木造住宅の命を全うさせる流れる空気

 

「流れる空気」が住宅という建物にいかに必要不可欠なものかを十分に理解してもらいたい、そんな強い思いで、同じような話を何度も申し上げている。

 

気乾含水率という言葉をご存知の方は少ないかもしれない。

 

これは木材を大気中に置いておいた時にやがて落ち着いてくる含水率のことで、日本では15%程度。ちなみにヨーロッパでは11%程度だ。

 

木材の含水率が常時25%を超えていると、木材は腐朽しはじめると言われている。

 

これを踏まえれば、木材を常に大気中にさらしておけば平均含水率は15%程度なので、木材は腐らないはずだ。大気中には「流れる空気」が存在している。

 

この「流れる空気」が木材を乾燥させている。現実には、外に使われている木材の状態によって腐ったりもしているが、あくまでも原則論であろう。

 

しかし、この原則を上手に使うと木材の寿命を全うさせることも可能だ。例えば、外気に直接さらさずに、すなわち雨や紫外線など過酷な気候条件にさらさない状況で「流れる空気」にふれさせておけば、木材は天寿を全うできると言える。

 

幸い木造住宅すなわち日本の在来軸組工法は、少しの工夫でそれが可能となる。木造住宅を支える骨組が軸組だ。それは土台、柱や梁を中心とした構造を支える木材だ。現在の大壁と言われる家のつくり様では、床下や壁の中、天井の中に隠れてしまい、家が完成してしまうと見ることはできない。

 

それだけに土台などの木材が「流れる空気」にふれているかは分かりにくいだろうが、現実にはほとんどの住宅はそこにグラスウールなどの断熱材が詰め込まれているため密封状態だし、根太レス工法など呼ばれている簡易工法により壁の中にはもとより空気は流れる事が不可能になっている。

 

情けない事に、現在では在来軸組工法の多くが、この根太レス工法になっている。

 

本来の在来軸組工法は、床下や壁の中、天井の中は空気が流れる構造になっている。

 

最近のグラスウール充填や根太レス工法といった安易な方法で、空気が流れないようになっただけのことだ。

 

それ故に本気で取り組めば、そこに「流れる空気」を取り戻すことは、さほど困難な事ではない。グラスウール充填を止めて外張り断熱にする。根太レス工法をやめて、本来の根太を使用するなど大した話ではない。

 

PAC工法は、これを前提としてパッシブソーラーハウスとして開発したものだ。単に、自然エネルギーを利用するという事ではなく、土台や柱などのすべての構造材である木材が「流れる空気」にふれている天寿を全うできる住宅なのだ。ここに限りない価値が付加されたと言える。