高橋涼介 数学論 (RyosukeScience)

今世紀に入ってからの数学の発達は、まことに著しいものがある。すでに前世紀の終わりにおいて、数学は分科の下に分科を生じ、隔絶せる部門との意想外の交渉を生じ、到底その全体を達することが不可能なまでに発達した。


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円周率\pi(π)は、古代ギリシャから今日に至るまで、さまざまな話題を提供してくれている数ですね。この\piは、超越数であるという難しさと、円周の長さとその円の直径の否という身近さの、両側面をもつ数なのですね。このような数はほかには見当たらないような気がします。2200年ぐらい前、ギリシャのアルキメデスは円に内接する正しい正96角形と円に外接する正96角形の周の長さを計算比較して、\piは233/71と22/7の間にあることを見つけました。
こるは単に\piの近似値を求めたということにとどまらず、その方法論が現代の数学にも通じる思想性を併せもっています。彼は、
\piの値が直接求まらないなら\piに近づく方法を考えればよい
と考えたのですね。すでにこの時代に、現代の解析学に近いような考えたかたをしていたのです。
すでにこの時代に、現代の解析学に近いような考え方をしていたのですね。
16世紀から17世紀にわたり、ドイツのルドルフは約40年かけて小数点以下35桁まで、\piの正しい値を得たそうです。今でもドイツでは\piのことをルドルフ数と呼んでいますから、ドイツでは誰もが知る (?) 有名人なのですね。
円周率は、こうして昔から西洋の人々に大いになじんできたわけです。
もちろん、日本でも、建部賢弘 (1664~1739)は正方形から始め、加速法という計算法を駆使して、正1024角形までの計算を小数点以下41桁まで求めたといいます。アルキメデスの正96角形と違って、正1024角形を採用しました。
話はちょっと脱線しますが、ここにも、東西の文化の違いを感じてしまいます。正96角形は96=6\times2^4ですからアルキメデスはまず正六角形かスタートし、12角形、24角形、…、と次々に辺の数を2倍にして計算していったのですね。このとき、漸化式の考え方を使ったようです。一方、1024=2^10ですから、建部賢弘は正方形からスタートし、次々に辺の数を2倍に増やして8角形、16角形、…、512角形、1024角形と計算していったようです。西洋のアルキメデスは合理的に1辺の長さが半径に等しい正6角形から始め、建部賢弘は格子などの正方形からスタートしています。木の文化の日本の門は四角形が基調にあり、西洋のようなアーチは少ないですし、正方形が自然な気がしますね。
しかし、ここまでは、円周率を円周の長さがあるいは面積と直径の関係でとらえ、多角形をもちいるという方法です。
2003年度 理科 第6問
円周率が3.05より大きいことを証明せよ。

東大の入試に出たのは正しくこれらの方法で求めなさいというものだと思います。まず、正6角形から、周の長さは半径の6倍。円周率は3より大と求まりますが、東大の入試は3より大ではだめ。3.05より大を示すのですから、惜しいところです。それなら、6角形の次に
正8角形を調べよう
という人と6角形の次に
正12角形を調べよう
という人がいることでしょうね。いずれでも3.05より大きいということは示すことができます。3.14に比べかなりおおらかな近似値ですが、アルキメデス風の正12角形でも建部風の正8角形でもOKとなるように3.05という数を選んでいるのです。さすが東大は太っ腹ですね。
ここでは、円に内接する正8角形を考えてみましょう。
余弦定理により、
\sqrt{1^2+1^2-2\cdot1\cdot\1\cdot\frac{\pi}{4}}=\sqrt{2-\sqrt{2}}
(円周の長さ)>(正8角形の周の長さ)
2\pi\cdot1>8\sqrt{2-\sqrt{2}}
\pi>4\sqrt{2-\sqrt{2}}
から、
\pi^2>16(2-\sqrt{2})
よって、
16(2-\sqrt{2})-3.05^2>0
が成り立つなら、
\pi>3.05
が示されたことになります。
そこで、
16(2-\sqrt{2})-3.05^2
を計算してみると…、
実際、成り立つことが示されます。
\sqrt{2}=1.4142\cdotsを用いれば、易しい計算で中学生でもできそうですね。

解答例
半径1の円に内接する正8角形の1辺の長さは、余弦定理により、
\sqrt{1^2+1^2-2\cos\frac{\pi}{4}=\sqrt{2-\sqrt{2}}
よって、周の長さは円周の長さより短いことから、
2\pi>8\sqrt{2-\sqrt{2}}
\pi>4\sqrt{2-\sqrt{2}}
ゆえに、
4\sqrt{2-\sqrt{2}>305
を示せばよく、
(4\sqrt{2-\sqrt{2}})^2-3.05^2=16(2-\sqrt{2})-9.3025
=22.6975-16\sqrt{2}
>22.6975-16\cdot1.415
=0.0575>0
したがって、円周率は3.05より大きい。
※正12角形でも同様に示される。
以上に紹介した\piの近似値を求める方法は、正し多角形の周の長さを円周の長さの近似値ととらえるというかなり古典的なものでした。東大の問題は、まさしく素手でもできるようにとの配慮がなされているのですね。
一方、近代以降、無限積や無限階級、連分数などを用いたいくつもの\piを求める式が見つかっています。
(1) ウォリスの等式 (1665)
\frac{2}{\pi}=\frac{1\cdot3\cdot3\cdot5\cdot5\cdot7\cdots}{2\cdot2\cdot4\cdot4\cdot6\cdot6\cdots}
(2) ライプニッツの級数 (1674)
\frac{\pi}{4}=1-\frac{1}{3}+\frac{1}{5}-\frac{1}{7}+\cdots
(3) オイラーの等式 (1735)
\frac{\pi^2}{6}=1+\frac{1}{2^2}+\frac{1}{3^2}+
\frac{1}{4^2}+\frac{1}{5^2}+\cdots
(4) 連分数表示
\pi=\frac{4}{1+\frac{1}{2+\frac{9}{2+\frac{25}{2+\frac{49}{2+\cdots}
このように多くの\piを求める方法が知られていますし、今も増え続けているのです。\piを無限級表より表さそうとする試みは、14世紀、15世紀から始まっています。微分積分学の発展が、ここに大きく関わっています。微積分が\piの歴史に関わるというのは不思議な感じかもしれませんが、興味深いことです。さらに、昨近では、スーパーコンピュータの計算が話題になったりしますが、単に\piの近似値の桁を何桁まで求めたというだけでは、何の興味も引きませんね。
ライプニッツ級数は、三角関数の逆数、逆三角関数の一つ、アークタンジェント\arctan-1xの値\arctan-1 1に由来します。オイラーの等式はゼータ関数\zeta(s)=2のときの値\zeta(2)に由来します。いずれも、高校の範囲を超えますが、適当な誘導の下に、大学入試に出題されたこともあります。
では、少し、計算を実感してみましょうか。
例えば、2番目に挙げたライプニッツの級数について、初めの数項だけ計算してみます。両辺を4倍にして、左辺の分母を払っておきます。
計算する項を増やすにつれて、値が増えたり、減ったりしながら、3.14に近づいていく様子が見てとれますね。
\pi=4(1-\frac{1}{3}+\frac{1}{5}-\frac{1}{7}+\frac{1}{9}-\frac{1}{11})=2.98\cdots
\pi=4(1-\frac{1}{3}+\frac{1}{5}-\frac{1}{7}+\frac{1}{9}-\frac{1}{11}+\frac{1}{13})=3.28\cdots
\pi=4(1-\frac{1}{3}+\frac{1}{5}-\frac{1}{7}+\frac{1}{9}-\frac{1}{11}+\frac{1}{13}-\frac{1}{15})=3.01\cdots
\pi=4(1-\frac{1}{3}+\frac{1}{5}-\frac{1}{7}+\frac{1}{9}-\frac{1}{11}+\frac{1}{13}-\frac{1}{15}-\frac{1}{17})=3.25\cdots
\vdots
次に、ウォリスの等式の証明を簡単に示します。ウォリスが求めた方法より効率的かつ現代風に微分を用いて証明してみましょう。
I_n=\inf_{0}^\frac{\pi}{2}\sin^n x dx
とおく。
I_n=\inf_{0}^{\frac{\pi}{2}\sinx\cdot\sin^n-1 x dx
=[-\cosx\cdot\sun^n-1 x]_{0}^\ftac{\pi}{2}
+(n-1)\inf_{0}^\frac{\pi}{2}\cosx\cdot\sin^n-2 x\cdot\cosx dx
=(n-1)\inf_{0}^\frac{\pi}{2}(1-\sin^2 c)\cdot\sin^n-2 x dx
=(n-1)(I_n-2-I_n)
よって、
nI_n=(n-1)I_n-2
I_n=\frac{n-1}{n}I_n-2
これを繰り返し用いて、
I_n=\frac{n-1}{n}I_n-2=\frac{n-1}{n}\cdot\frac{n-3}{n-2}I_n-4=\cdots
また、
I_0=\inf_{0}^\frac{\pi}{2}dx=\frac{\pi}{2},I_1=\inf_{0}^\frac{\pi}{2}\sin x dx=1
から、
\begin{equation}
I_n \left \{
\begin{array}{l}
\frac{n-1}{n}\cdot\frac{n-3}{n-2}\cdot\frac{n-5}{n-4}\cdot\cdots\frac{1}{2}\cdot\frac{\pi}{2} (n=2,4,6,\cdots)\\
\frac{n-1}{n}\cdot\frac{n-3}{n-2}\cdot\frac{n-5}{n-4}\cdot\cdots\frac{2}{3}\cdot1 (n=2,4,6,\cdots)
\end{array}
\right.
\end{equaion}
すなわち、
I_2m=\frac{1\cdot3\cdot\cdots\cdot(2m-1)}{2\cdot4\cdot\cdots\cdot(2m)}\cdot\frac{\pi}{2}

I_2m+1=\frac{2\cdot4\cdot\cdots\cdot(2m)}{1\cdot3\cdot5\cdot\cdots\cdot(2m+1)}
さらに、
\inf_0^\frac{\pi}{2}\sin^2m+1 x dx<\inf_{0}^\frac{\pi}{2}\sin^2m x dx<\inf_{0}^\frac{\pi}{2}\sin^2m-1 x dx
から、
I_2m+1よって、
1<\frac{I_2m}{I_2m+1}<\frac{2m+1}{2m}
\lim_{m \to \infinity)\frac{I_2m}{I_2m+1}=1
ゆえに、
\frac{2}{\pi}=\frac{1\cdot\3\cdot3\cdot5\cdot5\cdot7\cdot\cdots}{2\cdot\2\cdot4\cdot4\cdot6\cdot6\cdot\cdots}


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