
「瑠璃色」=ラピスラズリは、古くはアフガニスタンのバダフシャン産出のものが主流でしたが
、他にもシベリア、チリ、アメリカ、コロラド州などからも産出されており、それでも非常に限られていたので、ヨーロッパでは「ウルトラマリン(海の向こうから来た青)」と呼ばれ、「群青色」の顔料として珍重されていました。
ラピラズリから抽出したこの顔料は他のものでは同じ色を出すことができず、金と等価で取引されるほど高価なもので、イスラムのモスクでも、青を神聖視している聖なる色となっています。
日本画の「群青」は、原石が藍銅鉱(アズライト)という鉱物なので、ラピスラズリとは全くの別物となります。
群青は、大変貴重で高価な物だったので、絵具屋が登場するまでは"国家の物"として、織田信長・豊臣秀吉など、時の権力者による採掘許可や取扱許可が必要でした。絵師達に絵具の製造・使用を許可する事で、安土・桃山の絢爛豪華な文化が花開き、また加賀前田家などもその財力を示すなど建築にも群青の壁などを多用しています。
また、ラピスラズリのラピス(Lapis)はラテン語で"石"、ラズリ(Lazuli)は"青"や"空"を意味するペルシャ語の"lazward"が語源であり、スペイン語/ポルトガル語で青を意味する"azul"もここから来ており、イベリア半島が8~13世紀半ばまでイスラム世界であった名残となっています。
「空の青、海の青」などと、美しい青色は群青とか瑠璃色と呼ばれますが、東の群青は、海の青であり、西の瑠璃は天空の青となっています。
讃岐生まれの弘法大師、空海はその名のように室戸岬で修行し、空の青と海の青を見て悟りを開いた。瑠璃は空海さんの守護石。
瑠璃は、エジプトでは天空と冥界の神オシリスの聖なる石。
また薬師如来の正式の名前は、「薬師瑠璃光(るりこう)如来」と言い、瑠璃光と付いているのは、遥か東方に薬師如来の主宰する国があり、そこは地面が瑠璃(るり=ラピスラズリ)で出来ていて、浄瑠璃世界と呼ばれてると経文に説かれています。
瑠璃は世界中で神聖な色として扱われてきましたが、その人間の感覚は国を越えてもボーダーレスで、またその感覚は現代まで続いていると思います。。