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 なんだか視界が紅に染まっている。

夕日が眩しくて辺りが見えていない。

 川べりに人がいる。

こちらに向かって泣き笑いのして照れくさそうに手を振っている。

わかった、おやつのおじさんだ。

優しい声が遠くなっていく。

おじさんの頭は歪に欠けていて、そこから夕日の強く眩しい紅が輪郭をにじませていた。

 どうせ夢の中の事とはどこかでおぼろげながら察してはいたのだが、

そこになんらかの意味があるのかおいらにはわからない。

無意識化直感かで、会うたびに沢山のおやつをおいらに

くれていたおじさんがいなくなったのを悟った。

それはあのおじさんの優しい声と川べりの夕焼けとして脳裏に刻まれていた。

なんの脈絡もなくその紅が覆い尽くして息苦しくなる。


 いや、息が苦しいのだ。眼を覚ました。

あわてて毛布の隙間を辿って脱出した。

 みごとに布団と毛布と枕が散乱していた。


 おいらはそれらをまとめて丸く寄せてみた。

そしておいらは毛布を動かそうと丸まっている中に入った。

毛布は大きくて簡単には動かせるものではない。

足で力を入れたが、爪に引っかかって体が横倒しになった。

毛布に巻かれただけなのだ。

おいらそこから出ようとしたが、

爪が引っかかって頭しか出すことができない。

毛布に巻かれて動けなくなった


 そんな音を聞きつけたのか、

ドアが開いてアロアさんが入ってきた。

「そろそろ行くぞ。あれっ?ベンは海苔巻ごっこやってんのか?」

 おいらは毛布から引っ張り出された。


「こっちにおいで」おいらはリックに押し込められた。

どうやらどこかに連れていかれるらしい。

ちょっと不安だが少し楽しくもある。

 パパさんの背中がいつもそこにある。

だからおいら落ち着いていられた。

階段を上がったり、電車のけたたましい音がしたり、

大勢の人の足音がしたりの連続だった。

揺れたり止まったりの時間がしばらく続いた。


 なんだか話し声がする。おいらの名前が聞こえた。

 突然おいらはリュックから出された。

おいらを見下ろしている顔があった。

らない顔がみんなおいらを覗き見ていた。

その顔が笑顔になっていくのがわかった。

そうだ、みんな優しい人ばかりだ。おいらは安心した。


「ベン、おまえのお見合いだよ」

 なんだかわからないが、おいらはポツネンと床に降ろされた。

そばにいたのはおいらとそっくりの色形をしたレディーだった。

鋭い目つきでおいらを見ている。

まだ幼さの残る女の子がいたので驚いた。おいらの鼓動が早くなる。

香しい女の子においらの脳天はかき乱された。


どうしていいかってことよりもまずは、ごあいさつ。ごあいさつ。

いけないとかどうとかなんて知らないよ。

おいらはレディーのお尻にまっしぐら。

でも、しっかり逃げられた。

あれれ?同じノーリッチテリアなんだからさ、

少しぐらいは好感をもっていいんじゃないの。

う思ってさ、何度もトライしたよ。

どうやら嫌われたらしい。


 追いかけるのに疲れてさ、眠くなった。

パパさんは、おいらを独り身だとワビシイと思ったのだろう。

手ごろな相手を見つけてくれたらしい。

だけどさ、けんもほろろにおいらは、けちらされただけ。


 ソファーの上に上がってさ見下ろしてみたよ。

印象的な黒くて大きな瞳。顔もおいらの大顔と違って、

すっきりとした小顔だ。

魅力的なボディーラインに足がキュッとしまってる。

そして見事な毛並みを持ち、気品を漂わせていた。

なのに、すごい剣幕で近寄らせてもらえない。

ここまで嫌われるとは思ってなかったよ。 トホホ・・・



 しばらくすると写真撮影になった。

レディーが抱かれておいらの左にやってきた。

顔をそっちに向け

「おいらはベンタロウといいます」

 すると言い終わらないうちに

「あたしのことなんか見ないでよ!」とうなられてしまった。

 シャッターの音がした。


「ネエ、一緒に河原を走らないかい?

 おいらの得意な逆立ちを見せてあげるよ。」


「コッチ見ないでよ!あたしは、臭いおやじはきらいなの!

 おいらのお見合いはこうして終わったのだった。


          


        見事にフラれて立ち直れないおいら
        




帰り道、アロアさんはノーリッチテリアの女の子に

初めて会ったと言って興奮していた。

「あーちゃんは男の子が苦手なんですって。

ベンもあっさりフラれちゃったみたいね」

また今度会えるかな?

エステに通っておやじ臭さなくします。おそばに寄らせてください。



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 布団に横たわっていると、何か話し声がした。

扉の向こうに二人が楽しそうに笑っている。

 おいらその声に向けて耳を巨大なレーダーのようにして聞きもらすまいとした。

でも、おいらは話題にはなっていないようだ。

リビングでは何を楽しそうに笑っているのだ。

つまらなくなったのでとりあえずは指をしゃぶることにした。

いつもいるおいらの洋間は冷房が絶えずきいていて快適なのだが、

仲間に入れてくれないのはちょっと寂しい。

だからと言って、おいらはビールを飲むわけでもない

テレビのドラマに夢中になるわけでもないから

やっぱりリビングでいっしょに楽しむこともできそうにない。


 それにしても二人のビールの飲み方は豪快すぎる。

食べるのも収入のことをまるで考えてなく豪快に食べている。

二人とも腹のくびれはどこにもなくなっている。


 しばらくするとおいらの名前が話題に乗った。

おいらは嬉しくなって扉の前で飛び上がった。

何度もジャンプした。ところが床に着地したとき、滑ってしまった。

背中と後頭部を床に打ち付けた。痛くて痛くて手足が震えた。


「なんだかすごい音がしたよ。ベンどうした」

 アロアさんの優しい声がして扉が開いた。

おいらは痛くて震えがまだ止まらない。

アロアさんが抱き上げてくれた。

優しい指で頭を撫でられると打撲の痛みを

少し忘れることができた。


 リビングノソファーに連れてきてもらった。

テーブルの上にはビールの空き瓶3本。シャンパンの空き瓶、

なにやら難しい漢字の書いてある瓶。

バナナにピーナツにチーズに焼き豚が所狭しとテーブルの上を埋め尽くしている。刺激的な甘い香りと肉の焼けた匂いが混じっている。


 パパさんはおいらには何の関心もなさそうに

巨大なジョッキにビールを注いでいる。

そして燻製のサーモンをあっさり平らげる。

それからゆっくりと果実酒をコップに注いでうまそうに飲みだした。

今度は缶に指を突っ込んでアーモンドを口に入れた。

 アロアさんはテレビを観ている。

韓国時代劇なのだろう、鮮やかな着物を着た女優が悲しそうにしゃべっている。

おいらはやっぱりポツネンと孤独。

とりあえず自分の手相を見つめてみた。

生命線はくっきりしているが結婚には恵まれていないような手相だ。

掌を舐めてみる。そのときだ、床に光る物を発見した。

たまらなくおいしそうな匂いを放っている。


 おいら、そこに向かってソファーから飛び降りた。

銀紙で包まれたものを素早く咥える。

アロアさんがおいらを見下ろしあわてている。

ゆっくりと立ち上がったアロアさんは表情がこわばってきた。


「じぇじぇじぇ!くまもんのチロルチョコ、ベンが食べちゃった」

 おいらは満足だ。獲物はとっくに腹に入れた。残念でした。

先に食べた方が勝ちだよ。


「こいつ、チョコレートを食べたよ。どうしようか。

 アロアさんはあわてていた。


のんびりとアーモンドを食べていたパパさんは、埴輪のような顔を大魔神のよ

うにこわばらせおいらを見た。


なんだよチロルチョコレートぐらいでそんなに騒ぐものでもないでしょ。

「こんな時間じゃ病院はやってないしね……どうしようか。

今晩だけでも様子をみようか」

 

 なんだろう。この真剣で不吉な緊迫感。なんだか不可解だ。

そして静かな夜中にみんなで眠りについた。


 翌朝、アロアさんは病院の先生に電話をしていた。

そしておいらはアロアさんに連れられて病院に向かって歩きはじめた。


「おまえは昨日銀紙ごとチョコをたべちゃったから、

銀紙がおなかに詰まってしまうかもしれないんだ。

腸閉塞っていうんだって。レントゲンとって、

銀紙が腸にひっかかっていたら、

お腹を切り裂かれるかもしれないな。

手術だよ、わかるか。銀紙を手術で取り出すんだよ」


 やはりうまいものの恨みは怖い。

こいつにとってはチョコレートはどうしても

ゆずれないものだったに違いない。

でも、おいらは腹を切り裂かれるのか・・・。


 しばらく歩いているとうんこがしたくなった。

「あらら、こんなところでうんこして。

まずい・・・よりによって病院の前だよ」


 アロアさんは文句を言いながらりっぱなうんこを回収した。

 おいらは病院に入るとお医者さんがいて、

ニコニコしておいらを抱きかかえてくれた。


「そうですか、そのうんこを診てみましょう


 お医者さんはおいらのうんこを調べると銀紙が出てきた。

「おや、これなら心配ないですね。ちゃんと出ている。

 念のためチョコの毒を補う肝庇護剤を注射しておきましょうね

あとで、飲み薬も処方しておきます。

今度何かあったら、夜でも電話くださいね。

場合によっては胃洗浄とか緊急処置もできましたから・・・」



 どうやらうんこのおかげで、おいらは手術から免れたらしい。

アロアさんの安堵した顔を見て安心だ。


 今度からは銀紙をちゃんとむいてから食べることにする。


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       やさぐれべんたろう



 木漏れ日が路面で輝く。

おいらは二人を従えてバッファローのような姿で前に進む。

アロアさんはヨロヨロしながらリードを握っている。

この季節はアスファルトの路面に葉っぱの香りといっしょに

町内のいろんな犬たちのメッセージが書き込まれているから楽しい。

 河原に向かう道路の角に珍しい書き込みがあった。

何か懐かしいメッセージだ。

頭を突っ込んでしっかりとメッセージを読むと、おいらと似ている。

年齢も大きさもおいらと変わりないようだ。

おいらはその上にメッセージを残しておいた。


「ベン、なかなかみごとな逆立ちだ。足がしっかり伸びてる」

 おいらは逆立ちが得意なんだ。逆立ちするといつも褒めてもらえるからどんどん力が入る。


 誰かが後ろから呼び止めてきた。

振り向くと二人の男女と小柄な犬がいた。

 おいらは一目でその犬が兄弟だと直感した。

顔も姿も大きさもおいらとそっくりだ。色だけ違って茶色だった。


「あら!似てる」

「ほんとそっくりね」

 誰かが驚きの声で笑いながら話した。

 おいらはその犬に懐かしさを感じて傍にいった。

その犬もニコニコしておいらにすり寄ってきた。

不思議な体面だ。その顔を見ていると鏡に向かったようだ。

そいつも目を瞬いて不思議そうにおいらを見ていた。


「兄弟だろ」

「そうかもね。ぼくは正式なノーリッチテリアだけど、君はよく見ると正当なノーリッチテリアのヘアカットしてないね」

 茶色い王子はまだ不思議そうな顔でおいらを見つめている。

「毛抜きされるのが痛くてさ……ボサボサにしてんだよ。

暑くなったら丸刈りにされて甲子園球児みたいになるんだ。不思議と短い方が、みんな良いって言うんだぜ


「ところで相撲は好きか?」

「ああ、相撲は好きだよ。テレビでよく見てる」

「見るほうじゃなくてよ、おいらと取っ組み合いするんだよ

おいらはパパさんとよくやるぜ」

「ぼくの家族はそんなことはしないな。でもやれといわれたら……」

 おいらはそいつに相撲を仕掛けた。おしあいを立ったままでした。

それを見ていたアロアさんはニコニコしている。

そいつの家族の人も嬉しそうに笑っている。

おいらたちは取っ組み合いをあきることなく続けた。

そよ風がしなくなっても、

木漏れ日が西日になってもあきることなく組み合った。

そのうちおいらはヘトヘトになり

「兄弟、疲れたぜ」

「そうですね、ぼくも体力消耗しました。でも、あなたはノーリッチテリアとし

てはやさぐれてていますね。粗暴な育ち方をしたにちがいありません」

「おまえ、なまいきだな」


 おいらはそいつの後ろに回って押し倒してやった。すると大声で叫んだ。リー

ドが引かれておいらはずいぶんと怒られてしまった。


「もうしっかり遊んだから帰ろうか」

 ニコニコするそいつの飼い主が挨拶をし、おいらの頭を撫でてくれた。

 振り向くとそいつはこっちを向いて笑っていた。

長い尻尾を揺らせてりりしく歩いている。

何度も振り返っておいらはそいつの姿が見えなくなるまで見送った。
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「ベンが犬相撲するなんて初めてみたよ。今まで他のお友達となんてやったことがないのにね」

「やっぱり特別なものを感じたんじゃないかな?この辺じゃノーリッチテリアに出会ったことないからなあ」


すると突然アロアさんが変な声を出した。

 「ない、ない、ない・・・・・」

どうやらおいらたちの写真を喜んで携帯で撮影していたのだが、保存されていなかったらしい。

 またいつかどこかで会えるといいね。今度はちゃんと失敗しないでね。


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