プロローグ、株式投資をするための基本的な考え方を知る

1、個人投資家の時代がやってきた

株式投資の世界は、以前は証券会社のプロの運用者や法人、外人の投資家が主役だった。ところが、現在は、今まで脇役だった「個人投資家」が、活発な売買を繰り返す、証券界の主役に躍り出てきた。

インターネットのウエブサイトでの株式投資が普及した結果、個人投資家の東証一部に占める売買シェアは、以前の「外人投資家」「機関投資家」をしのぐボリュームになってきた。今では外人に続き、法人を追い抜き、なんと、一躍、40%の売買金額に達している。

この現象は長い間の低い銀行金利に飽き飽きした個人の資金が、株式での運用で、高い利回りを自らの努力で得ようとの考え方を強めて来たことによるものだ。株式投資はプロ達のものだけではなく、その気にさえなれば、誰にでもチャンスのある、「可能性の大きい世界」になったのである。

さらに、この動きに呼応して、証券会社、特に、ネット専門の証券会社が手数料の引き下げ、リアルタイムの株価の板情報、さらに、株価の動きを表示する日足、週足、分足チャートなどを提供し、売買注文のスピードも、証券会社とほぼ同じ売買スピードで行うことが可能になった。この結果、個人の市場参加者を著しく増加させたのである。

この動きの中で、投資家の囲い込みを狙い、従来の店頭での売買を主体に行っていた証券会社も相次いでネット売買に参入した。その結果、ネット証券間のサービスと手数料の競争を意激化させ、投資家は極めて割安な手数料での取引が可能になっている。これが個人の投資環境を良くして行った。

2,割安になった手数料の恩恵

従来は、株価のリアルタイムの動きはもちろん、売買出来高や値動きに関する情報を証券会社、ならびに、営業マンによって占められていた。ネット証券がその垣根を取り払ったのである。

とくに、いままで、売買金額に対して、1%もの金額だった手数料が、顧客獲得の競争の結果、限りなく、ゼロに近くなったことにより、利益確定のチャンスが「1円、2円の株価変動幅」でも、可能になり、機関投資家とのハンデがほとんどなくなった。

さらに、レバリッジで売買を行う「信用取引」も、従来の1000万円、500万円という預かり資産の条件が、極めて低くなり、誰もが参加できるようになって来た。

これが個人の投資のチャンスが一層拡がり、相場での上げ基調では、億単位の巨額の差益を手にする人が出てきた。

この成功話が、今まで、株に全く興味がなかった人にまで及び、「銀行預金はバカらしい」という空気を盛り上げた。おかげで、今では、主婦や学生なども、幅広く「ネツトでの株売買」に参加している。その資金は50万円以下の少額でもチャンスが生まれている。

大きなリターンが取れる可能性が広がったことで、「リスクをとって大きなチャンスを手にしよう」との考え方が、個人の投資資金の株式市場への流入を加速させたのである。この動きを、見逃してはない。

もちろん、すべての投資家が差益を確実に取っているわけではなく、差損も多く発生している。しかし、やり方さえ間違わなければ、大きな差益を取れる可能性は間違いなくある。ここに目をつけて、自らの資産つくりに、自分の努力で参加する可能性があることを知っておきたい。

要するに、方法やノウハウを手に入れれば、投資で魅力のあるリターンが取れる可能性が広がってきたと言おうことなのだ。

3、リアルタイムの情報で売買しやすい環境

個人投資家はネットでの取引をすることで、従来型の「証券マンの成績優先」の「意図的なアドバイス」ではなく、自ら手に入れた情報を駆使する事で、自らの努力と判断で株式の売買で着実に差益を得る機会が増えてきた。どちらかと言えば、証券会社主導の「相手任せの投資」が「自分流」の投資へと変化したのだ。

これは株式投資を行う人に、「投資の喜び」「醍醐味」を投資家が獲得できたことを意味する。とくに、板情報はその最大のものである。いくらにどのくらいの売りや買いがあるのか、これがリアルタイムで見られるというのは、それぞれの銘柄に集まる売買のボリュームや、株価変動の様子を知ることができる。そいれで、自ら売買のチャンスを手に入れる、瞬時に判断するまたとないチャンスをものに出来たことを意味する。

さらに、すばらしいことがある。ネット証券の取引画面では、リアルタイムで表示される、値上がり、値下がり、売買出来高、売買代金のランキングは「いま、市場がどうなっているのか」がすぐわかる。これを見ながら、銘柄の選択や、売買のタイミングを素早く判断する事が出来るようになった。

また、同時に表示される、チャートも、日足、週足、月足だけではなく、「分足」も、表示されるので、ビジュアルの感覚で瞬間瞬間の株価の変動が見られる。

4,情報入手の多様性が広がる

さらに、日経225平均やTOPIX(東証株価指数)の動きも、同時に、5分足で表示されるので(証券会社によっては表示されないところもあるが)全体相場を見なららの売買の判断も可能になっている。

踏み込めば、様々な企業の決算や経営に関する情報も証券会社のホームページなどに表示されるし、ヤフーなどの掲示板でも見ることが出来る。

さまざまな情報を自分の手にして、銘柄選択の判断の客観性が広がってきている。

これは投資家がその気にさえなれば、株で多くの売買差益を得られる環境が整っていることを意味する。

あとは、極めて良くなっている投資環境をいかにうまく活用するかという、投資家自身の努力にかかってきていることになる。

すなわち、頑張った人が頑張った分、大きな収益が得られるということであり、投資の理想的な形になっているのだ。だから、今の株式投資は、個人がいかにうまく情報を活用し、タイミングを掴むかで大きな差が出来てしまう。

儲かるかどうかは、投資家自身の「自己責任」だが、チャンスは無限にあるのだ。これを理解する事が大切である。自らの資産を自分の裁量で運用できるということなので、大いに頑張って、その果実を得ればいいのである。

5、デイトレードが盛んな理由は

いま、ネットでの取引では、ディトレードを行う人が圧倒的に多い。株を買っても売っても、必ず、その日のうちに「手仕舞う」方法だ。建て玉(清算していない株)を残さないという考え方だ。なぜこのような取引が増えているかといえば、2006年のライブドァショックで、大きく株価が下げ、そのあおりで大金を失った人が多く出た影響が大きい。

そのことが、投資家のトラウマになり、いくら相場が良くても、突然の事件などで、いつ何時、急変するかわからない。手持ちの株を持って、一晩寝るわけには行かない。その日のうちに損しても手仕舞うのだ。それで、こわごわ取り引きする「チキンの考え方」を残してしまった。一方で、2005年秋からの相場で、デイトレで億単位の儲けを出した個人投資家が多く出たことで、その投資スタイルが身についてしまった。

株式投資は一度、出来てしまった投資スタイルを変えるのは、なかなか困難である。デイトレで、コンスタントの収益が得られればいいが、「勝ったり、負けたり」でなかなか手持ちの資産が増えないのでは困る。株式投資では、少しのプラスでも良いから、コンスタントの収益を積み上げて行くことが大切だ。何倍にもしなくていいから、「そこそこ」の収益の積み上げた大切である。

ディトレのような目先での売買は、将来の利益よりも、目先の小さい利益を確実に積み上げていこうという考えである。この方が確かに利益確定が出来やすいので、欲を出さなければ、収益の確率が高いという考えである。

4,短期で儲けにくい相場環境

ただ、最近の相場を見ていると、株価の一日の動きは、必ずしも「ディトレ」に向いている相場ではない。寄り付きで買っても、その後で株価が下がる。(だれる)ことが多いからだ。

もちろん、後場に高くなるときもあるが、おおむね、朝に強くても、午後だれることが多い。

朝は高いが、後場が安いという動きが続いているからである。これは相場の先行きに対して懐疑的な考えの投資家が多いのと、日本の市場に遅れて開かれる中国・上海の相場の乱高下が日本の後場の相場に大きく影響をもたらすので、投資家が注意深くなっている。

このことは、寄り付きで買えば、その日の一番高い株価を買ってしまう羽目になりかねないのである。それは誰もがディトレをやるようになったので、買って上がったらすぐに利益確定するという「同じ行動」をするようになっているからだ。

あさ、一番である銘柄を買い、少し上がったら売る。この投資スタイルが、相場全体に大きな影響を及ぼしている。朝でなくても、ザラバ(取引の最中のこと)でも、わずかな値動きで極めて小刻みに利益確定が行われるので、上げ下げのぶれがすごい。

いま、株式市場に占める個人投資家の割合が40%を超えてきた。その90%がネット取引で、激しい目先の売買を行っている。そのために、「ババ抜き」の様相が一層鮮明なのだ。

同じ考えの人ばかりがいれば、「買ったら売る」。すなわち、上がったら「売られる」という株価の動きが増幅される。

5,利益確定がしにくい相場環境

これでは、仕込んでも、大幅な利益確定のチャンスがないどころか、下手をすれば「含み損」をかかえて、「損切り」をする羽目になってしまう。2005年秋から暮れにかけての上昇相場であれば、誰もが儲かった「ディトレ環境」。それが今は難しい局面である。

そのために、ディトレでは、なかなか、儲からない人が多くなっている。儲けやすい環境ではなく、儲けにくい環境になっている。余程のテクニックを持たないと勝ち抜いていくことが難しい。

それならば、ショート(相場に対して弱気のこと)で、空売りをすればいいではないか、この考えもあるが、初心者が売りから入るのは、なかなか儲けにくい。株価を追うときは、上げていくものを利益確定する。すなわち、「順張り」の方が明らかに有利だからだ。

「売り建て」は、株を売って、下げ止まるのを待つということだが、言うは易く、行うのは難しい。上げ相場の「逆さま」をやらなければならないので、「売値よりも株価が大きく上げたらどうしょう」という、「踏み上げ」の恐怖感が常に付きまとうからだ。事実、売り方に対する「踏み上げ」狙いの、強引な上げも時にはある。これが恐いのだ。だから、初心者は手を出すべきではない。あまりにもリスクが多すぎるからだ。

6,本当に儲かる投資のスタンスはこうだ

そこで、100万円を減らさないで、確実に増やしていくために、株式投資のセオリーである、「押し目を買い、噴き値を売る」という方法が可能な「中期投資」も考えておく必要がある。

これならば、経営内容の確かで、明らかに割安な銘柄を仕込んで(買って)おき、割高になったら、売るという方法なので、慌てなくても、着実に利益が出るし、手持ちの金額は増えていく。

最近、この方法をとらない人が増えているのは「ディトレ志向」が増えすぎているからだ。それに慣れてしまって、中期でチャートのトレンドをじっくり読んでいくという「地に足を付けた」投資が出来なくなっている。

もちろん、ディトレは否定しない。スイングという、日にちをはさんで売買するという「短期投資」の方法もある。

しかし、手持ちのお金を絶対に減らさないで、確実に増やせる、このスタンスでの投資は、圧倒的に「中期」のほうが勝っている。ディトレは、業績やトレンドではなく「慣れた銘柄の動きそのもので売買する」という方法だが、中期ならば、業績や、株価のトレンド、「買いサイン」「売りサイン」をしっかり読んで、売買する事が出来る。

その点から見ると「安定取引」「ローリスク投資」は、明らかに、中期の方が勝っている。その点から「100万円を確実に増やしたい」という人には、中期の投資を勧めたいのだ。