高橋涼介 数学論 (RyosukeScience)

今世紀に入ってからの数学の発達は、まことに著しいものがある。すでに前世紀の終わりにおいて、数学は分科の下に分科を生じ、隔絶せる部門との意想外の交渉を生じ、到底その全体を達することが不可能なまでに発達した。


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日常的なパズルのような問題も数学の対象となります。数学とパズルの違いは何でしょうか?パズルは山勘であれ当てずっぽうであれ、答えを得ればOKですよね。でも、難しいパズルになるとそう簡単に山勘が当たるとは限りません。莫大な量の試行錯誤を行うかあるいは勘が鋭ければ、当たるかもしれませんが。
一方、数学は、答えが得られる過程が大切です。なぜ過程が大切なのでしょうか。答えが求まればいいのでは…と思いませんか。
東大の数学はこのような疑問に答えてくれます。
実に日常的なパズルのようなテーマも出題されています。
まずは、東大の問題の前に、こんなパズルを考えてみましょう。
連続する3つの自然数の積を計算し、結果を紙に書いてみると、1という数字が連続して4つ並んだ。このような3つの自然数を見つけよ。
連続する3つの自然数とは、例えば、7,8,9とか、47,48,49のように、順に3つ並んだ自然数のことです。1という数字が連続して4つ並ぶとは、21111234のようにどの位でもいいので続いて現れることです。
ちなみな、7,8,9の横、47,48,49の積を計算してみると、
7\times8\times9=504
この積に1は現れません。
47×48×49=110544
この積は1という数字が連続して2つ並んでいますね。ちょっと残念ですが、もう少しです。このパズルでは1という数字が連続して4つ並んでいるのを探すのでしたね。
さあ、電卓片手にがんばってみましょう!!
1という数字が連続して4つ並ぶのは…
答えの一つは、
3つの連続する自然数1035,1036,1037です。実は、他にもたくさんあります。そのうちの一つですね。そこで、実際に計算してみると、
1035\times1036\times1037=1111933620
確かに1が4つ並んでいますね。
読者諸氏は、うまく探すことができたでしょうか。4桁の数字ともなると「電卓片手に」というのではとても大変です。このパズルを本気で電卓で考えた方がいらしたら、ごめんなさい。わたしはとても電卓では探し出せませんでした。数学を用いて解いたわけです。「電卓片手に」と言ったのは、ちょっと意地悪でしたね。
1が99個並ぶのならどうでしょうか。それが東大の入試問題です。もちろんこうなると、さすがに電卓では考えませんね。電卓をつかおうとしないだけ、先ほどのパズルよりよほど親切です。試験場でも試行錯誤で解こうとした受験生は、まずいなかったと思います。
でも「1が99個並ぶ」のように、99個という具体的な数字を与えてあるのは、なぜでしょうか。もし、「3n個並ぶ」という問題にしたら、もっと一般的な問題にならなかったのでしょうか。しかし、それでは、この問題の小問(2)において(1)をどのように使うかを考えるヒントを与えてしまうことになりかねません。この問題でじっくりと考えなければならない点が一つ減ってしまうことになり、つまらない問題となるからです。
一般に、入試問題では、
文字で出されたほうが難しいという錯覚
があります。実はそうとは限りません。「3n個並ぶ」なら「3の倍数」に注目するしかありません。自動的です。その点、「99個並ぶ」は難しい、99という具体的な数のほうが、99という数のどのような性質を使うのか、うんと難しいのです。
つまり、具体的な「99個並ぶ」というところから、一般性をもった「3の倍数」に注目できるかどうかという点は、東大の出題に関して受験生の力を見たかったところなのでしょう。
この問題では、3の倍数であることを用いますが、他の問題ならそうはいかないかもしれません。99という整数から
「9の倍数」に注目するか、
「11の倍数」に注目するか、
「100引く1」を利用するか
など、様々な方式が考えられるからです。ほかにも考えられます。こうした99のもつ性質の中から、この問題でどれを使うか、そこが考えるべきところなのですね。

問題 2013年度 理科 第5問
次の命題Pを証明したい。
命題P 次の条件[a],[b]をともに満たす自然数 (1以上の整数) Aが存在する。
[a] Aは連続する3つの自然数の積である。
[b] Aを10進法で表したとき、1が連続して99回以上現れているところがある。
以下の問に答えよ。

[1] yは自然数とする。このときの不等式
x^3+3yx^2<(x+y-1)(x+y)(x+y+1)
が成り立つような正の実数xの範囲を求めよ。
[2] 命題Pを証明せよ。

※[1]の不等式の証明は基本的であるので、興味がなければ、この不等式はこんな格好だな、ぐらいでOK。ここでは、この不等式を[2]でどのように使うか、そこに注目して考えてみます。

では、東京大学の問題を見てみましょう。
(2)では、命題Pを証明せよ、ということですが、命題Pは条件を満たす自然数Aが存在するというものですから、このような3つの自然数を1組でも見つければ証明したことになります。でも、99個並ぶとなるともう山勘も電卓も無力です。ここで数学の登場です。
もちろん、「素手」で (何の道具も示唆もなく) 命題Pを証明するのは至難の業、とても解くことはできません。そこで、一つの考え方の方向性を与えます。それが小問(1)です。この不等式は比較的容易に示されるものですが、これを(2)でどのように使うかが、考えどころです。不等式を漠然と見るのでなく、真ん中の、
辺(x+y-1)(x+y+1)を連続する3つの自然数の積と見ることができるでしょうか。
一方、1が連続して99個並んだ数111\cdots1の各位の数の総和1+1+1+\cdots+1=99であるから。3で割りきれますね。だから、1が連続して99個並んだ数111\cdots1は3の倍数なのです。ここで、小問(1)の不等式の一番左の辺には、3yがあるではありませんか!!
こうして、「3y=111\cdots1とおく」という解法に思い出至るのです。
「1が99個並ぶ」という、日常的にはとんでもない難問が解けるわけです。山勘と試行錯誤をのパズル解法ではとても歯が立たないことを、数学を用いれば、多くの受験生がおよそ25分で解ききるのですから、「数学はすごい」といわざるを得ませんよね。
[1] x^3+3yx^2<(x+y-1)(x+y)(x+y+1)
\Leftrightarrow x^3+3yx^2<(x+y)^3-(x+y)
\Leftrightarrow x^3+3yx^2\Leftrightarrow 0<(3y^2-1)x+y(y^2-1) \begin{equation} \Leftrightarrow\left\{ \begin{array}{ll}
0 \cdots
\textcircled{\scriptsize 1} \\
0\cdots\textcircled{\scriptsize 2}
\end{array} \right.
\end{eqnarray}
0から\textcircled{\scriptsize 1}の不等式は成り立つ。
0に注意して\textcircled{\scriptsize 2}を解くと、
\frac{3y^2-1+\sqrt{(3y^2-1)^2+4y(y^2-1)}{2}
[2] 111\cdots11は各位の数の和が99であるから、
3の倍数である。
そこで、[1]の不等式
x^3+3yx^2<(x+y-1)(x+y)(x+y+1)
において、
A=(x+y-1)(x+y)(x+y+1)
3y=111\cdots11,x=10^n
とおく。
ただし、nは99以上、かつ、[1]の条件を満たすように十分大きくとる。
このとき、
x^3+3xy^2=10^3n+111\cdots11\cdot10^2n
=1000\cdots00111\cdots11000\cdots00
x^3+(3y+1)x^2=10^3n+111\cdots12\cdot10^2n
=1000\cdots00111\cdots12000\cdots00
よって、[1]の不等式から、
1000\cdots00111\cdots11000\cdots001000\cdots00111\cdots12000\cdots00
ゆえに、
A=(x+y-1)(x+y)(x+y+1)
=1000\cdots00111\cdots11\ast\ast\ast\cdots\ast\ast
の形で表される。ただし\astは0から9までの整数のいずれかを表す。
したがって、Aには、1が連続して99回以上現れるところがある。

クマモト×トウダイ 銀杏プロジェクトだモン

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