる毒性のことを言います。

細胞分化が進んでいる胎児の細胞や、その遺伝子に作用して、正常な分化を妨げ、奇形をもたらすとされています。

特に、動物の場合、退治に栄養と酸素を供給している胎盤には、「関門(かんもん)」の働きが有り、それがバリアとして機能していますが、DOP(ジオクチルフタレート)のような催奇形性物質は、それらを通過してしまうことが考えられると言われています。

そのほかにも、ラットやマウスを用いた発ガンテストでは、肝細胞ガンが発生することがわかっています。

DOP(ジオクチルフタレート)は、私たち人間の未来を脅かす、「環境ホルモン」(*3)です。

千葉県衛生研究所の80年の報告では、玄米にDOP(ジオクチルフタレート)とDBP(ジブチルフタレート)が、それぞれ0.4ppb、0.9ppb検出されています。

塩化ビニル製品が、多く使用されているためか、一般の環境中だけでなく、水道水からも可塑剤が検出されています。

アメリカでは、70年代に軟質ポリ塩化ビニル製の血液パック、医療用チューブを使用した患者が、肺ショックや腹痛、吐き気を起こし、問題になったことが報告されています。

ビニルクロス・壁紙は、年数が経過すると含まれている可塑剤が表面に染み出て、部屋の空気の汚れが油についていくら拭いても汚れが取れない状態になってしまいます。

合成皮革が、年数が経過すると、表面が割れてきますが、可塑剤が揮発し、堅くなり割れてくるのです。
揮発している間は、室内の空気に「環境ホルモン」と言われているDOP(ジオクチルフタレート)が含有し、居住者の肺に吸い込まれていくのです。

「私たちは、なぜ、ビニル壁紙を使わないのか!・その2」でも、記載したように、酸素のように肺から直接、血液に混入していくのです。

環境ホルモンの影響は、50メートルプールに目薬一滴という、濃度で私たちにの健康に影響があると言われているのです。

アメリカのミシシッピーワニが、「環境ホルモン」の影響で、生殖機能に異常を発生し、絶滅の危機にあるとも言われています。

1-3・安定剤(バリウム-亜鉛系安定剤)
   【有害物質 → 亜鉛系安定剤 亜鉛 】
亜鉛は、青白の金属であるが、なじみが深いのは、鉄や鋼に亜鉛でメッキしたトタン板や、顔料では、亜鉛華と呼ばれる白色顔料ZnO(酸化亜鉛)がよく知られています。

亜鉛は、生元素の一つで、微量の亜鉛は生体にとって不可欠であるが、大量の(必要以上の)亜鉛イオンがあると、中毒が起きます。

このため、余分な亜鉛イオンが見つかると、比較的ゆっくりではありますが、生体から(尿、便として)排出されます。

亜鉛及び、(亜鉛の各種塩からの)あえんいおんは、人間をはじめとして、魚類、無脊椎動物、植物に至るまで、あらゆる生物に毒作用を持ち、その中毒のメカニズムには、共通したものがある。

イオン化した亜鉛は、タンパク質と結合して、複合体を作る。
生体に大量の亜鉛イオンが入ると、組織でのガス退社が乱れ、そのため、細胞は酸素を摂取することが出来なくなり、酸欠状態になる。

ビニル壁紙には、主な、PVC樹脂(ポリ塩化ビニル樹脂)、可塑剤(DOP)(ジオクチルフタレート)、安定剤等の他に、

1-4 発泡剤 (アゾジカルポンアミド)
1-5 充填剤 (炭酸カルシウム)
1-6 難燃剤 (水酸化アルミニウム)
1-7 着色剤 (酸化チタン)

など、多くの化学物質が混入しています。

酸化チタンについても、放射能を含む産業廃棄物が、環境問題になっています。

また、壁紙を、内装材、天井材の仕上げ材として、壁紙施工用接着剤を使用して、施工します。
使用する接着剤の塗布量は、60g/m2(固形換算量)以下となっており、
平均的な住宅の、延べ面積約35坪の内壁と天井をビニル壁紙で施工すると、

使用する壁紙用接着剤の使用量は、
内壁:延べ面積約35坪の内壁面積は、35坪×約1.8~3.0倍なので、
35坪×2.4倍として、84坪となり、平方メートルに換算すると、
84坪×3.3m2/坪=277.2m2

天井:延べ面積35坪なので、3.3m2/坪を乗じて、115.5m2で、
合わせて、392.7m2 → 約400m2の面積を施工すると、
平方当り10~12g/m2とすると、
400m2×60g/m2=約24㎏の接着剤を使用します。

この接着剤の、主成分:でん粉、酢酸ビニル樹脂
       溶媒:水
       保存剤:安息香酸ナトリウム、TBZ です。

防カビ、防腐剤の役割として、TBZ(チアベンダゾール)が使用されていますが、マウスの実験では生殖毒性や染色体異常なども報告されています。

私たちは、人生の90%もの時間を閉ざされた室内で過ごします。

私たち、人間にとって、これらの居住空間は、どこよりも快適で有り、何よりも健康でなくてはなりません。

そして、私たち自身、あるいは、地球環境が健康であるためには、まず、身近な自分たちの住まいから、一人一人が考えていくことが大事で有り、一番の近道ではないでしょうか。

誰もあなたを守ってくれません。

安全であるかどうかもわからないものや、疑わしきものを使用し続けて良いのでしょうか。

塩化ビニールのリサイクル率は、高くなったと言っている方もいるようですが、阪神淡路大地震、東日本大地震等と、塩化ビニル壁紙の処分が出来ず、建物の火災や焼却処分の際に、大量のダイオキシンが発生し、周辺都市のダイオキシン濃度が通常より高くなっていたことが明らかとされており、将来、人体に出る影響を心配せずにいられません。

イニシャルコストが安いと言うだけで、使用続ける結果が、私たちの将来に、そして、子孫にどう影響していくかを考えて行く必要があります。

「低濃度だから大丈夫」という言葉に惑わされず、安全かどうかわからず、環境汚染をする可能性の高いものに対しては、自分から切り捨てることの出来る知識と行動が必要です。

一度汚染してしまった人体や環境は、そう簡単には、元に戻らないということを肝に銘じておくべきです。


*1:塩化ビニル樹脂系壁紙:
塩化ビニル樹脂を主素材とするか、または表面化粧層に20g/m2以上塩化ビニル樹脂を使用している壁紙
裏打ち材には普通紙、難燃紙、無機質紙、織布などが用いられることがある。

*2:ビニル壁紙
塩化ビニル樹脂を除くプラスチックを主素材とするか、または表面化粧層に20g/m2以上プラスチックを使用している壁紙。
裏打ち材には普通紙、難燃紙、無機質紙、織布などが用いられることがある。

*3:環境ホルモンとは:
動物の体内にはいると、ホルモンに似た働きを起こし、生殖などの内分泌機能を乱す化学物質で「内分泌かく乱物質」とも言われる。
生殖機能を混乱させ、種の存続に悪影響を及ぼす。
一方で、2003年6月に環境省は9種類の可塑剤について、女性ホルモン様作用だけでなく、男性ホルモン様作用や甲状腺ホルモン様作用まで詳細に試験を行い、ヒトにも生態系にも内分泌かく乱作用が認められない(環境ホルモンではない)とする研究結果を発表しています。
しかし、その後も多くの先進国で、環境ホルモンの問題が出ています。
我が国は、水俣病や、イタイイタイ病、HIV問題、アスベスト問題など、多くの公害問題でも、欧米と異なり、疑わしき期間は使用し、問題が発生してから、長期に裁判して対応の現実です。



参考資料:有害物質小辞典・研究社
    :建築に使われる化学物質辞典・風土社


株式会社スズキ建築設計事務所
取締役相談役 鈴木 明
©copyright

株式会社スズキ建築設計事務所のURL:
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