砂場

本の感想と日記。些細なことを忘れないように記す。


テーマ:
原稿用紙10枚を書く力
「原稿用紙10枚を書く力」
[文庫]
著者:齋藤 孝
出版:大和書房
発売日:2007-02-09
価格:¥ 580
by ええもん屋.com


学校や会社、またはブログなど何かと文章を書くことがあるが、この本はただ体裁だけを整えて字数を埋めたいという人には向いていない内容だ。「書く力」=「考える力」ということが大切なのであって、文章を書くことによって考える力を鍛えることが目標だ。

いわゆる文章力ではなく、ここでは思考力や構成力を鍛えることが目的とされている。しかも抽象的な内容ではなく、とても実践的なところが、素晴らしい。この本に書かれているやり方を実践していけば、確実に読み応えのある内容の文章を書くことができるに違いない。こうしてブログで本を紹介している僕としても、書く力はぜひとも身につけたい所でもある。

実践的な部分は引用するには長過ぎるし、部分だと役に立たないので、目から鱗だった書くコツをひとつ引用しておく。

何かを書こうとした場合、その内容について、あまり人前で話さないほうがいい、といわれる。アイディアが盗まれるからではなく、話すことで満足してしまい、自分の中で書く内圧が低くなってしまうからだ。

これは盲点だった。そういえば、嫁や友人に話してしまったことはブログに書かないことが多い。これからは面白い本を読んでも黙って胸のうちにしまい込み、内圧を高めていきたいと思う。けっこう難しいかも。

★★★★★


■斉藤孝の「力」シリーズ

読書力
読書力
[斎藤 孝]
発想力
発想力
[斎藤 孝]
段取り力―「うまくいく人」はここがちがう
段取り力
[斎藤 孝]
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ティンブクトゥ
「ティンブクトゥ」
[単行本]
著者:ポール・オースター
出版:新潮社
発売日:2006-09-28
価格:¥ 1,680
by ええもん屋.com



読みどころは、へっぽこ詩人ウィリーの暴走気味の弁舌と(前半部分)、忠犬ミスター・ボーンズの冷静で知的な思考と、犬としての本能のままの行動が両立していくところ(後半部分)。

主人公は自称サンタクロースでへっぽこ詩人のウィリーと、飼い犬で言葉を理解できるミスター・ボーンズ。病に体を蝕まれて老い先の短いウィリーは、自分が死んだあとにミスター・ボーンズを養ってもらうために、学生時代に世話になった恩師のいる街へとやってくるところから物語りは始まる。

ワシントンとボルチモアのあいだの道路の端に立つミスター・ボーンズの眼前で、ウィリーがみじめな赤いかたまりを三つ四つとハンカチに吐き出すのを見た瞬間、いっさいの望みが失せたことをミスター・ボーンズは悟った。死の匂いがウィリー・G・クリスマスの身に降り立っていた。太陽というものが、雲に囲まれた、毎日消えてはまた灯るランプであるのと同じくらい確実に、終わりが近づいてきていた。

多弁症のウィリーは意識がある間はずっと喋りっぱなしだ。放浪癖があり、テレビでサンタクロースに啓示をうけて博愛の精神を啓蒙してまわっている。その弁舌は幼稚で下世話で、世界の真実を掴みとろう伸ばした手は、道端の石ころにしか届かずに脱力してしまう。でもそこに変な説得力があったり、なかったりと憎めないキャラである。

真実はだな、友よ。犬は字が読めるんだよ。じゃなきゃ何で郵便局の扉にあんな掲示がかかってる? 犬立入禁止 ただし盲導犬は除く。わかるか、俺の言ってること? 盲導犬を連れている人間は目が見えない、だから掲示を読めるわけがないだろ? で、人間が読めないんだったら、ほかに誰がいる?

そんなウィリーの良き相棒であったミスター・ボーンズ。彼の視点から物語りは語られる。傍からみたら変人でしかないウィリー。犬のなかでは賢いといわれるミスター・ボーンズからみても変人なのだが、同時に自分の信頼する主人でもある。回想することによって、ウィリーとの楽しく充実した日々の記憶と、彼の言葉を深く胸に刻んで生きてゆくミスター・ボーンズ。離れていても心はひとつ。

まるでドンキホーテとサンチョパンサの二人のような珍道中。愛すべきへっぽこ詩人ウィリーと忠犬ミスター・ボーンズはティンブクトゥ に辿りつけたのだろうか。

★★★★☆



■関連図書


ドン・キホーテ
ドン・キホーテ
[セルバンテス,牛島 信明]
ミスター・ヴァーティゴ
ミスター・ヴァーティゴ
[ポール オースター]

この小説はドンキホーテを意識したとポール・オースターも言っているので興味のある人は。
『ミスター・ヴァーティゴ』は文庫になりましたので。
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詩集 人はかつて樹だった
「詩集 人はかつて樹だった」
[単行本]
著者:長田 弘
出版:みすず書房
発売日:2006-07
価格:¥ 1,890
by ええもん屋.com



長田弘の詩集。昨年の100冊目に読んだ本。今年初めの書評で取り上げるには、ちょうどいいかも知れない。ちなみに詩集を一冊全部読破したのは初めて。

空と土とのあいだで

どこまでも根は下りてゆく。どこまでも
枝々は上ってゆく。どこまでも根は
土を掴もうとする。どこまでも
枝々は、空を掴もうとする。
おそろしくなるくらい
大きな樹だ。見上げると、
つむじ風のようにくるくる廻って、
日の光が静かに落ちてきた。
影が地に滲むようにひろがった。
なぜそこにじっとしている?
なぜ自由に旅しようとしない?
白い雲が、黒い樹に言った。
三百年、わたしはここに立っている。
そうやって、時間を旅してきた。
黒い樹がようやく答えたとき、
雲は去って、もうどこにもいなかった。
巡る年とともに、大きな樹は、
節くれ、さらばえ、老いていった。
やがて来る死が、根にからみついた。
だが、樹の枝々は、新しい芽をはぐぐんだ。
自由とは、どこかへ立ち去ることではない。
考えぶかくここに生きることが、自由だ。
樹のように、空と土とのあいだで。

数年前に読んだポール・オースター『孤独の発明』にある一節を思いだす。

都市を歩くとき我々が行っているのは、実は思考すること、それもさまざまな思考がひとつの旅を形成するようなやり方で思考することではないだろうか。そしてこの旅こそが我々が歩む歩みにほかならないのであり、したがってつきつめて考えるなら、我々は旅をしてきたのだ、と言ってよいのである。たとえ部屋を出なくとも、それは旅だったのだ。我々はどこかへ行ってきたのだ、と言ってよいのである。たとえそれがどこなのかはわからなくても。

星野道夫の『旅をする木』という本にこういう言葉があった。

人間の気持ちとは可笑しいものですね。
どうしようもなく些細な日常に左右されている一方で、
風の感触や初夏の気配で、
こんなにも豊かになれるのですから。
人の心は、深くて、そして不思議なほど浅いのだと思います。
きっと、その浅さで、人は生きてゆけるのでしょう。

子供の頃、北斗の拳にでてくる雲のジュウザだ好きだった。小学生だったあの頃。僕だけでなく、友だちの誰もが雲のジュウザに憧れていた。でも今の僕は自由に旅することよりも、時間を旅することに惹かれている。

関連図書

孤独の発明
孤独の発明
[ポール・オースター]
旅をする木
旅をする木
[星野 道夫]
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田口 久美子
書店繁盛記


ポプラビーチ で連載されていた書店日記の書籍化。すでに読んでいるものも多かったが、やはり長文をまとめて読むには書籍でないと疲れる。

田口さんはリブロからジュンク堂に転職、現在は池袋本店の副店長をしている。新店オープンの話では2週間で2万箱の検品をしたと書かれていて驚いた。さすが大書店は違う。使われていないボウリング場に荷物を運び込んで10人がかりだそうだ。うちでは40箱ぐらい入ってきたら検品地獄だと言っているのに、桁がいくつ違うことやら。

棚ががら空きになっているのをみると、売れた! と喜ぶより、盗られた心配が先にたつ。

書店の規模とは関係なく万引きに苦しめられているのは変わらないようで、まさに同感。お客様のクレームの激しさも身にしみてわかる。書店員の苦労というのはどこも同じか。大書店なのでお客様の数も多いためか、変わったお客様も多いようだ。ここで紹介されている「首をつっても切れないロープの結び方」の本を探すお客さんはすごいなと思う。

僕が接客したことのある、「ドラッグの止めかたの本」を探しに来られた、やつれ果てた年配の女性を思いだした。首と足にギブスを嵌めて松葉杖を突きながら「交通事故の示談の本」を探してこられた人もいた。「退職届の書き方の本」をくれというサラリーマンは、怒りのあまり会社を飛び出した勢いで、そのままやってきたのが見てとれた。本屋にはいろんなお客さんがくて、時にその人生を垣間見る。

そういった書店でのエピソードだけでなく、書店の実務的なことも多く書かれている。品揃えに関するジュンク方式とリブロ方式の違い。各ジャンルごとの担当者と、売れ行きの傾向や棚作りについて話したことなど、同じ書店員として深く勉強になった。もちろん僕の勤める店は地域密着の郊外店なので、ジュンク堂のように品揃えで勝負するわけでもなく、リブロのように書店がコンセプトをつくって選んだ本を提供するわけでもない。地元のお客様の求められる本、必要とされる本を置きたいと思っている。だからこそ、本書にあった以下の言葉を胸に刻んでおこうと思う。

書店は書店員だけが棚を作るのではなく、お客さんが作ってくれるのだ、といつも思う。もう開店して八年になる、お客さんとの「息のあわせ」の積み重ねの結果、ともいえるのではないか。


■ 書店員&本屋に関する本

久世 番子
暴れん坊本屋さん (1)

田口 久美子
書店風雲録


松浦 弥太郎
最低で最高の本屋

渡辺 満
なぜ人はジュンク堂書店に集まるのか―変わった本屋の元大番頭かく語りき

永江 朗



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舞城 王太郎
SPEEDBOY!

主人公は『山ん中の獅見朋成雄』と同じ成雄という名で、背中に鬣をもつ同年代の少年だが、特に続編という内容でもない。得意の並行世界?かな。イラストも舞城王太郎。

この物語の成雄は、異常なスピードで速さで走ることが出来る。最終的には戦闘機よりも速い。家族や社会と離別した成雄はその度に限界を突破して何よりも速くなる。海の上を爆走するシーンは爽快だ。

だが限界を越えた成雄の前に謎の白い玉が出現する。空から降ってくる謎の少女も現れる。他のも成雄と同じようにスピードの限界を越えた少年たちと共に闘ったり裏切られたりしているうちに、同じ登場人物だが役割や設定がコロコロ変わる、得意の並行世界が次々と現れて、いつもの舞城ワールドに突入。

何のために戦うのか、敵とはいたっい何なのか、自分とは何なのか、そんなテーマが幾度も語られる。舞城特有の意味深いシーンも沢山あり、主人公のややこしい性格など考えさせれる。でもそういった複雑な要素を含んではいるものの、超人的な力を持った少年少女が謎の敵と闘うというジャンプ的な世界は単純に楽しめる。

最近、舞城王太郎はもういいかなと思いつつあったのだが、やっぱり僕は舞城ワールドが好きらしい。



■舞城王太郎の青春エンタ本
舞城 王太郎
世界は密室でできている。―THE WORLD IS MADE OUT OF CLOSED ROOMS

舞城 王太郎
みんな元気。
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