スナ

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「砂場書店」臨時営業中です。(2009/9/2)
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2009-11-20 11:24:28

『鬼の跫音』 道尾秀介/角川書店

テーマ:書評2009
鬼の跫音
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道尾 秀介
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江戸川乱歩の影響を色濃く受けた、怪奇幻想短編集。読者をミスリードさせる内容はかなり技巧的で、その伏線が衝撃的な結末へと繋がっていく。今まで僕が読んだ道尾秀介の小説は『ラットマン』『カラスの親指』『星と流れ星』『龍神の雨』。これらは重いストーリーでも、どこか救いと優しさがあったように思うけど、今回はどこまでも暗黒面に突き落とされる、黒道尾だ。今までの道尾ファンは、ちょっと引くかもしれない。

全ての物語に「S」という男が登場する。まったく別人でありながら、「S」という名称を与えられたその登場人物にによって、主人公は心の奥に潜む「鬼」を呼び起こされる。ある時「S」は友人であり、ある時「S」は死んだ連続殺人犯であり、ある時「S」は犯罪をそそのかす同級生であり、ある時「S」は自分をいじめる同級生であり、そしてある時「S」を殺し、またある時は「S」を心の底から愛する。

どこまでも救いのない物語たち。凄惨な事件の数々。いったい、どこで彼らは道を誤ったのか。読み進めるうちに、読者はさらにその闇の奥へと連れて行かれ、そしてそこに置き去りにされる。もし、「S」と出会わなければ、彼らは幸せな人生を歩めたのだろうか。少なくとも、これほどまでに残酷な結末に突き落とされることは無かったかも知れない。けれども、「S」は鬼ではない。人の道を外れて鬼となったのは、まぎれもない自分自身だった。彼らは鬼の姿でありながらも、人の心を宿している。その鬼と人の狭間で、僕は身動きがとれなくなる。

蛇足

どの短編にも何か江戸川乱歩の名作を示唆する要素が含まれていることに気付いた。崖から突き落とす「鈴虫」は「赤い部屋」だし、椅子が重要なポイントとなる「ケモノ」は「人間椅子」、床下を這う泥棒の「箱詰めの文字」は「屋根裏の散歩者」だろう。スケッチブックに人を閉じ込める「悪意の顔」はもちろん「押絵と旅する男」。細かい一致はわからなかったが「よいきつね」はなんとなく「目羅博士」を彷彿とさせる。他にも、一編に複数の要素が紛れ込んでいるものがあるかも知れないが(「ケモノ」には「芋虫」的な部分がある)、江戸川乱歩を全作読んでいるわけではないので、そこまでは分からなかった。「冬の鬼」は夢野久作の「瓶詰地獄」を思い起こさせるものがあるので、怪奇幻想作家がもっといろいろ入り混じっているのかも知れない。

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2009-11-17 11:37:26

『花と流れ星』 道尾秀介/幻冬舎

テーマ:書評2009
花と流れ星
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道尾 秀介
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真備庄介シリーズの短編集。前作『背の眼』『骸の爪』を読んでいなかったが、問題なく楽しめた。

霊現象探求所の所長「真備庄介」(名探偵役。亡くなった妻に会いたいため霊を探求している)、と助手「北見凛」(真面目で有能。真備の妻の妹)、真備の友人であるホラー作家「道尾秀介」(とぼけた役。凛が好き)の3人を中心に物語が描かれる。個性的な3人の距離感・雰囲気が魅力的。キャラの魅力とミステリー要素のバランスがよくて、サクサク読めて楽しめる。空き時間に軽く読みたい。といっても電車で読むときは一話目と最終話はぐっとくるものがあるので、涙腺の弱い方は注意が必要。けっこう幅広い作風なのだなと感心する。子供を書かせると上手い。
2009-11-16 11:41:16

ほぼ完売

テーマ:日記
おかげさまで昨日参加させていただいた「明神山の秋祭り」は無事終了しました。

ちらしを見てこられた方や、明神山へ登る人たちが立ち寄ってくれるなど、肌寒い気候なのに思わぬ(?)人手となり、「ブックリブック」で用意した20冊の絵本も午前中でほとんど売れる大盛況。ありがとうございました。

午後からはのんびり山頂の景色を眺めにいったりと、その場で焼いていた50円という破格の焼き芋のあまりの美味しさに驚いたり、秋の山を満喫させていただきました。そして延々と小枝をポキポキ折り続けるなど、我が子もしっかりと自然とたわむれていました。

12月は大門玉手箱に参加する予定です。

$書店員失格-森ガール
冬の森ガールファッション。フリースと毛糸の帽子(きのこ付き)
2009-11-14 10:10:17

ブックリブック

テーマ:日記
明日、「明神山の の~んびり 秋祭り」というイベントに出店します!

嫁が選んだ絵本を20冊程度、販売する予定です。森の中で開催ということで、我が家の森ガールも出動する予定です(笑

お暇なかたはぜひ!

「明神山の秋祭り」


書店員失格
店の名前は「ブックリブック」です
2009-11-12 18:03:19

『愛でもない青春でもない旅立たない』前田司郎/講談社文庫

テーマ:書評2009
愛でもない青春でもない旅立たない (講談社文庫)
前田 司郎
講談社
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大学生活には、「愛」や「青春」や「旅立ち」というものが、ありそうな気がする。この物語でも日常のなかに、恋人や人間関係のなかに、そういったものが現れそうな予感がする。けれど、それらは答えまで辿りつかない思考の波に飲み込まれ、グズグズと消えていく。何か深い意味が隠されていそうな、そんな夢や非現実の世界もまた、掴み切れないままに崩れ落ちていく。

生きていく上の確固たる意思もなく、楽なほう欲望の赴くままに流されてしまうグダグダした生活を送る主人公。そこに「真実の愛」や「かけがえのない青春」などあるわけもなく、もちろん「今ここからの旅立ち」もない。けれど、その変わりに、この物語は本当の「日常」にたどり着く。どこにも答えなどなく、どこにも真実の姿はなく、それでもそれなりに続いていく日常。

この物語が、どこか頼りなく、どこか寂しげで、どこかせつないのは、この物語のなかに「愛の切れ端」や「青春という幻想」や「旅立ちの予感」がほんの僅かにだが存在するからだろう。それは、僕が過ごしてきたの十代、二十代の姿でもある。
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